暴露法

 エクスポージャーとも.暴露法/暴露療法は、不安障碍に対して非常に強い治療効果をもっており、中心的に使われている技法である.歴史的には、行動研究の始祖的技法といえる系統的脱感作法から発展した技法である.臨床的に必要性があるとわかった部分だけを残した治療法が暴露療法と呼ばれるようになった.暴露療法は不安を感じる状況に想像上または実際にさらすことで、その状況になれていき、不安を感じないようになることを目指す方法である.

 まず、クライエントの問題を査定する.どのような刺激によって、どのような反応が起きているのかというつながりを丁寧に把握していく.クライエントの心理教育を行うことも需要である.次に不安階層表を作る.クライエントが不安、恐怖を感じている状況や場面をたくさんあげ、リスト化する.

 暴露には想像暴露と現実暴露の二つがある.想像暴露とは、おもに面接で、恐怖や不安を感じる場面を、目を閉じて頭の中で想像し、声に出して話してもらい、その不安感と向かい、なれていくことを体感してもらう.面接の録音を持ち帰り、自宅で想像暴露を継続してもらうこともある.一方、現実暴露は実際に恐怖や不安などを感じつ場面や状況に出向いてもらう場合もあれば、状況が許せばセラピストが現場に同行して、行う場面もある.

 暴露法の作用メカニズムは、古典的条件づけとその消去法として説明することができる.例えば交通事故にあって、交感神経が活性化して、心拍や呼吸は早くなったり、体が緊張することは.危険に対処するために生物としてもともと持っている生理的な現象である.学習理論でいえば、無条件刺激(US)に対して起こる無条件反応(UR)ともいえる.しかし、何らかの理由で似たもの、似たニュースに対しても、同じような不安が出ることがある.これは条件刺激(CS)に対する条件反応(CR)である.

 刺激に対する情動的・生理的な反応は、本人にとって非常に不快なものである.このような状況を避けるためなら何でもしたいと思うようになる.よって外出をしなくなったり、途中ですぐ降りることができない快速電車には乗らない、汚いものに触ったと思ったら、手を念入りに洗うようになってしまう.これらの行動は、不安な状況が逃げるためのものであるため、回避行動と呼ぶ.暴露法はこの回避行動による不安低下の悪循環を打ち破る方法といえる.恐怖刺激にさらされても回避行動をとらないで耐えてもらうと、実際の危険はないので、ある程度時間が経てば不安は徐々に下がっていく.何度か実感してもらうと、刺激と反応の間に強固な結びつきが解消され、恐怖刺激にさらされても、不安が出ない状態に変化していく.Exposure.

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