花組公演「冬霞の巴里」感想ーまとめ-
台詞
「私から大切なひとを奪った」
一幕はじめの母さんの台詞。事実がわかるのは二幕に入ってから…そこでこのセリフが来るとはね。母さんやりよる。
「何か大切なものを忘れておる…」
ジャコブさんのこのセリフがラスト姉さんの
「それだけではなかった」
に繋がるんだよね。
シルヴァンの「あんなやつ気にするな」「そろそろ仕掛けようぜ」、そしてヴァランタン。
この二人の関係はポーの一族のアランとエドガーみたいでとても面白い。きっとシルヴァンはアランと同じでヴァランタンがエドガーが大切だったんだよね。だからこそ、ヴァランタンがオクターヴを気にするのが気に入らなかったんだよ。
少年シャルルの「悪党になる」とか「邪魔すんなよ」って台詞も深くて好きだ。
気になるのは、オクターヴがギョームのことをおじさん呼ぶか父と呼ぶか。そして、ヴァランタンがギョームのことを君のおじさんと呼ぶか君のお父さんと呼ぶか。あまりちゃんと聴けなかったここをしっかり聞いてみたい。
言葉の羅列が世界を、物語を作り出す。離れているのにつながっていく。本当に素敵な言葉選び。最高でした。
歌詞
プロローグの歌詞、光なきワルツの歌詞。これはきっとオクターヴ自身のこと。オクターヴの物語。そんなふうに感じた。
昼食会の歌の雨傘。日傘。靴紐。ごちゃまぜになっているがオーギュスト一家と下宿の人たちと聞き分けるとすんなり入る。どっちの生活が幸せなのか。わからない。
そして母さんとおじさんの「狂い咲いたアネモネ」この二人は結婚して夫婦という形で罪をともに背負っている。オクターヴと姉さんは兄弟という形で罪を背負っている。姉さんが兄弟いう選択をしなかったなら、この二人みたいになっていたのかな。
音楽
「オーギュストもそうだった…」
あのときに流れる音楽が好き。
会話と会話…その間に流れる音楽。世界に入って、見入ったときに気づかず流れている音楽。私達はすでに彼らに操られているんだよ。
空間を把握した音。好きです。
衣装
お衣装はあまりしっかりと見れていない。ひとこさんが言っていた同じような生地が使われているとのこと。次はしっかりと見てみたい。
終わりに
この作品に出逢ってから咲いた現実世界の桜たち。大好きな桜なのに、そこにあるのにないように、色がついているのについてないように、みえた。桜が桜色に見えないそんなことを思っているうちに儚く散った。散りゆく桜に来年こそはきれいな桜が見れますようにと心のなかで何度も願った。
でも、来年よりも早く私には桜が視えた。
冬霞の巴里で出逢ったお役たちが自らぐんぐんと枝を伸ばしていき、大きな一本の木に。
そして私達の解釈が小さな花を咲かせた。十人十色の沢山の真実が、納得が、たくさん咲いた。
そして、それは大きな立派な桜になった。私は心のなかで現実よりも大きく綺麗に光輝く桜が視えました。
決して散ることがない、これからもますます咲き誇る心桜。
あぁ…私も桜が見えた。今までで一番きれいで美しく大きな桜。
ひとさん、冬霞の巴里の皆さん、解釈を色々上げてくださった皆さん、こんなにも素敵な心桜を咲かせてくださり、ありがとうございました!!