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J1第12節 広島vs福岡(2023.05.07)エースが軽傷であることを祈ろう。

 今節はまず何と言っても、悲し悔し過ぎる満田の負傷退場であろう。軽傷であることと早期復帰を切に願う。
 満田へのタックルについては、危険で悪質なラフプレーであったと思うが、必要以上に相手選手やチームを責めることは避けたい。
 本人が誤ったプレーであったと自覚し、正しいプレーの選択と、正しいプレーを可能とする技術を身に着けることを期待するしかない。
 試合には勝ったが何とも後味が悪い感じとなってしまったが、今節も簡単に振り返っておく。


前半は福岡ペース

 誰がどう見ても福岡が優勢に進めていて、スコア上でも福岡リードとなった前半。その福岡優勢となった要因は以下の①②とした。

① ちぐはぐな広島のハイプレス
② 広島の弱点を突いて攻める福岡

その前にまずはスタメン紹介。以下。

スタメン。広島はいつもと違う2TOPを採用

① ちぐはぐな広島のハイプレス

 前半福岡が有利となった1つ目の要因は、広島のハイプレスが中途半端になったこと。
 福岡のCBがボールを持ち、広島が守備(プレス)をする局面で、福岡のDF4枚は低い位置で、更にペナ幅くらいにDF4枚同士を近く配置する場面が見られた。(もちろんSBが大外レーンにポジション取りして前進し、WGが中に入るパターンもあった。状況に応じてパターンの使い分けが素晴らしかった)
 広島は相手2CBに対しては2TOPで対応、中盤2枚に対しては広島も2枚でマークするが、相手SBへのプレスは広島WBがプレス。
 広島のスタイルである「ハイプレスから奪って早く攻める」を遂行するためにWBが相手SBへのプレスを仕掛けるが、後方には大外に開くルキアン・紺野がいることを意識する必要もあり、迷いが生じた。
 結局、前半はWBの守備負担が大きくなり、ワンテンポ遅れたプレスは機能しなくなる場面が多く、中途半端に前進した格好となったWBの背後のスペースも福岡に有効活用される場面が見られた。

福岡SBへのプレスはどうする問題の発生。

 以下、32:40あたりの場面では、CBからSBの前嶋にパスが出た際に外切り(紺野切り)で東がSBに詰め寄るが、CF位置から落ちてきた佐藤に受けられ前進を許してしまう。
 中に行かせるために外を切ったはずだが中で崩されたこと、SBに余裕を持ってプレーさせたこと、ハイプレスが機能しなかった象徴的なシーンだと思う。
 また福岡はハーフスペースで位置取るSB・大外に張るWG・落ちてくるCFの位置関係が良く、広島にパスコースを限定されないビルドアップができていたと思う。(外切りなら中が空き、中切りなら外が空く)

 今節に限らず広島のハイプレスが機能しない率が高まる相手DFの配置として、4枚が低いライン設定で、4枚同士の位置が近い場合というのがありそうだ。
 ラインが低いのでプレスい行くと中盤間延びによるスペースが生まれ(アンカーの脇とか)、また相手SBへのプレス担当が曖昧になる傾向は確かにあって、今季の2節新潟戦前半、去年のAway川崎戦の25分以降などが当てはまりそう。

② 広島の弱点を突いて攻める福岡

 解説の片野坂さんも再三指摘していたが、もともとシステム上の弱点であり、さらに上記①のWBの中途半端な前傾守備により後方の枚数が不足し、より脆くなったアンカー野津田の脇のスペースを何度も狙われた

 以下の図は、9:50あたりのシーン。元々スタートポジションは大外に位置したルキアンが中に進入し(大外には山岸が移動し)野津田の脇でボールを受けた場面。

 山岸が大外に出ることで、塩谷をピン止め。満田はSB小田をマーク。野津田はCF佐藤のポジションも警戒する必要があり、ルキアンへのチャージが遅れた。ボールを受けたルキアンから逆のサイドで待つ紺野へのパスが繋がり福岡は前進に成功。

 前半は弱点であるアンカー野津田の脇のスペースに、福岡の3枚(ルキアン・山岸・佐藤)がタイミングよく落ちて受ける場面が多く見られた。
 また上記の場面のようにルキアン・山岸がハーフスペースと大外レーンを互いにポジション変更を行いながら広島のマークのズレを生み出しつつアンカー脇を狙い、佐藤も絶妙なタイミングで落ちてダイレクトで紺野に展開するなど、ボール保持して前進するための効果的なプレーが多く見られた。
  福岡4FWに対して、広島3DFと数的不利な局面で守備を強いられる状況となった理由は、前方のハイプレスに参加したWBの帰陣が間に合わないことにあるが、そこを後半どう修正していくか見ものであった。

後半の修正

 単純に変えたことは、1トップ2シャドーにし、ハイプレス原則を変更したこと。広島WBが無理して相手SBにプレスに行かないようにした。WBは後方へ戻る意識を持たせたように思う。
 では、相手SBへのプレスは誰が行うかと言えば、前線の3枚。
ピエロスの1stチェイス。エゼキエウ・森島が2ndチェイスで兎に角走れ。これが嵌った形。

 後半は前から3枚でチェイスしつつ、撤退守備を意識する形をとることで、両WBが最終ラインに落ちて5バックを形成する場面も見られた。
 特に越道はルキアンのポジションまで戻り、ルキアン封じと言う大役を果たしていたかと思う。(越道にフィジカルな優位性あるの最高だわ)

 広島守備時の最終ラインにWBが加わり枚数が揃ったことにより、CBがアグレッシブに福岡のFWに対してプレッシャーを掛けることもできるようになり奪取率が上がった印象。
 守備面が改善され、後半は広島のペースで進むこととなり、結果3点を奪っての逆転勝利となった。さらに決めて欲しい選手が決めたことがデカい。

アメイジングシュート バイ ピエロス

 まさにアメイジングな一撃がさく裂した。越道のアメイジングなクロスからだが、初手の大迫のアメイジングな縦パスも見落とさせない。アメージング盛り盛りで点取られたら、やられたら相手からしたら仕方ないし不運でもあると思う。ピエロスのシュート技術はやはり素晴らしく、ここからゴール量産を期待したい。

自称、変態な東

 「僕、変態なんで初めてやるポジション好きなんですよね〜」みたいなことを言っていた東。
 今節も十分に変態だった。2点目のオウンゴールを誘発したFK。慣れないボランチでテンポよくダイレクトパスをバンバン通すところ。ピッチを幅広くカバーできるポジショニング。毎節評価を上げていくこの男は、ますます変態して喜ばせてほしい。
 アンカーで野津田との比較で言えば、野津田が勝っている部分はボール奪取の部分にあると思う。野津田のボール奪取は運動量を活かすが、東は運動用では劣る(気がする)。が、ポジショニング次第ではそもそもその運動量が不要になる場面もある(気がする)ので、東のアンカー起用を今後も見てみたい。

さいごに

 試合は、前半は福岡が広島を研究し弱点を突いて主導権を握った。(広島の2トップがうまくいかなかったこともあるが)
 後半は修正した広島が盛り返し逆転勝利。広島は後半3点取っているため、「攻撃がうまくいった」と言うスコアからの印象を受けるが、3点はいずれも崩して取った得点ではなく、アメージングとオウンゴールとカウンターの3点はもちろん素晴らしいが、後半の早い時間帯に1点目を取れていなかったと考えると、正直勝てたかどうか分からないと思った。
 そして、やはり今節は勝利したがエースの怪我が何より心配で悲しい。離脱となることでの戦力ダウンというより、彼のサッカーへの取り組む姿勢を見て、純粋に選手・人として応援したくなる、そんな選手だから。
 まずは軽傷であることを祈るしかないのと、万全な状態で復帰し、また豪快なゴールでチャントを歌わせてほしい。
 来週は日帰り神戸遠征From東京なので是非とも勝利を。東のゴールがみたいな。






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