煌めき
とある日の記憶。
数ヶ月ぶりに訪れた美容室で、ある本のタイトルと佇まいが気になった。
入り口すぐそばの窓に立てかけてあって、日に焼けてくすんだ表紙のその本は、煌びやかな側面を持ち合わせていた。
本の内容がおもしろくて自分でも購入した。
私の持っているこの本は、あの佇まいは持ち合わせてはいない。
真新しくてまだ初々しさが放たれている。
美容師さんは町の小さな本屋さんで見つけたらしい。
待ち時間にパラパラと読んでいたら、「トウモロコシ」のページに釘づけになった。
美容師さんとそれについて共有していたら、「トウモロコシのひげすごいですよね!実はこの後お出しする予定のお茶にトウモロコシのヒゲが使われているんです」とリンクしていておもしろかった。
その美容室には薬草仙人の手帖という本が置かれていて、少し読み始めたのだけれど薬草仙人の生きてきた道のりの険しさその濃さに驚いた。
薬草仙人の手帖
https://www.hanmoto.com/wp/wp-content/uploads/2020/01/faxdm-00-1-2.pdf
美容師さんは阿蘇までご家族で行ってきたようでそのお話も興味深かった。
たくさん驚いてたくさん笑って話した。
気の合う美容師さんのいる場所はこれまでの自分との間に線を引く機会にもなっていいものだ。
図書館
前回寒さを凌ぐために吸い込まれるように立ち寄った図書館で2冊の本を借りていたので返しに行った。
返したあと、いつもは通らない通路をなんとなく通りたくなった。
あるコーナーに目を向けた瞬間、バチっとなった。
見かけて気になる本はつい買ってしまうのだが、図書館や本屋は思わぬ出会いがあって楽しい。
パラパラとめくってきくと「おぉ!!」や「!!」、「???」や「?!」、その他にもぽわ〜んとしたりほっこりしたり、なんとも言えぬ感情がこみ上げてくることもあっておもしろい。
今回はある絵本作家さんを知ることができて嬉しくなった。
その絵本を見ていて自分がこだわるものが少しわかった気がしたし、ある人のイメージと重なる絵本を知ったのでその絵本を持って本人に答え合わせしに行きたくなったりもした。
学生の頃ともだちと図書館で勉強していたときには寝る場所だったのだけれど、今も昔も図書館のあの独特な雰囲気がなんか好きなんだよなあ。
人に無関心な感じがいいのかもしれないな。
今の図書館は開かれすぎている気もするが。
いきものを見ていると本能ってすごいなぁといつも思う。
人間のわたしから見ると"暴力的"に感じることもそこでは"普遍的"なことだったりするのだけれど、人間は暴力性を隠す(見えづらくする)のがうまいだけで、生きることのなかには荒々しさや暴力性も共にあるのがあたりまえなのよねとも思う。
暗闇のおかげで煌めきが際立つ。
手洗いで下洗いをしてみたら、裏側のタオル地の水色が表側にも現れて色が変わるタオルみたいでおもしろかった。
そういえば子どものころ、水に溶ける紙が流行っていたなぁ。
おしまい。