江戸川乱歩「木馬は廻る」朗読表現についての考察
Youtubeチャンネルにて「木馬は廻る」の朗読を投稿しています。
3回に分けて朗読しました。以下、再生リストのリンクです。
https://www.youtube.com/playlist?list=PLhnf6vXf1Jv6pvx2Fmyz_WlXQ4BmaY5M-
【作品背景】
作者:江戸川乱歩 1894(明治27)年10月21日ー1965(昭和40)年7月28日
発表年:初出 1926(大正15)年「探偵趣味」探偵趣味の会10月号
時代背景:大正時代末期
【テーマ】
哀愁
※作者の乱歩自身が「この小説は木馬館の哀愁を描こうとしたものである」と、語っています。
参照
【主な登場人物】
・格二郎:主人公。木馬館でラッパを吹く仕事をしている50代の男性
・お冬:木馬館で切符きりをしている18歳の女性
【物語の構成 起承転結】
起 :
物語は、格二郎が木馬館でラッパを吹く仕事をしている様子から始まります。彼はかつて人気のある音楽師でしたが、時代の変化に伴い木馬館で働くようになりました。生活は貧しく、苦しいですが、木馬館での演奏中は一時的に現実を忘れて楽しい世界に浸っています。
承 :
格二郎は木馬館で働く若い切符切りの女性、お冬に恋愛感情を抱きます。彼の日常生活と内面の感情が描かれ、木馬館での働きと現実生活の対比が浮き彫りになります。
転 :
物語の転機は、ある青年が現れて格二郎に封筒を残して去る場面です。この出来事が、物語に新たな動きをもたらし、格二郎の内面に変化を引き起こします。
結 :
最終的に、木馬は廻り続けます。この結末は、夢と現実、希望と絶望の間で格二郎が抱える葛藤を象徴しています。
【朗読表現においての考察】
作品の魅力
時代の変化と共に職を失った主人公の哀愁が
夢と現実、希望と絶望の間で揺れる主人公の心情
木馬館という特殊な舞台設定
この3つが混ざって、大正時代の当時の情景への哀愁・郷愁が作品を読んでいて湧き上がってきました。
テンポよく進むストーリーのリズム感を大切に、当時の庶民の哀愁を表現したいと思いました。
また、この作品には冒頭から「歌」が多く登場します。
「ここはお国を何百里、離れて遠き満洲の……」
これを歌ってしまうか非常に悩みましたけど、
歌いませんでした。私の歌唱力?では聴き手のイメージ、朗読自体を壊しかねない、と思いましたので(汗)
そこは朗読者の趣味だと思います。
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