白紙の人生計画
僕は新卒で入った会社を、1年未満の8ヶ月で退職している。
今の会社に入社するまでの就職活動は、コロナ禍に加え、この経歴を見られて非常に難航した。
それ故に、今の会社には世間一般的に短期間離職とは言われない程度の期間、3年は勤めあげるつもりだ。
将来住むところはどうしよう?
僕が転職して彼女の地元に行くか、彼女にこちらに来てもらうか。
はたまた、別の新天地で暮らしてみるか。
これは、今度有給を取って会ったときにでもそれとなくアプローチしてみるか。
――もし僕が彼女の地元に行くなら、彼女と結ばれるのは少なくとも3年後、27歳くらいになるだろう。
――彼女にこちらに来てもらえば、もっと早くに結ばれるのも可能かな?
……
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………………
彼女とお別れする直前まで、僕はこのようなおめでたい妄想を展開していた。
――彼女の心が僕から離れていることにも気付かずに。
彼女と真に向かい合えていないくせに、こんなことを考えているなんて、端から見たらさぞ滑稽な姿だったろう。
――さて、どうしようか。
もう何回この問いを繰り返しただろうか。
ただの妄想としかいえない計画ではあったが、この夢を叶えられるように今年から頑張ろう!
そう意気込んでいた、今年の年始。
まだまだ雑で穴だらけの、建て始めたばかりの人生計画。
それでも未来に向けて、真剣に考え始めたまさにそのタイミングだった。
――彼女が去っていったことによって、全てが一瞬で崩壊した。
ようやく形を作り始めた未来が全て無くなってしまった。
人生の目標とも言うべき、僕だけの未来予想図は早くも塵芥と化した。
目標を失った僕は、今年の2月を完全に惰性のみで生きてきてしまった。
その証拠に、仕事中の記憶があやふやだ。
だが、もう彼女とお別れして1ヶ月が経過し、月も変わって3月になった以上、さっさと切り替えて新しい目標を建てなければならない。
周囲は常に回り続けているのだから。