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【線形代数】5 連立1次方程式

こんにちは、これが418本目の記事となったすうじょうです。今日は、大学数学の解説記事です。今回の内容は、線形代数より連立1次方程式を解説します。

この記事は、以下の記事の続きです。


連立1次方程式

連立1次方程式の復習

連立1次方程式とは、1次方程式を連立したものである。中学数学において初めて登場した。未知数が少ない連立1次方程式は容易に解くことができる。例えば、以下のようにして連立1次方程式を解くことができる。

$$
\begin{aligned}
&\begin{cases}
4x+3y=4 -\textcircled{1}\\
3x+2y=2 -\textcircled{2}
\end{cases}\\
&\textcircled{1} \times 2 - \textcircled{2} \times 3より\\
&-x=2 \therefore x=-2\\
&\textcircled{1}よりy=4\\
\end{aligned}
$$

一方、未知数が多い連立1次方程式が様々な分野で登場するが、それをこのように毎回考えて解くのは大変である。例えば、機械学習(AI)の分野において、数多くの未知数をもつ連立1次方程式が登場する。
ここでは、そのような連立1次方程式を機械的に解く方法(アルゴリズム)を考える。そのようなアルゴリズムが分かれば、コンピュータを使えば複雑な連立1次方程式を簡単に解くことができる。

連立1次方程式の行列表示

以下のような、$${n}$$個の未知数$${x_1,x_2,x_3,…,x_n}$$についての$${m}$$個の1次方程式を連立した連立1次方程式があるとき、

$$
\begin{cases}
a_{11}x_1+a_{12}x_2+\cdots+a_{1n}=b_1\\
a_{21}x_1+a_{22}x_2+\cdots+a_{2n}=b_2\\
\hspace{7em}\vdots\\
a_{m1}x_1+a_{m2}x_2+\cdots+a_{mn}=b_m
\end{cases}\\
$$

$$
A=\begin{pmatrix}
a_{11}&a_{12}&\cdots&a_{1n}\\
a_{21}&a_{22}&\cdots&a_{2n}\\
\vdots&\vdots&&\vdots\\
a_{m1}&a_{m2}&\cdots&a_{mn}
\end{pmatrix},
\bm{x}=\begin{pmatrix}
x_1\\
x_2\\
\vdots\\
x_n
\end{pmatrix},
\bm{b}=\begin{pmatrix}
b_1\\
b_2\\
\vdots\\
b_m
\end{pmatrix}
$$

とおくと、

$$
A\bm{x}=\begin{pmatrix}
a_{11}x_1+a_{12}x_2+\cdots+a_{1n}\\
a_{21}x_1+a_{22}x_2+\cdots+a_{2n}\\
\vdots\\
a_{m1}x_1+a_{m2}x_2+\cdots+a_{mn}
\end{pmatrix}
$$

より連立1次方程式は$${A\bm{x}=\bm{b}}$$と表せる。このとき、$${A}$$を係数行列という。

ここで、拡大係数行列$${(A  |  \bm{b})}$$を考える。連立1次方程式の解を求めるためには、1次方程式を変形して連立1次方程式を簡単にしなければならない。拡大係数行列を簡約化して、簡約行列にすると、連立1次方程式を簡単な形に変形することができ、そこから解を求めることができる。この操作は、$${A\bm{x}=\bm{b}}$$に基本行列$${E_1,E_2,…,E_k}$$を左からかけていき、$${E_k \cdots E_2E_1A\bm{x}=E_k \cdots E_2E_1\bm{b}}$$としている。基本行列は正則であるので、その逆行列を左からかけていくと元の$${A\bm{x}=\bm{b}}$$に戻る。よって、拡大係数行列を簡約化しても解は変化しないので、この方法で連立1次方程式を解くことができる。

また、簡約化の際に行う操作である行基本変形はそれぞれ連立1次方程式を解くために行うことがある操作にそれぞれ以下のように対応している。

(1) 2つの行を入れ替える
   2つの方程式の順を入れ替える
(2) ある行に0でない数をかける
   ある方程式の両辺に0でない数をかける
(3) ある行に他の行を何倍かしたものを足す
   ある方程式の両辺に他の方程式の両辺を何倍かしたものを足す(加減法)

連立1次方程式の解き方

連立1次方程式$${A\bm{x}=\bm{b}}$$があるとき、以下の手順で解を求めることができる。ここで登場する解の自由度とは、連立1次方程式の任意の解を表現するために必要なパラメータ(任意定数)の個数のことである。

[1]拡大係数行列$${(A  |  \bm{b})}$$を考え、簡約化する
[2]簡約化した拡大係数行列を連立方程式の形にする
   [2-1]1つでも成立しない方程式があるとき、解なし
   [2-2]解の自由度$${=}$$未知数の数$${- \text{rank}A}$$を計算し、解の自由度の数だけ未知数をパラメータとして文字でおき、未知数すべてをパラメータを用いて表す(できるだけ簡約行列で主成分となっていない未知数をパラメータにする)

例題1 次の連立1次方程式を解け。

$$
(1) \begin{cases}
x+2y-3z=-1\\
-x+2y+z=3\\
2x+y-2z=4
\end{cases}
$$

[解答①]

$$
\begin{aligned}
&\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
1&2&-3&-1\\
-1&2&1&3\\
2&1&-2&4
\end{array}\end{pmatrix}
\overset{\textcircled{2}+\textcircled{1}\times 1}{\overset{\textcircled{3}+\textcircled{1}\times (-2)}{\longrightarrow}}
\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
1&2&-3&-1\\
0&4&-2&2\\
0&-3&4&6
\end{array}\end{pmatrix}\\
&\overset{\textcircled{2}+\textcircled{3}\times 1}{\longrightarrow}
\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
1&2&-3&-1\\
0&1&2&8\\
0&-3&4&6
\end{array}\end{pmatrix}
\overset{\textcircled{1}+\textcircled{2}\times (-2)}{\overset{\textcircled{3}+\textcircled{2}\times 3}{\longrightarrow}}
\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
1&0&-7&-17\\
0&1&2&8\\
0&0&10&30
\end{array}\end{pmatrix}\\
&\overset{\textcircled{3}\times \dfrac{1}{10}}{\longrightarrow}
\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
1&0&-7&-17\\
0&1&2&8\\
0&0&1&3
\end{array}\end{pmatrix}
\overset{\textcircled{1}+\textcircled{3}\times 7}{\overset{\textcircled{2}+\textcircled{3}\times (-2)}{\longrightarrow}}
\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
1&0&0&4\\
0&1&0&2\\
0&0&1&3
\end{array}\end{pmatrix}\\
&\begin{cases}
x=4\\
y=2\\
z=3
\end{cases}
\end{aligned}
$$

(1)の様子を表す図を以下に示す。赤の平面が$${x+2y-3z=-1}$$、青の平面が$${-x+2y+z=3}$$、緑の平面が$${2x+y-2z=4}$$となっている。

図8:(1)の様子

$$
(2) \begin{cases}
2x-y-z=3\\
-x+3y-2z=1
\end{cases}
$$

[解答①]

$$
\begin{aligned}
&\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
2&-1&-1&3\\
-1&3&-2&1
\end{array}\end{pmatrix}
\overset{\textcircled{1}\leftrightarrow\textcircled{2}}{\longrightarrow}
\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
-1&3&-2&1\\
2&-1&-1&3
\end{array}\end{pmatrix}\\
&\overset{\textcircled{2}+\times (-1}{\longrightarrow}
\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
1&-3&2&-1\\
2&-1&-1&3
\end{array}\end{pmatrix}
\overset{\textcircled{2}+\textcircled{1}\times (-2)}{\longrightarrow}
\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
1&-3&2&-1\\
0&5&-5&5
\end{array}\end{pmatrix}\\
&\overset{\textcircled{2}\times \dfrac{1}{5}}{\longrightarrow}
\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
1&-3&2&-1\\
0&1&-1&1
\end{array}\end{pmatrix}
\overset{\textcircled{1}+\textcircled{2}\times 3}{\longrightarrow}
\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
1&0&-1&2\\
0&1&-1&1
\end{array}\end{pmatrix}\\
&\begin{cases}
x-z=2\\
y-z=1
\end{cases}\\
&解の自由度は3-2=1\\
&z=sとおくと, x=s+2, y=s+1\\
&\begin{pmatrix}
x\\y\\z
\end{pmatrix}
=s\begin{pmatrix}
1\\1\\1
\end{pmatrix}
+\begin{pmatrix}
2\\1\\0
\end{pmatrix}
(sは任意定数)
\end{aligned}
$$

(2)のように、連立1次方程式の解が一意に定まらず、無数にあるとき不定という。

(2)の解は、点$${(2,1,0)}$$を通り方向ベクトル$${(1   1   1)^T}$$となる直線である。これは、連立されている2平面が交わっている部分の直線である。

(2)の様子を表す図を以下に示す。赤の平面が$${2x-y-z=3}$$、青の平面が$${-x+3y-2z=1}$$、緑のベクトルが解ベクトルの一例となっている。

図9:(2)の様子

$$
(3) \begin{cases}
x+2y-z=10\\
-2x-4y+2z=-5
\end{cases}
$$

[解答①]

$$
\begin{aligned}
&\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
1&2&-1&10\\
-2&-4&2&-5
\end{array}\end{pmatrix}
\overset{\textcircled{2}+\textcircled{1}\times 2}{\longrightarrow}
\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
1&2&-1&10\\
0&0&0&15
\end{array}\end{pmatrix}\\
&\overset{\textcircled{1}+\textcircled{2}\times (-\dfrac{2}{3})}{\longrightarrow}
\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
1&2&-1&0\\
0&0&0&1
\end{array}\end{pmatrix}\\
&\begin{cases}
x+2y-z=0\\
0x+0y+0z=1
\end{cases}\\
&解なし
\end{aligned}
$$

(3)のように、連立1次方程式が解けず、解が存在しないとき不能という。

(3)において、連立されている2平面の法線ベクトルはそれぞれ$${\bm{n}_1=(1   2   -1)^T}$$、$${\bm{n}_2=(-2   -4   2)^T}$$となり、$${\bm{n}_2=-2\bm{n}_1}$$より平行であるので2平面は交わらないとわかる。

(3)の様子を表す図を以下に示す。赤の平面が$${x+2y-z=10}$$、青の平面が$${-2x-4y+2z=15}$$となっている。

図10:(3)の様子

連立1次方程式の解の存在

ここでは、連立1次方程式に解が存在する条件について考える。

$${A}$$を$${m \times n}$$の係数行列とし、拡大係数行列$${(A  |  \bm{b})}$$を簡約化した簡約行列が以下のようになったとする。

$$
\begin{pmatrix}\begin{array}{ccccccccccc|c}
&  & 1 & * & \cdots & 0 &* & \cdots & 0 & *& \cdots&c_1\\
 & & & & &1 & * & \cdots & 0 & *& \cdots&c_2\\
 & & & & & & & \ddots & \vdots & &&\vdots\\
 & & & & & & & & 1 & * & \cdots &c_r\\
\LARGE O & & & & & & & &  &  & &c_{r+1}\\
& & & & & & & &  &  & &\bm{0}\\
\end{array}\end{pmatrix}
$$

この簡約行列の最後の列について、2つの場合が考えられる。

$${(\text{i})c_{r+1}=0}$$のとき
$${\text{rank}A=\text{rank}(A  |  \bm{b})=r}$$となる。
$${n-\text{rank}A=n-r}$$で解の自由度を計算し、$${n-r}$$個の任意定数$${\lambda _1, \lambda _2, …, \lambda _{n-r}}$$を用いて、例えば$${x_1=\lambda _1, x_2=\lambda _2, …, x_{n-r}=\lambda _{n-r}}$$とおく。
このとき、解は$${\bm{x}=\lambda _1\bm{u}_1+\lambda _2\bm{u}_2+\cdots+\lambda _{n-r}\bm{u}_{n-r}+\bm{x}_0}$$の形となる。
ここで、$${\bm{x}_0}$$について$${\bm{x}=\bm{x}_0}$$を$${A\bm{x}=\bm{b}}$$に代入すると、$${A\bm{x}_0=\bm{b}}$$が成り立ち、解の一つとなっている。

※$${\bm{x}_0}$$のような連立1次方程式の一つの解を特殊解という。それに対して、任意定数を用いてすべての解を表したものを一般解という。

$${(\text{ii})c_1=c_2=\cdots=c_r=0}$$かつ$${c_{r+1}=1}$$のとき
簡約化した拡大係数行列を連立方程式の形にすると、最後に$${0x_1+0x_2+\cdots+0x_n=1}$$が出てくる。この方程式は成り立たない。よって、このとき解をもたない。

以上より、次のことがいえる。
連立1次方程式$${A\bm{x}=\bm{b}}$$が解をもつ必要十分条件は$${\text{rank}A=\text{rank}(A  |  \bm{b})}$$である。

斉次(同次)連立1次方程式

連立1次方程式のうち、定数項がすべて0である、つまり$${A\bm{x}=\bm{0}}$$の形で表されるものを斉次連立1次方程式または同次連立1次方程式という。また、定数項のすべてが0ではないものを非斉次連立1次方程式または非同次連立1次方程式という。

斉次連立1次方程式$${A\bm{x}=\bm{0}}$$はすべて$${\text{rank}A=\text{rank}(A  |  \bm{0})}$$であるので、$${\bm{x}=\bm{0}}$$を解にもつ。この解$${\bm{x}=\bm{0}}$$を$${A\bm{x}=\bm{0}}$$の自明な解といい、$${\bm{x}\neq \bm{0}}$$の解を非自明な解という。

ここで、斉次連立1次方程式が非自明な解をもつ条件について考える。

非自明な解をもつのは、自明な解以外に解が存在するときである。つまり、解の個数が無数にあるときである。解の個数は、解にパラメータが含まれるかどうかによって決まる。つまり、解の自由度が1以上かどうかが重要である。係数行列$${A}$$が$${m \times n}$$であるとき、解の自由度は$${n-\text{rank}A}$$である。

よって、斉次連立1次方程式$${A\bm{x}=\bm{0}}$$が自明な解のみをもつ必要十分条件は$${n-\text{rank}A=0 \therefore \text{rank}A= n}$$である。一方、非自明な解をもつ必要十分条件は$${n-\text{rank}A>0 \therefore \text{rank}A< n}$$である。

斉次連立1次方程式が非自明な解をもつとき、$${n-\text{rank}A=n-r}$$とすると、任意定数$${\lambda _1, \lambda _2, …, \lambda _{n-r}}$$を用いて、例えば$${x_1=\lambda _1, x_2=\lambda _2, …, x_{n-r}=\lambda _{n-r}}$$とおくと、解は$${\bm{x}=\lambda _1\bm{u}_1+\lambda _2\bm{u}_2+\cdots+\lambda _{n-r}\bm{u}_{n-r}}$$の形となる。
ここで、$${\bm{u}_1, \bm{u}_2, …,\bm{u}_{n-r}}$$について$${\bm{x}=\bm{u}_i}$$を$${A\bm{x}=\bm{0}}$$に代入すると、$${A\bm{u}_i=\bm{0}(i \in \{1, 2, …, n-r \})}$$が成り立ち、それぞれ解の一つとなっている。

※斉次連立1次方程式$${A\bm{x}=\bm{0}}$$を満たす解$${\bm{u}_1, \bm{u}_2, …,\bm{u}_{n-r}}$$を基本解という。

非自明な解をもつ斉次連立方程式の解の形と非斉次連立方程式の解の形を比較すると、違いは$${\bm{x}_0}$$の部分だけである。つまり、以下のことがいえる。

任意定数を用いて、$${x_1=\lambda _1, x_2=\lambda _2, …, x_{n-r}=\lambda _{n-r}}$$とおく。
斉次連立1次方程式$${A\bm{x}=\bm{0}}$$の解$${\bm{x}}$$
$${\bm{x}=\lambda _1\bm{u}_1+\lambda _2\bm{u}_2+\cdots+\lambda _{n-r}\bm{u}_{n-r}}$$
非斉次連立1次方程式$${A\bm{x}=\bm{b}}$$の解$${\bm{x}}$$
$${\bm{x}=\lambda _1\bm{u}_1+\lambda _2\bm{u}_2+\cdots+\lambda _{n-r}\bm{u}_{n-r}+\bm{x}_0}$$
$${=A\bm{x}=\bm{0}}$$の一般解$${+A\bm{x}=\bm{b}}$$の特殊解

連立1次方程式の解法まとめ

ここまでの議論を踏まえ、連立1次方程式$${A\bm{x}=\bm{b}}$$の解を求める手順を一部変更して整理する。

[1]拡大係数行列$${(A  |  \bm{b})}$$を考え、簡約化する
[2]$${\text{rank}A}$$と$${\text{rank}(A  |  \bm{b})}$$をそれぞれ求める
   [2-1]$${\text{rank}A\neq \text{rank}(A  |  \bm{b})}$$のとき、解なし
   [2-2]$${\text{rank}A\neq \text{rank}(A  |  \bm{b})}$$のとき、簡約化した拡大係数行列を連立方程式の形にし、解の自由度$${=}$$未知数の数$${- \text{rank}A}$$を計算し、解の自由度の数だけ未知数をパラメータとして文字でおき、未知数すべてをパラメータを用いて表す(できるだけ簡約行列で主成分となっていない未知数をパラメータにする)
[3]解の形は$${\bm{x}=\lambda _1\bm{u}_1+\lambda _2\bm{u}_2+\cdots+\lambda _{n-r}\bm{u}_{n-r}+\bm{x}_0}$$となる

また、基本解$${\bm{u}_i}$$や特殊解$${\bm{x}_0}$$の検算方法は以下のようにすればよい。
基本解をもとの連立1次方程式の定数部分を0にした式に代入して、成り立てばよい
特殊解をもとの連立1次方程式に代入して、成り立てばよい

この手順で例題1を解いてみる。ただし、簡約化の過程は省略する。

例題1 次の連立1次方程式を解け。

$$
(1) \begin{cases}
x+2y-3z=-1\\
-x+2y+z=3\\
2x+y-2z=4
\end{cases}
$$

[解答②]

$$
\begin{aligned}
&A=\begin{pmatrix}
1&2&-3\\
-1&2&1\\
2&1&-2
\end{pmatrix}, \bm{b}=\begin{pmatrix} -1\\ 3\\ 4 \end{pmatrix}とおく\\
&\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
1&2&-3&-1\\
-1&2&1&3\\
2&1&-2&4
\end{array}\end{pmatrix}
\longrightarrow
\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
1&0&0&4\\
0&1&0&2\\
0&0&1&3
\end{array}\end{pmatrix}\\
&\text{rank}(A  |  \bm{b})=3, \text{rank}A=3より\\
&\text{rank}(A  |  \bm{b})=\text{rank}Aであるので, 解をもつ\\
&\begin{cases}
x=4\\
y=2\\
z=3
\end{cases}
\end{aligned}
$$

$$
(2) \begin{cases}
2x-y-z=3\\
-x+3y-2z=1
\end{cases}
$$

[解答②]

$$
\begin{aligned}
&A=\begin{pmatrix}
2&-1&-1\\
-1&3&-2
\end{pmatrix}, \bm{b}=\begin{pmatrix} 3\\ 1 \end{pmatrix}とおく\\
&\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
2&-1&-1&3\\
-1&3&-2&1
\end{array}\end{pmatrix}
\longrightarrow
\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
1&0&-1&2\\
0&1&-1&1
\end{array}\end{pmatrix}\\
&\text{rank}(A  |  \bm{b})=2, \text{rank}A=2より\\
&\text{rank}(A  |  \bm{b})=\text{rank}Aであるので, 解をもつ\\
&\begin{cases}
x-z=2\\
y-z=1
\end{cases}\\
&解の自由度は3-2=1\\
&z=sとおくと, x=s+2, y=s+1\\
&\begin{pmatrix}
x\\y\\z
\end{pmatrix}
=s\begin{pmatrix}
1\\1\\1
\end{pmatrix}
+\begin{pmatrix}
2\\1\\0
\end{pmatrix}
(sは任意定数)
\end{aligned}
$$

$$
(3) \begin{cases}
x+2y-z=10\\
-2x-4y+2z=-5
\end{cases}
$$

[解答②]

$$
\begin{aligned}
&A=\begin{pmatrix}
1&2&-1\\
-2&-4&2
\end{pmatrix}, \bm{b}=\begin{pmatrix} 10\\ -5 \end{pmatrix}とおく\\
&\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
1&2&-1&10\\
-2&-4&2&-5
\end{array}\end{pmatrix}
\longrightarrow
\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
1&2&-1&0\\
0&0&0&1
\end{array}\end{pmatrix}\\
&\text{rank}(A  |  \bm{b})=2, \text{rank}A=1より\\
&\text{rank}(A  |  \bm{b})\neq\text{rank}Aであるので, 解をもたない\\
&解なし
\end{aligned}
$$

演習問題5

問題10 次の連立1次方程式を解け。

$$
\begin{aligned}
&(1)\begin{cases}
x+3y-z=0\\
2x-2y+6z=8
\end{cases}
(2)\begin{cases}
-3x+y-z=6\\
5x-2y+3z=-9\\
3x+y-2z=-2
\end{cases}
(3)\begin{cases}
-2x+y+z=-6\\
x-2y+z=-3\\
x+y-2z=0
\end{cases}\\
&(4)\begin{cases}
3x+2y-z=0\\
-2x+4z+2w=0\\
5y+2z-3w=0\\
\end{cases}
(5)\begin{cases}
x+2y-2z+3w=5\\
3x+5y+2w=1
\end{cases}
\end{aligned}
$$

[方針]
解答で行っているパラメータの設定はあくまで一例である。

[解答]

$$
\begin{aligned}
&(1)\\
&A=\begin{pmatrix}
1&3&-1\\
2&-2&6
\end{pmatrix}, \bm{b}=\begin{pmatrix} 0\\ 8 \end{pmatrix}とおく\\
&\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
1&3&-1&0\\
2&-2&6&8
\end{array}\end{pmatrix}
\overset{\textcircled{2}+\textcircled{1}\times (-2)}{\longrightarrow}
\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
1&3&-1&0\\
0&-8&8&8
\end{array}\end{pmatrix}\\
&\overset{\textcircled{2}\times (-\dfrac{1}{8})}{\longrightarrow}
\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
1&3&-1&0\\
0&1&-1&-1
\end{array}\end{pmatrix}
\overset{\textcircled{1}+\textcircled{2}\times (-3)}{\longrightarrow}
\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
1&0&2&3\\
0&1&-1&-1
\end{array}\end{pmatrix}\\
&\text{rank}(A  |  \bm{b})=2, \text{rank}A=2より\\
&\text{rank}(A  |  \bm{b})=\text{rank}Aであるので, 解をもつ\\
&\begin{cases}
x+2z=3\\
y-z=-1
\end{cases}\\
&解の自由度は3-2=1\\
&z=sとおくと, x=-2s+3, y=s-1\\
&\begin{pmatrix}
x\\y\\z
\end{pmatrix}
=s\begin{pmatrix}
-2\\1\\1
\end{pmatrix}
+\begin{pmatrix}
3\\-1\\0
\end{pmatrix}
(sは任意定数)
\end{aligned}
$$

$$
\begin{aligned}
&(2)\\
&A=\begin{pmatrix}
-3&1&-1\\
5&-2&3\\
3&1&-2
\end{pmatrix}, \bm{b}=\begin{pmatrix} 6\\ -9\\ -2 \end{pmatrix}とおく\\
&\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
-3&1&-1&6\\
5&-2&3&-9\\
3&1&-2&-2
\end{array}\end{pmatrix}
\overset{\textcircled{2}+\textcircled{1}\times 2}{\longrightarrow}
\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
-3&1&-1&6\\
-1&0&1&3\\
3&1&-2&-2
\end{array}\end{pmatrix}\\
&\overset{\textcircled{2}\times (-1)}{\longrightarrow}
\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
-3&1&-1&6\\
1&0&-1&-3\\
3&1&-2&-2
\end{array}\end{pmatrix}
\overset{\textcircled{1}\leftrightarrow\textcircled{2}}{\longrightarrow}
\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
1&0&-1&-3\\
-3&1&-1&6\\
3&1&-2&-2
\end{array}\end{pmatrix}\\
&\overset{\textcircled{2}+\textcircled{1}\times 3}{\overset{\textcircled{3}+\textcircled{1}\times (-3)}{\longrightarrow}}
\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
1&0&-1&-3\\
0&1&-4&-3\\
0&1&1&7
\end{array}\end{pmatrix}
\overset{\textcircled{3}+\textcircled{2}\times (-1)}{\longrightarrow}
\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
1&0&-1&-3\\
0&1&-4&-3\\
0&0&5&10
\end{array}\end{pmatrix}\\
&\overset{\textcircled{3}\times \dfrac{1}{5}}{\longrightarrow}
\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
1&0&-1&-3\\
0&1&-4&-3\\
0&0&1&2
\end{array}\end{pmatrix}
\overset{\textcircled{1}+\textcircled{3}\times 1}{\overset{\textcircled{2}+\textcircled{3}\times 4}{\longrightarrow}}
\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
1&0&0&-1\\
0&1&0&5\\
0&0&1&2
\end{array}\end{pmatrix}\\
&\text{rank}(A  |  \bm{b})=3, \text{rank}A=3より\\
&\text{rank}(A  |  \bm{b})=\text{rank}Aであるので, 解をもつ\\
&\begin{cases}
x=-1\\
y=5\\
z=2
\end{cases}
\end{aligned}
$$

$$
\begin{aligned}
&(3)\\
&A=\begin{pmatrix}
-2&1&1\\
1&-2&1\\
1&1&-2
\end{pmatrix}, \bm{b}=\begin{pmatrix} -6\\ -3\\ 0 \end{pmatrix}とおく\\
&\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
-2&1&1&-6\\
1&-2&1&-3\\
1&1&-2&0
\end{array}\end{pmatrix}
\overset{\textcircled{1}\leftrightarrow\textcircled{2}}{\longrightarrow}
\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
1&-2&1&-3\\
-2&1&1&-6\\
1&1&-2&0
\end{array}\end{pmatrix}\\
&\overset{\textcircled{2}+\textcircled{1}\times 2}{\overset{\textcircled{3}+\textcircled{1}\times (-1)}{\longrightarrow}}
\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
1&-2&1&-3\\
0&-3&3&-12\\
0&3&-3&3
\end{array}\end{pmatrix}
\overset{\textcircled{2}\times (-\dfrac{1}{3})}{\longrightarrow}
\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
1&-2&1&-3\\
0&1&-1&4\\
0&3&-3&3
\end{array}\end{pmatrix}\\
&\overset{\textcircled{1}+\textcircled{2}\times 2}{\overset{\textcircled{3}+\textcircled{2}\times (-3)}{\longrightarrow}}
\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
1&0&-1&5\\
0&1&-1&4\\
0&0&0&-9
\end{array}\end{pmatrix}
\overset{\textcircled{3}\times (-\dfrac{1}{9})}{\longrightarrow}
\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
1&0&-1&5\\
0&1&-1&4\\
0&0&0&1
\end{array}\end{pmatrix}\\
&\overset{\textcircled{1}+\textcircled{3}\times (-5)}{\overset{\textcircled{2}+\textcircled{3}\times (-4)}{\longrightarrow}}
\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
1&0&-1&0\\
0&1&-1&0\\
0&0&0&1
\end{array}\end{pmatrix}\\
&\text{rank}(A  |  \bm{b})=3, \text{rank}A=2より\\
&\text{rank}(A  |  \bm{b})\neq\text{rank}Aであるので, 解をもたない\\
&解なし
\end{aligned}
$$

$$
\begin{aligned}
&(4)\\
&A=\begin{pmatrix}
3&2&-1&0\\
-2&0&4&2\\
0&5&2&-3
\end{pmatrix}, \bm{b}=\begin{pmatrix} 0\\ 0\\ 0 \end{pmatrix}とおく\\
&\begin{pmatrix}\begin{array}{cccc|c}
3&2&-1&0&0\\
-2&0&4&2&0\\
0&5&2&-3&0
\end{array}\end{pmatrix}
\overset{\textcircled{1}+\textcircled{2}\times 1}{\longrightarrow}
\begin{pmatrix}\begin{array}{cccc|c}
1&2&3&2&0\\
-2&0&4&2&0\\
0&5&2&-3&0
\end{array}\end{pmatrix}\\
&\overset{\textcircled{2}+\textcircled{1}\times 2}{\longrightarrow}
\begin{pmatrix}\begin{array}{cccc|c}
1&2&3&2&0\\
0&4&10&6&0\\
0&5&2&-3&0
\end{array}\end{pmatrix}
\overset{\textcircled{3}+\textcircled{2}\times (-1)}{\longrightarrow}
\begin{pmatrix}\begin{array}{cccc|c}
1&2&3&2&0\\
0&4&10&6&0\\
0&1&-8&-9&0
\end{array}\end{pmatrix}\\
&\overset{\textcircled{2}\leftrightarrow\textcircled{3}}{\longrightarrow}
\begin{pmatrix}\begin{array}{cccc|c}
1&2&3&2&0\\
0&1&-8&-9&0\\
0&4&10&6&0
\end{array}\end{pmatrix}
\overset{\textcircled{1}+\textcircled{2}\times (-2)}{\overset{\textcircled{3}+\textcircled{2}\times (-4)}{\longrightarrow}}
\begin{pmatrix}\begin{array}{cccc|c}
1&0&19&20&0\\
0&1&-8&-9&0\\
0&0&42&42&0
\end{array}\end{pmatrix}\\
&\overset{\textcircled{3}\times \dfrac{1}{42}}{\longrightarrow}
\begin{pmatrix}\begin{array}{cccc|c}
1&0&19&20&0\\
0&1&-8&-9&0\\
0&0&1&1&0
\end{array}\end{pmatrix}
\overset{\textcircled{1}+\textcircled{2}\times (-19)}{\overset{\textcircled{2}+\textcircled{2}\times 8}{\longrightarrow}}
\begin{pmatrix}\begin{array}{cccc|c}
1&0&0&1&0\\
0&1&0&-1&0\\
0&0&1&1&0
\end{array}\end{pmatrix}\\
&\text{rank}(A  |  \bm{b})=3, \text{rank}A=3より\\
&\text{rank}(A  |  \bm{b})=\text{rank}Aであるので, 解をもつ\\
&\begin{cases}
x+w=0\\
y-w=0\\
z+w=0
\end{cases}\\
&解の自由度は4-3=1\\
&w=sとおくと, x=-s, y=s, z=-s\\
&\begin{pmatrix}
x\\y\\z\\w
\end{pmatrix}
=s\begin{pmatrix}
-1\\1\\-1\\1
\end{pmatrix}
(sは任意定数)
\end{aligned}
$$

$$
\begin{aligned}
&(5)\\
&A=\begin{pmatrix}
1&2&-2&3\\
3&5&0&2
\end{pmatrix}, \bm{b}=\begin{pmatrix} 5\\ 1 \end{pmatrix}とおく\\
&\begin{pmatrix}\begin{array}{cccc|c}
1&2&-2&3&5\\
3&5&0&2&1
\end{array}\end{pmatrix}
\overset{\textcircled{2}+\textcircled{1}\times (-3)}{\longrightarrow}
\begin{pmatrix}\begin{array}{cccc|c}
1&2&-2&3&5\\
0&-1&6&-7&-14
\end{array}\end{pmatrix}\\
&\overset{\textcircled{2}\times (-1)}{\longrightarrow}
\begin{pmatrix}\begin{array}{cccc|c}
1&2&-2&3&5\\
0&1&-6&7&14
\end{array}\end{pmatrix}
\overset{\textcircled{1}+\textcircled{2}\times (-2)}{\longrightarrow}
\begin{pmatrix}\begin{array}{cccc|c}
1&0&10&-11&-23\\
0&1&-6&7&14
\end{array}\end{pmatrix}\\
&\text{rank}(A  |  \bm{b})=2, \text{rank}A=2より\\
&\text{rank}(A  |  \bm{b})=\text{rank}Aであるので, 解をもつ\\
&\begin{cases}
x+10z-11w=-23\\
y-6z+7w=14
\end{cases}\\
&解の自由度は4-2=2\\
&z=s,w=tとおくと, x=-10s+11t-23, y=6s-7t+14\\
&\begin{pmatrix}
x\\y\\z\\w
\end{pmatrix}
=s\begin{pmatrix}
-10\\6\\1\\0
\end{pmatrix}
+t\begin{pmatrix}
11\\-7\\0\\1
\end{pmatrix}
+\begin{pmatrix}
-23\\14\\0\\0
\end{pmatrix}
(s,tは任意定数)
\end{aligned}
$$

問題11 次の連立1次方程式が解をもつような定数$${a}$$の条件を求めよ。また、そのとき、解を求めよ。

$$
\begin{aligned}
&\begin{cases}
-x+y+2z=1\\
2x+y-z=3\\
x-y-2z=3a
\end{cases}
\end{aligned}
$$

[方針]
$${A\bm{x}=\bm{b}}$$が解をもつ条件は$${\text{rank}A=\text{rank}(A  |  \bm{b})}$$である。

[解答]

$$
\begin{aligned}
&A=\begin{pmatrix}
-1&1&2\\
2&1&-1\\
1&-1&-2
\end{pmatrix}, \bm{b}=\begin{pmatrix} 1\\ 3\\ 3a \end{pmatrix}とおく\\
&\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
-1&1&2&1\\
2&1&-1&3\\
1&-1&-2&3a
\end{array}\end{pmatrix}
\overset{\textcircled{1}\leftrightarrow\textcircled{3}}{\longrightarrow}
\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
1&-1&-2&3a\\
2&1&-1&3\\
-1&1&2&1
\end{array}\end{pmatrix}\\
&\overset{\textcircled{2}+\textcircled{1}\times (-2)}{\overset{\textcircled{3}+\textcircled{1}\times 1}{\longrightarrow}}
\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
1&-1&-2&3a\\
0&3&3&3-6a\\
0&0&0&3a+1
\end{array}\end{pmatrix}
\overset{\textcircled{2}\times \dfrac{1}{3}}{\longrightarrow}
\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
1&-1&-2&3a\\
0&1&1&1-2a\\
0&0&0&3a+1
\end{array}\end{pmatrix}\\
&\overset{\textcircled{1}+\textcircled{2}\times 1}{\longrightarrow}
\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
1&0&-1&a+1\\
0&1&1&1-2a\\
0&0&0&3a+1
\end{array}\end{pmatrix}\\
&解をもつ条件は, \text{rank}A=\text{rank}(A  |  \bm{b})\\
&よって, 3a+1=0 \therefore a=-\dfrac{1}{3}\\
&このとき\\
&\begin{cases}
x-z=\dfrac{2}{3}\\
y+z=\dfrac{5}{3}
\end{cases}\\
&解の自由度は3-2=1\\
&z=sとおくと, x=s+\dfrac{2}{3}, y=-s+\dfrac{5}{3}\\
&\begin{pmatrix}
x\\y\\z
\end{pmatrix}
=s\begin{pmatrix}
1\\-1\\1
\end{pmatrix}
+\dfrac{1}{3}\begin{pmatrix}
2\\5\\0
\end{pmatrix}
(sは任意定数)
\end{aligned}
$$

問題12 次の斉次連立1次方程式が非自明な解をもつような定数$${a}$$の条件を求めよ。また、そのとき、解を求めよ。

$$
\begin{aligned}
&\begin{cases}
x+3y-z=0\\
-2x-5y+az=0\\
2x+ay+3z=0
\end{cases}
\end{aligned}
$$

[方針]
$${A\bm{x}=\bm{0}}$$が非自明な解をもつ条件は$${\text{rank}A< n}$$である。

[解答]

$$
\begin{aligned}
&A=\begin{pmatrix}
1&3&-1\\
-2&-5&a\\
2&a&3
\end{pmatrix}, \bm{b}=\begin{pmatrix} 0\\ 0\\ 0 \end{pmatrix}とおく\\
&\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
1&3&-1&0\\
-2&-5&a&0\\
2&a&3&0
\end{array}\end{pmatrix}
\overset{\textcircled{2}+\textcircled{1}\times 2}{\overset{\textcircled{3}+\textcircled{1}\times (-2)}{\longrightarrow}}
\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
1&3&-1&0\\
0&1&a-2&0\\
0&a-6&5&0
\end{array}\end{pmatrix}\\
&\overset{\textcircled{1}+\textcircled{2}\times (-3)}{\overset{\textcircled{3}+\textcircled{2}\times (6-a)}{\longrightarrow}}
\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
1&0&5-3a&0\\
0&1&a-2&0\\
0&0&-a^2+8a-7&0
\end{array}\end{pmatrix}\\
&非自明な解をもつ条件は, \text{rank}A < 3\\
&よって, -a^2+8a-7=0 \Leftrightarrow (a-1)(a-7)=0 \therefore a=1, 7\\
&(\text{i})a= 1のとき\\
&\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
1&0&2&0\\
0&1&-1&0\\
0&0&0&0
\end{array}\end{pmatrix}\\
&\begin{cases}
x+2z=0\\
y-z=0
\end{cases}\\
&解の自由度は3-2=1\\
&z=sとおくと, x=-2s, y=s\\
&\begin{pmatrix}
x\\y\\z
\end{pmatrix}
=s\begin{pmatrix}
-2\\1\\1
\end{pmatrix}
(sは任意定数)\\
&(\text{ii})a= 7のとき\\
&\begin{pmatrix}\begin{array}{ccc|c}
1&0&-16&0\\
0&1&5&0\\
0&0&0&0
\end{array}\end{pmatrix}\\
&\begin{cases}
x-16z=0\\
y+5z=0
\end{cases}\\
&解の自由度は3-2=1\\
&z=tとおくと, x=16t, y=-5t\\
&\begin{pmatrix}
x\\y\\z
\end{pmatrix}
=t\begin{pmatrix}
16\\-5\\1
\end{pmatrix}
(tは任意定数)
\end{aligned}
$$

最後に

今回は、大学数学・線形代数の解説記事として、連立1次方程式を解説しました。今回の内容は、線形代数において重要な計算の一つです。次回は、行列式の解説記事となる予定です。では。

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