不便でもロマンをとる
エフェクターボードを新調した。
というのも、愛用していたエフェクターボードに酒で酔っ払った自分が勢いよく座った結果、フレームがひん曲がって大破してしまったからだ。
本来、座るものでは当然無いし中身が無事だったので良しとする。
「エフェクター、エフェクターボードとはなんぞや?」という方に向けて新調したボードの写真を掲載しておく。
これがエフェクターボードだ。
おそらくではあるが、楽器をやらない方でもギターやベースを背負い、片手でこのボードを持つバンドマンや学生を街中で一度は見たことあるのではないか?
この中には大体こんな感じにエフェクターなるものが入っていることだろう。
これは僕がバンドのサポートやセッションに声をかけてもらえるようになった頃の中身である。
このボードの中にある小さな箱がエフェクターというもので、これに楽器を繋ぎ、足元で音色を変えるのだ。
改めて見るとセッティングから何から甘いところがあってめちゃくちゃ笑えるが、当時は無い頭をフル動員して真剣に組んだものだ。
しかしながら、このエフェクターボードというのには欠点がある。
でかいし重いのだ。
バンドマン諸君は分かってくれることであろうが、ケースを含めて最低でも4kgは超えるであろうギター/ベースを背負い、片手にこれを持って移動するあのキツさを。雨の日にはもう片方の手が傘で埋まり、両手が塞がるあのストレスを。
さらには電車に乗ろうものなら置き場に困り、飲食店に入ろうものなら店員さんや他のお客さんに申し訳なさが溢れる。
僕も例に漏れず、このような経験を常日頃している人間の1人だ。
僕が楽器を始めた十数年前とは違い、今ではこのようにスノコ型のものも流行ってきている。
これは去年使用していた、最低限の物だけを入れた持ち運びに特化したボードだ。
このスノコ型の利点としては、電源や配線をボードの下にしまい、ボード上のスペースを増やしたり、見た目を綺麗に出来る点、そしてケースが布製のショルダーバック形式のため持ち運びがし易くなるといった点がある。
もうみんなこのスノコ型に変えてしまえばいいのにと思うが、しかしながら僕はいまだに昔ながらのボード形式のものが好きで愛用している。
という理由はひとえに、テンションが上がるからだ。
ベースをはじめた高校生の時から、先輩達が持っているエフェクターボードに憧れを持ち、ステッカーを貼ってカスタマイズしたりしたし、街行くバンドマンのボードを見て、貼ってあるパス(ライブハウスの出演者に配られるステージパス)の数で「あいつは上手いに違いない…!」といった具合に勝手な決めつけをしたりした昔を想起させる。
ステッカーやパスでカスタマイズしたボードはそういったやる気とワクワクに満ち溢れていた初心を思い出させてくれる。
どんなに不合理かつ不便であっても、このスタイルは拘りとして守り続けるであろう。
これを読んでくれた皆様にも、便利を捨ててまで取るある種のロマンのような拘りはあるだろうか。
是非教えてほしい。