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スヴォーロフと軍令について
スヴォーロフは号令や命令などで雄鶏の鳴き声の真似をしたり、銃剣による攻撃を命令する際には「貴族の阿呆」といった言葉を用いました。このように一種の奇行と捉えられている命令法には単純な理由が3点ありました。
1:まず、覚えやすく分かりやすく簡略化された言い回しを彼が推奨したことです。つまり、当時のロシア帝国の軍隊は民族が異なる集団から構成されており、時には軍令が正しく伝わらなかったりしました。従って、スヴォーロフはあらゆる奇異な言動がそれ自体意味が無くとも、最も伝わりやすい信号であるとして認識していたようです。
2:スヴォーロフはこれらの信号を各戦闘ごとに使い分けていました。例えば、雄鶏の鳴き声はある時は進軍であり、ある時は敵包囲を意味していました。これはスヴォーロフが目の前の敵よりも「言葉による敵」を非常に恐れたためであるそうです。つまり、スヴォーロフは間諜を非常に警戒していました。
3:スヴォーロフの用兵術は究極の単純化と徹底的な訓練によって兵士がそれに適応できることにありました。それは本文中にもありますが、スヴォーロフが使用した暗号は分かりやすく発音が明瞭な単語で、なおかつ短い言葉でした。それらの時の言葉は勇ましく、時に敬虔な言葉でありました。
平成30年1月27日 有馬貴臣