【数B】数学的帰納法のポイント
こんにちは、すうじょうです。さて、今回は数学的帰納法について、扱っていきたいと思いますが、高校生以上の方なら、数学的帰納法という証明方法を習ったのではないでしょうか。昔は、数学Aで習うことになっていたみたいですが、今は数学Bの数列の単元で習うことになっています。
数学的帰納法(帰納法)とは
日本で有名な数学参考書である青チャート(数研出版)によれば、
とのことです。
直観的には、ドミノ倒しを例に出されてよく説明されると思います。等間隔に並んだドミノがあるとき(自然数のこと)、最初のドミノが倒れ、あるドミノが倒れると、必ず隣のドミノが倒れるならば、すべてのドミノは倒れるといった具合に説明されたのではないでしょうか。比較的、その証明の理屈は理解しやすいと思います。
また、この証明方法はすべての自然数だけでなく、その基礎部分[1]を変えて、帰納段階部分[2]のnの範囲を指定すれば、「3以上のすべての自然数で成り立つことを示す」といったこともできます。
もちろん、その記述方法には先生によって、多少の好みがあるでしょう。[2][1]という順番で記述したリ、[2]をn=kのときなどとせずに、単にn+1のときとして、nのときを帰納法の仮定として式変形等に用いるなど様々ありますが、基本は上述したとおりです。
これは、すべての自然数という終わりのない無限に続く、数の列の全体についてわずか2段階で証明できるという強力な証明手段で、高校で同じく間接証明法として習う背理法同様によく使われます。特に記述式の試験においては、数列の一般項の出し方がわからなかったときなどに自分で推測して、それが正しいことを主張するために使うというような最後の手段としても用いられるほどです。もちろん、自然数に関するものならなんでも示せるというわけではなく、いわゆるフェルマーの最終定理といったような一見簡単に思える命題も帰納法では証明できていません。このような証明できない命題がある理由は、[1]ができても、[2]が難しいからです。
数学的帰納法の証明のポイント
ここでは、上に述べたような強力な証明である帰納法の問題に詰まっている人向けにポイントを解説してみることにします。数学的帰納法で詰まっているという人の多くが、[2]の式変形で詰まっていると思います。([1]はただ代入して確かめればいいだけです)
そこで、ここでは、帰納法の問題のパターンを以下の2つに大別して説明します。
1.証明する命題がnを含む式になっている
2.証明する命題が倍数であることを証明するなど抽象的である
まず、1についてですが、これには等式と不等式の2パターンがあります。等式の場合も不等式の場合もn=kのときの仮定の形を作り出して、おきかえるということがポイントです。といっても、文だけでは伝わりにくいので例を挙げます。
この例題1では、n=k+1のときにn=kのときの左辺の形を作って、次の行でその部分を仮定の右辺におきかえています。ちなみに、(∵②)の∵はなぜならばなどと読み、その行の式変形の根拠を示しています。
この例題2では、n=k+1のときにn=kのときの左辺の形を作って、次の行でその部分を仮定の右辺におきかえています(=ではなく、>であることに注意)。あとは、平方完成をして、(左辺)−(右辺)>0を示せば終わりです。
ここで、n=k+1のときの記号=と>の使い方がわからないという人もいると思うので説明します。このときの=と>はそれぞれ記号の前の行の式と記号がある行の式の関係を表しています。
次に2についてですが、これは抽象的に文で与えられた条件を文字を使って数式で表せばいいだけです。あとは、基本的に1と同じ流れで示せます。以下に例を挙げます。
この例題3では、n=kのときに13で割り切れる(=13の倍数)というのを文字を使っておきました。n=k+1のときにn=kのときにおいた式の左辺の形を作って、次の行でその部分を仮定の右辺におきかえています。ただし、mは自然数ではなく、整数としてもいいですが本問の場合は負整数はありえないので、自然数としました。
以上の例題1, 2, 3でおおよその数学的帰納法のポイントを示しました。解答も減点されないようにかなり丁寧に記述したつもりです。あとは、他分野の知識や式変形を利用するといった融合問題くらいしかおおよそ出題されていないので、それは各自で参考書や問題集等で確認してほしいです。
まとめとして、数学的帰納法の重要ポイントは仮定の形を作り出すことです。では。