不思議の国のアリス|翻訳18(第9章 偽ウミガメの物語①)
・はじめに
英文がスッと読めるようになりたくてアリスで英語勉強しています。
頭の中を整理するための訳なので、直訳ぎみで日本語がおかしい箇所があります。
最初から→不思議の国のアリス翻訳01
前回→不思議の国のアリス翻訳17
CHAPTER IX.
The Mock Turtle's Story(偽ウミガメの物語①)
「また会えてどんなに嬉しいことかお前に分かるかい、可愛い子!」と言って、公爵夫人はアリスの腕を愛おしそうに掴むと、一緒になって歩いた。
my dear old thing(相手の年齢に関係なく親しみの呼びかけ、お前、あなた、ねえ君)
公爵夫人が上機嫌な様子なのを見て、アリスはとても嬉しくなった。多分、初めてキッチンで会った時はコショウのせいであんなに気が立っていたんだろうと考えた。
「私が公爵夫人なら」アリスは独り言を言った(だが、とても絶望的な声で)「私はキッチンにはコショウを絶対置かないわ。コショウがなくてもスープは美味しいし―多分コショウが辛いせいで人は怒りっぽくなるんだわ」新しい決まりごとの発見をして嬉しくなって続けた。「それと、お酢は酸っぱいから人を不機嫌にさせるし―カモミールは苦いから人に厳しくなる―それと―それと大麦糖みたいな甘いものは子供たちを優しくさせるのよ。このことを皆が知ってほしいわ、それなら皆そんなにケチケチしないはずよ、そうよ―」
when I'm ~(私が~になった時)
berley バーリー(大麦)
barley-sugar(大麦糖)※大麦の煮汁に砂糖を混ぜて出来るキャンディー。フランスで最も古い製菓と言われている。味はハードキャラメルキャンディーに似ているらしい。
stingy ステンジィ(けちくさい、みみっちい、貧しい)
【メモ】
◆同じ単語で違う意味が含まれているところからの言葉遊び
「vinegar that makes them sour」
お酢は酸っぱい(sour)から「不機嫌」になる
「camomile that makes them bitter」
カモミールは苦い(bitter)から「冷酷な、辛辣な」な気分になる
「barley-sugar and such things that make children sweet-tempered」
砂糖は甘い(sweet)から「優しい、楽しい」気分になる
※最期のstingyも何かとかけてるはずなんだけど分からない。調味料は少ししかかけないからケチくさいってこと?
アリスはこの時まで公爵夫人がいることをすっかり忘れていて、夫人の声が近くで聞こえてきてギョっとした。「お前は色んなことを考えているんだねぇ、可愛い子。話すことを忘れるくらいだ。よし今から話せなかった教訓を教えてやろう。だが少し思い出すまで待っておくれ」
startled スタータルド(びっくりして、ハッと驚いて、ギクリ)
「多分、そんなものはないんじゃないかしら」アリスは思い切って言ってみた。
「チッ チッ、いけない子だね!」公爵夫人は言った。「全てのものには教訓があるんだよ。もしお前がそれを見つけられればね」と話しながら、アリスの近くにグッと身を寄せてきた。
squeeze スクイーズ(圧搾する、押しつぶす、ぎゅっと握る)
アリスはそんなに近づいて来てほしくなかった。一つ目の理由は、公爵夫人はとても醜かったからだ。二つ目の理由は、夫人のあごがアリスの肩に乗る高さにあり、そのあごは鋭く尖っていて不快だった。だが、失礼になるので一生懸命耐えた。
ugly(醜い、不快)
bore ボア(突き通す、掘る、うんざりさせる、穴)
「ゲームがなかなか面白くなってきたみたいよ」少し間を持たせようとしてアリスは言った。
「そう、それは」公爵夫人は言った。「その教訓は―『あぁ、愛だ、それは愛だ、愛で世界は回っているのだ!』」
tis(it isの略)
「誰かさんが」アリスは小声で呟いた。「それは余計な世話だって言ってたじゃない!」
「おぉそうだよ!その意味は同じことだよ」公爵夫人はそう言うと、彼女の鋭い小さなあごがアリスの肩をえぐった。そしてこう付け加えた。「その教訓はだね、『意味を大切にすれば、その言葉も大切にされるだろう(小事を軽んずるなかれ)』」
【メモ】
Take care of the sense, and the sounds will take care of themselves
意味を大切にする、すると、音も大切にされるだろう、それら自身の
パブリック翻訳版では『安言(やすごと)づかいの意味(いみ)うしない』
◇元ネタ
Take care of the pence, and the pounds will take care of themselves.
「小銭に気をつければ大金の世話はいらない」のことわざをもじったもの。
「どれだけ教訓を探すのが好きなのよ!」とアリスは心の中で思った。
「お前は不思議に思ってるかもしれないから言うけどね、なんで私はお前の腰に手を回さないのかって」公爵夫人は歩きを止めて言った。「それはお前のフラミンゴが怒るかもしれないからだよ。ちょっと試してみるかい?」
experiment(実験)
「彼は噛むかもしれないわ」全く心配してはいなかったが、アリスは慎重に答えた。
「まったくその通りだよ」公爵夫人は言った。「フラミンゴとマスタードはどちらも噛む。その教訓はだね、—『同じ羽の鳥は一緒に集まる(類は友を呼ぶ)』」
「マスタードは鳥じゃないわよ」とアリス。
cautiously コーシャスリィ(慎重に、用心深く)
flock(群れ、集まる)
【メモ】
Birds of a feather flock together.
同じ羽の鳥は一緒に集まる
※これは実際にあることわざみたいです。
パブリック翻訳版では『たつ鳥あとをにごさず』
「普通はそうさね」と公爵夫人。「なんて賢い子なんだお前は!」
「私が思うにそれは鉱物よ」とアリスは言った。
have a way of putting things nicely(物の言い方を心得ている)
mineral(鉱物、ミネラル)
「その通りだよ」公爵夫人はアリスの言うこと全てに同意する勢いだった。「この近くに大きなマスタード鉱山があるんだ。そしてその教訓はだね―『私のものが多ければ多いほど、あなたのものは少なくなる(慌てる乞食は貰いが少ない)』
【メモ】
The more there is of mine, the less there is of yours.
mine(鉱山)の話をしていたが、mine(私のもの)とyours(あなたのもの)をかけている。
パブリック翻訳版では「権兵衛(ゴンベ)が山ほりゃ、カラシをほじくる」
「あ、分かったわ!」アリスは叫んだ。最後の教訓は聞いていなかった。「それは野菜よ。そんな野菜見たことないけど、きっとそうよ」
【メモ】
※もう何がなんやら意味が分かりません!マスタードのことを鉱物と言ったら、次は野菜?
「全くもってお前の言う通りだよ」公爵夫人は言った。「そしてその教訓は―『あなたがそう思えるものになりなさい』—それか、もっと分かりやすく言うと―『自分がそうであったこと、あるいはそうであったかもしれないことが、他人にはそうであったように見えるかもしれないことよりも、そうでないことを想像してはならない(※理解できなかったのでDeepL翻訳のコピペです)』」
otherwise than(~とは違って)
【メモ】
Be what you would seem to be
なれ、何に、あなたがそう思えるものに
◆上の文をもっと簡単に言い直したものがこちら
Never imagine yourself not to be
あなた自身を想像するな、そうならないことを
otherwise than what it might appear to others
~と違って、他のものにそう見えるかもしれない
that what you were or might have been was not
それは、あなたはそうだった、または今まではそうでなかったかもしれない
otherwise than what you had been would have appeared to them to be otherwise
~と違って、あなたは今までそう見えていた、彼らに、別のやり方で
◇パブリック翻訳版
「『自分らしくなろう』――あるいはもっとかんたんに言えば――『自分がそうであったりそうであったかもしれないものが、自分が他人にそうでないと思われたものでないもの以外のものとして見られるもの以外のものでないと思わないこと」
◇DeepL翻訳
「自分がそうであったこと、あるいはそうであったかもしれないことが、他人にはそうであったように見えるかもしれないことよりも、そうでないことを想像してはならない」
※何回読んでも理解できませんでした(笑)言いたいことは最初の『あなたがそう思えるものになりなさい』ってことなんだと思います多分。
「よく分からなかったわ」アリスは失礼のないように丁寧に言った。「もしペンがあったら書き留めるんだけど、とてもじゃないけどあなたの言ったことについていけそうにないわ」
「私が本気を出せばもっとすごいことが言えるよ」公爵夫人は嬉しそうに返事をした。
written down(書き留める、記録する)
【メモ】
That's nothing to what I could say if I chose
あれは何でもない、私が言ったことは、もし私が選んだら
→私が本気を出せば(言葉を選んで言うならば)、さっき言ったことは目じゃないわよってこと
「お願いだからこれ以上は勘弁してほしいわ」とアリス。
「おや!もういいのかい?」と公爵夫人。「お前には今までの言葉の全てをプレゼントしよう」
any longer(もはや、これ以上)
「安っぽいプレゼントね!」とアリスは思った。「誕生日のプレゼントじゃなくて良かったわ!」だが、声に出して言う危険は冒さなかった。
「また何か考えているね?」公爵夫人は小さな鋭いあごでさっきと違う部分をえぐりながら尋ねてきた。
「私にも考える権利があるの」アリスは少し心配になってきたのでピシャリと言った。
have a right to(~する権利がある)
「そうさね、その通りだよ」と公爵夫人。「ブタが飛ぶようなものだ。そのきょうく―」だが、ここまで来た時アリスはとても驚いた。公爵夫人のお気に入りの言葉「教訓」が途中で途切れ、組まれていた腕は震え始めた。見上げると、そこには女王が立っていた。女王は腕を組み、雷雲のように顔をしかめていた。
tremble トレンボォル(震える、身震いする)
folded(折りたたむ)
frown フラウン(怒ったり考え込んだりして眉をひそめる、顔をしかめる)
「本日は良い天気でございますね、女王陛下!」公爵夫人は力のない声で低くお辞儀をした。
「ハンッ、公平な警告を与えるぞ」地面をドスンと踏み鳴らし女王は吠えた。「ここから去るか、首をはねられるか!どちらが良いか今すぐ選べ!」
【メモ】
either you or your head must be off
お前がoffするか、お前の首がoffするか
公爵夫人が選んだのは今すぐここから去ることだった。
「さあゲームに戻るぞ」女王はアリスに言った。アリスは完全に震えあがって何も言えなくなってしまい、ゆっくりと女王の後をついていきながらクロッケー場へ戻った。
公爵夫人!!
公爵夫人と女王の間に何があったんでしょう。しかし夫人面白いけど、扱いがひどすぎやしませんか(笑)挿絵のジョン・テニエル版の公爵夫人のモデルは「醜女の肖像」という風刺画からきているのではないかという説があるみたいです。