2年半の夢の後
1ヶ月前、大好きだった彼女とお別れをすることになった。
お互いにとって初めての彼氏・彼女であり、遠距離で2年半もの間、共に歩み続けてきた相手だった。
お別れの理由は、彼女に他の好きな人ができたこと。
コロナ禍のため、県外への移動に慎重にならざるを得ず、土日休みの僕と平日休みの彼女の日程がなかなか合わず、さらにgotoキャンペーンの影響で彼女の休日が不定期になってしまい、半年間全く会えない日々が続いていくうちに、彼女の心は動いてしまっていた。
いや、会えないだけで彼女の心は離れない。
なぜなら、これまで遠距離で2年半お付き合いできていたのだから。
――――原因は、僕にある。
心当たりが多すぎる。
冷静に別れた原因を考え、会えない半年間、いや、この2年半の間の僕の行動を思い返して確信した。
いつの間にか、彼女から与えられるだけになっていた。
いつの間にか、僕は彼女を置いて自分の殻に引きこもってしまっていた。
いつの間にか、彼女が隣にいるありがたみを忘れてしまっていた。
それ故の、この結果だ。
大学時代の初々しくも幸せな日々、就職し、遠距離になってもさらに愛を深めた日々、僕が心身ともに体調を崩したときに隣に寄り添ってくれた日々、再就職に向けて行動する僕をまるで自分のことのように応援してくれた日々。
これらの日々を思い出す度に、心が苦しくなる。
今年の年始、ようやく有給が支給された。
僕は喜んだ。
「これで彼女との時間を増やせる!」
今年の年始、ふと思った。
「将来はここまで支えてくれた、彼女と結婚したい。」
しかし、そのときにはもう、彼女の心は僕には無かった。
気持ちだけ先走り、これまで真に彼女と向き合って来なかった代償を払うときが来たのだ。
最後のLINE通話、彼女はしばらく何も言わなかった。
優しい彼女のことだ。最後の最後まで僕が傷つかないよう気遣って、適切な言葉を探していたのだろう。
それを悟った僕は、自分からこう尋ねた。
「――もう、別れたい?」
こうして、僕の夢のような日々は終わった。
一ヶ月経った今でも考える。
僕と付き合っている間、彼女は幸せだっただろうか。
僕は彼女に何か与えられただろうか。
――君は今、幸せだろうか。
願わくば、恋人でなくても、また話せる日が来ることを切に願う。