私の原則
お茶に関して私の原則は「嘘をつかない」こと。
ちょっとしたささやかなものでも、お茶について嘘をつく方とは積極的に縁を切ってます。
5年前にハノイの茶商に頼まれて、東京でベトナム茶の茶会をしました。
事前の打ち合わせで、彼の「red tea」は日本の「紅茶」ではないことを指摘しました。「red tea」は白茶です。乾燥の工程でゆらして傷をつけ酸化発酵させて赤くしたお茶で、揉捻の工程が入る紅茶とは別物です。
仲良くしていたポーランド人と組んでお茶会をやってほしいと依頼され、彼には通訳をお願いしました。悪い人ではないが、自己中心的な考えが強く、自分以外のことに関してルーズという欠点がありました。また、外国人だから奢ってもらうのは当たり前という白人独特の差別意識も問題でした。彼と組むのは危険だと、予め指摘しました。
実際のお茶会では、恐れていた以上の惨状がくり広げられました。そのポーランド人は、通訳どころかお茶に関係ない自分の話、ハノイの茶商の経歴をだらだらと話し、挙げ句の果てには静岡で仲良くしているお茶農家の話をする始末。
お客様はお金を払ってベトナム茶の話を聞きにきてくださってるのに、あんたの自慢話なんてどうでもいいんだよ!と頭を抱えました。
決定的にダメだったのが「red tea」を「black tea」と説明したこと。飲めばどんな味音痴でも白茶とわかる嘘を平気で言ってのけた。
私の縁でいらっしゃるお客様はお茶に厳しいこと、嘘で失った信頼を取り返すのは不可能である事を説明しました。そして、ポーランド人を切るようお願いしたが、却下された。
しょうがないので、白茶を紅茶という嘘は、ホントやめてくれときつく言った。
その後の無駄話は増えたけど、嘘は無くなり、なんとかお茶会を終え、以降、縁を切りました。
ベトナム北部に「black tea」がないということは、ヨーロッパへのお茶輸出の歴史がなかったという事です。
日本やヨーロッパでは、紅茶が当たり前のように存在しており、赤い色のお茶を紅茶と言ってしまう気持ちは理解できます。
この事案は紅茶がない地域が存在するという知見を知るきっかけでした。移動する民族、モン族の歴史を知るための事実のひとつです。
新しい事を知る、気づくということは、それまでの常識を越える必要があります。
私は人間関係を壊してでも、こだわる意義があると判断しました。
私は友達が少ないです。
Noteで発信力をつけて、自分なりに正直にお茶をお伝えしたいと思っています。
標題の写真は、ポーランド人の友達の作品。彼女は人が良いので捨てられないで大事にしています。
2024.8.9