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なんでも食べる
かぼちゃ団子をいただいた。
かぼちゃを冬の間に外で凍らせ、溶ける時にやわらかくなったものに紐を通して、何日か水にさらしてあくを抜いて軒下に吊るす。
カラッカラに乾いたものを砕いて粉をとる。
この粉を使って白玉団子に味をつけたものをいただいた。
ほんのりとかぼちゃが香る甘いお菓子。
西和賀は山に囲まれ、冷害による不作や凶作に周期的にみまわれてきた。
明治末までの220年間に大凶作が17回、不作や凶作が63回と3年に1度の割合。
一関の博物館で建部清庵の救荒植物の展示があったが、西和賀の民俗資料館にも同様の展示がある。
クズの根、ワラビの根、トチの実、ヨモギやヤマゴボウの葉をなどなど、野や山をかけめぐって、食べれるものを必死になって集めて命をつないだ。
ワラビの根からとった粉を「根花」という。
根をつぶして灰であくを抜き、水の中で沈殿させて粉をとる。保存がきく備荒食だ。
この方法は、奈良・宇陀の森野旧薬園の葛粉と同じ方法だ。
水が豊かな地域の手法で、とても手間がかかる。
今はワラビ粉といいながら、サツマイモやタピオカのでんぷん粉が代用されているが、西和賀ではホンモノのワラビ粉が名産品となっている。
雪が降り始める11月終わりから、栽培ワラビの根を掘り出して作る。
西和賀のお母さん手作りの、ワラビの生姜醤油漬け、菊の花の酢の物、なますもごちそうになった。
クワ・ミント・ドクダミで作ったお茶もいただいた。
どれも上品な味付けで、とても美味しかった。
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お母さんは、話のなかで何度も「なんでも食べる」と話した。
野山に出てくるもので、食べれるものは、なんでも食べると。
自然のものをいただくとか、健康のためとかではなく、生きるためになんでも食べると。
話の中で、自然に対する賛美はない、自分たちの食に対するこだわりもない。あるものの中で、どうやってきたかを淡々とお話される。
誰かのまねではない、誰かの理想ではない言葉は、オリジナルの力が感じられる。
ノビルを「ひろっこ」という。
春になって家族で湯治に行った際、親について行ってひろっこを採って食べた記憶があり、今も当時と同じように作って食べると。
西和賀も隣町の花巻も、温泉地では湯治と言って、療養目的に自炊して長期滞在できる。
春の魚のにしんを醤油で煮て、ひろっこをのせて食べるとも。
子どものころは、親に言われてカタクリの葉を集めた。カタクリには花の咲かないものがあって、その葉をとった。
茹でてお浸しにして食べたと。
ワラビは春にとってあくを抜いて、塩蔵したものを塩抜きして生姜・しょうゆに漬けたものをいただいた。
西和賀はワラビの名産地で、粘るとのこと。
大根は一本まるまま漬ける一本漬けが有名で、渋柿も一緒に漬けると、大根が美味しくなり、柿も甘くなるとのこと。
春に一緒に山を歩く約束をした。
2024.12.26