ココロカガヤキ人生100年②伊能忠敬の「学びで充実!第二の人生」
今回の「人生100年シリーズ」では、江戸時代に精巧な地図を作った歴史上の人物、伊能忠敬(いのう ただたか)さんの人生から「学びで充実!第二の人生」についてご紹介します。
伊能さんの記事を見つけたのは2018年で、新幹線の座席の前のポケットに入れてある雑誌の特集記事でした。そのデータ版がこちら。
1.伊能忠敬さんの人生
伊能忠敬さんは、皆さんご存知の「大日本沿海輿地(よち)全図」を江戸時代に作って歴史に名を残した人物です。地図は、こんな感じ。
日本史の教科書に必ず出てくる人です。どのような人生だったのか、簡単にご紹介いたします。
【伊能忠敬さんの人生】
1745年:現九十九里(千葉県中部)の海辺の村で生まれる。
1762年:伊能家に婿養子に迎えられる(17歳)
1781年:佐原村(現 香取市佐原)の名主に任命(36歳)
1794年:家督を長男に譲り隠居(49歳)
1795年:江戸に引越し。高橋至時に弟子入り(50歳)
1800年:第1次測量(55歳)その後、17年間、歩いて測量。
1818年:病没(73歳)
17歳から大地主でもあり酒造りも営む商家で働き、36歳から49歳まで村の名主として村に貢献した人物。その後、50歳で江戸に移住し、天文学を学び、55歳から17年間全国を歩いて精巧な日本地図を作った人です。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
そんな伊能さんに「人生100年時代」を生きるヒントが3つあります。それぞれに、今日から実践できるポイントも併せてご紹介します。
❶学び直し
伊能さんは、名主を49歳でスパッとやめて隠居し、50歳の時に天文学を学ぶために江戸に移り住みます。自分よりも19歳も若い31歳の幕府天文方の高橋至時(よしとき)さんに師事して学び直しをします。
まず伊能さんのすごいところは、江戸に引っ越してまで学ぶ「フットワークの軽さ」です。
【ココから学び、行動へ】
私たちが生きる現在では、引っ越さなくても近くにある大学等で最新の技術を学ぶリカレント教育の講座や生涯学習講座、カルチャースクール、ユーキャンなどの通信講座があります。
そんないい時代ですから、「自分にできるだろうか」などと躊躇せずに、伊能さんのようにフットワークを軽くして、まずはパンフレットを取り寄せたり、電話をかけて相談したりしてみると良いですね。
学びたいことがあれば、すぐ始めましょう。学んでみて、自分に合うか試してみる。「悩む時間」より「試す時間」。自分の興味や関心を大切にして、すぐ行動しましょう!
❷学びでできる「人との出会い」
2つ目に参考になるのは、「出会い」です。伊能さんが師匠の高橋さんと出会わなかったら地図はできませんでした。高橋さんが幕府に伊能さんを推薦してくれたから地図作り事業に関わることができたのです。
また、一緒に地図作りに協力してくれる仲間との出会いがあったから、地図ができたのです。学びでできた人とのつながりが、その後の人生に大きく影響するのです。
【ココから学び、行動へ】
学びでつながる「学びのコミュニティ」は、同じ興味関心を持つ人が集まってできています。同じ対象に対して同じ方向を向いているので、当然、話も合います。「自分の居場所」であり、「出会いの場」にもなるわけです。
仕事や子育てなどが一段落したり、仕事場に居場所がないなと感じたりしたら、自ら学びの居場所を作りましょう。仕事や家庭以外の第3の場(サードプレイス)に伊能さんのように人生が変わる出会いがあるかもしれません。
❸経験や貯金が次の学びに生きる
伊能さんは名主として、利根川の氾濫で荒れた土地を開墾し直す必要があり、測量の指揮を執っていたので、地図作りの下地はありました。また、自宅の敷地内に書斎を建てて書物を読む習慣があり、読書によって知識を蓄えていたのです。
さらに、天体観測や測量の道具を買い求め、自宅に設置し、観測に没頭していたようです。きっと趣味だったのでしょう。例えるとカメラが好きで、その後プロのカメラマンになったみたいな感じでしょうか。
また、仕事であった名主として人をまとめる経験があったのも、その後の地図作りで地図制作チームをまとめるのに役に立ったのではないかと容易に推測できます。人間力が仕事で磨かれています。
さらに大事なのは、お金の蓄え。最初の地図作りの時には、幕府から資金援助として2割程度しかもらえなかったそうです。不足分は私財を活用。学びに使える資金も蓄えておくと、100年の人生で生かされる場面があるということです。
【ココから学び、行動へ】
学ぶ習慣や人をまとめる経験、測量のスキルやコミュニケーションスキル、天文学の知識などのことを「無形資産」、お金などを「有形資産」と言います。無形・有形の両方の資産を高めることが、いつでも大きなチャンスをつかめる体質になっていきます。
最近の言葉で言うと「隣接可能性」。様々な技術が発達して、スマホができました。それと同じで、私たちも様々な条件がそろうと大きなチャンスをつかめる人になるようです。今の仕事自体も「経験の蓄積」として活用できます。この仕事で経験値を高めているんだと思いながら仕事をしてみてはいかがでしょうか?
2.学びで広がる世界
伊能さんが、もともと知りたかったのは、なんと「地球の大きさ」です。ご存知でしたか?それを知るために、師匠の高橋さんの下で学び、最終的に緯度1度の長さを計測することが必要だと考えました。
そこで師匠の高橋さんは北方の防衛を考えていた幕府に、「北方の防衛には地図を作ることが大事ですよ。」と進言。そして、北海道の地図作り事業の代表として隠居中の伊能さんを推薦しました。
幕府が許可したので、伊能さんは地図を作ることになったのですが、目的は緯度1度当たりの長さを調べて、地球の大きさを知ること。つまり、本当の目的は「地球の大きさ調査」であり、地図作りは「ついで」だったのです。
「ついで」に作った地図を幕府に提出すると、師匠も驚くほど素晴らしく、東日本地図が完成した時は、将軍も見て高く評価し、このクオリティならこの勢いで全国の地図を作ってねとなり、幕府の直轄事業として、全国地図制作業務を伊能さんが続ける形となったわけです。
スタートは「地球の大きさを知りたい」という伊能さんの好奇心。その好奇心を大事にすることで、歴史に残る大事業に取り組むことになったのです。
学ぶことで、こんなに世界が広がるとは、伊能さんも最初は思わなかったでしょうね。自ら機会を作り、その機会によって自らを変えたのです。
3.まとめ
伊能忠敬さんの人生から人生100年時代の第二の人生を学びで充実させる生き方をご紹介しました。
まずは好奇心を大事にし、学びをスタートすること。出会いや経験などの無形資産や地図作りの資金面で役立った有形資産を作っていくこと。それらのすべてがつながって、充実し、広がりのある第二の人生になる。そのことを伊能さんから学びました。
人生100年時代で、人生80年と比較して増えた「人生脚本」の20年分を埋める生き方として参考にしていただければ嬉しいです。
以上、あなたのココロにカガヤキを。ココロカガヤキ研究所でした。あなたのココロに、学びたいことがありますね。そのキラキラ輝く学びの種を大切に。そして、その学びの種が、やがて大きく育ちますように。
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(参考文献)
「大図」214枚の全景 (レプリカ)を見る人達。写真右下は屋久島。左奥は北海道と国後島。出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
▼「無形資産・有形資産」はP90
▼「隣接可能性」は、P80
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