植物は天国の夢を見る
君の温度に値札がついていたころ
下駄箱に入っていた上履きは
左右がいつも逆で
リノリウムの床に
叩きつけるように
上履きを落としたとき
弾丸のような音は
肺を一気に貫いて
押し出された空気が
固く閉じた唇の裏側に
突き放すように触れた。
生きることがしんどいと
思ったことは一度もない。
ドン・キホーテで買った
恐竜の目の色をしたランプが
夜になると勝手に点灯するようになり
町を歩いていると
通り過ぎていく通行人の
顔や笑い声のように
ただの背景のような天井や壁が
ホットケーキミックスのような色になるのを
毛布から左目と鼻を出して見ていた。
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