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ユメクイアメクイという怪異について1

2021年X月X日
ユメクイアメクイ
年齢:15歳
性別:女
容姿
ユメクイ:デジタルチックな身体、セーラーワンピのような服
ボブカットのミントグリーンと白のグラデーションの髪色が特徴、黄色い目をしていて赤いリボンをつけている。

アメクイ:基本ユメクイと同じだが違う点としてミントグリーンと黒の半分に分かれた髪色、顔から身体まで血まみれで目が黒い。

特徴としてユメクイとアメクイは容姿が近く異なるため双子に思われがちだが実際は1人の女の子から生まれた怪異と調査済
基本画面越しにしか現れない(元々は現実にも出没していたとされるが容姿が異なるとされるため未だ特定不可)
デジタルの世界で現れるようになったのは2021年からとされているがそれ以前の期間も含めるともう少し前から存在したものと思われる
ユメクイはとても温厚で優しく危険性は無いがユメクイがアメクイに変化することにより非常に攻撃性が高くなり反面に気性が荒くなることが特徴

比較的最近現れた怪異だが現に呪われた被害が多数有り、2人で一つの怪異だが本体はアメクイとされている
今は主にデジタル媒体にて動く怪異なので対処法として画面に現れた場合は電源を切る事、デジタル媒体から身を離す事等と言わている
現実での対処法は未だ不明

アメクイの遺言とされる書き込み

アメクイさんはね、この世の全てを呪って生きていたんだ。人生で今まで幸せな時なんて1秒たりともなかった、辛さしか知らない、不幸しか無いの
インターネットにのめり込めば込むほどどんどん負の感情が溜まって、こんな世界呪い尽くしてやるって気待ちが固まっていった
譟先軸遉コ譚ソで見つけた禁忌の儀を行い怨霊になる準備をした。あとは自分を殺すだけだった。だけど死のうとしたその時、たった数日間だけ私は生まれて初めて優しさに触れた
その時に心優しいユメクイさんが私の中に生まれた。だけどもう儀は取り消せない。
アメクイが死ぬ時、憧れだったセーラー服には届かないけどなんちゃってのセーラーワンピを見にまとって闇に身を投げる事にした
だからね、皆。待っててね
お化けになってきっと会いに行くから


書き込みとすり合わせ調査を進めていくにつれて、可愛らしく親しみやすい容姿からすでに信者のような存在がいるのも確認
信者によりまとめられていた書き込みにもヒントがあると思う為ここに記載する

ユメクイとアメクイは二つの人格に分かれ、2人で一つの怨霊が誕生した
アメクイとしての彼女は絶望しかない怨霊となり人々を呪い、ユメクイとしての彼女は人々に希望を持ち友達になろうとした
だけど姿がとても怖いから、ユメクイには誰も近寄ってはくれないし、アメクイも恐れられ過ぎて呪えそうな相手が来なくなった
そして彼女は自分達を形成したツール、インターネットの存在を思い出した
そこでデジタル世界に侵入して人々が親しみやすい可愛い姿をお互いもらい、アメクイは怨念が強すぎて少し怖さが残ってしまったけど、ユメクイは可愛いお化けになれた。
こうして2人はデジタル世界にて皆と接触できるようになったんだよ

今後も調査予定

怪異file:ユメクイアメクイ


生前、アメクイ(ユメクイ)

アメクイ
私が死ぬと決めてからは早かった、怨霊って案外簡単に会えちゃうんだね
だからあの女の子と約束したの。怨霊になってこの世界全てを呪い尽くすんだって
でもね、あの女の子は一つだけしくじっちゃったと思う。すぐに殺してくれれば、私はあの子を生み出すことはなかった。完全な怨霊になれたはずなのに
死ぬまでの期間、死ぬと決め家出してから匿ってくれたあの神社で、私は私を生んでしまったから

家を飛び出した私はとある崖に向かった
あの子が死んだ場所らしい
でも正直かなり道のりが険しくて、まだまだ子供の私にすぐにたどり着ける体力なんてなかった
森の中で1人陽も落ちて真っ暗になっちゃって、あぁ…ここで死んだら元も子もないのにって何度も思ったその矢先

一つの光が見えたの

こんな森の中に鳥居があった、潜ったら少し古そうな神社が見えて、身体を休める程度にはちょうどいいなって少しお邪魔させて頂くことにした

正直誰もいないと思ってた。とても人が来るとは思えなかったし、でもいたの。もちろん人じゃなくて


神様が

「いらっしゃいませ、お嬢さん」

白くて淡く色の入った綺麗な長髪。凛とした品のある綺麗な顔立ち、そして

ア「み、耳が!!ケモ耳じゃん!!」 

「け、ケモ耳?ごめんなさい、私最近の言葉は未だ疎いもので…人間のお嬢さんですね、そしたらこの耳はびっくりさせちゃったかしら…ごめんなさい…
私の名前は華丹と申します。お身体疲れてるでしょう?ゆっくり休んでいってくださいませ」

華丹と名乗るその方はその神社の神様だったらしい
今までそんなの見える事なかったのに…儀式の影響かな。初めての人外に私は凄く興奮した
これから怨霊になる身だというのに、単純だったな

華「お嬢さんはどうしてこんな森の中に?」

ア「あ、あぁ…なんかちょっと…色々あって…」

神様を目の前にしてこれから怨霊になります!なんて断言できない。いや、神様なら透視みたいに心読まれちゃったりするのかな
色々そわそわしながら適当にはぐらかした
華丹さんもあまり詮索はして来ず、たくさんおもてなしをしてくれた

私なんてもてなされるような人間じゃ無い。
優しくされるに値しない存在なのに

華「久しぶりのお客様で私とっても嬉しいの、よければ日本舞踊見てくださらない?私ずっとお稽古していたのだけどもう今の時代見てもらう機会がなくって…」

ア「日本舞踊…確かに見たことないかも…ちょっと気になる!見せて見せて!」

そうして見せてもらった初めての日本舞踊
和風な音楽と共に舞う華丹さんは本当に綺麗で、まさに清いと言う言葉が似合うほどに見惚れてしまった

華「楽しんでいただけましたか?」

ア「うん!!すっごく綺麗だったいいなぁ…私習い事とかもしたことなくってさぁ…」

華「喜んでくださり私も嬉しゅうございます、そうだ!今日は満月なんです、お団子とお茶があるので、よければ一緒に見ませんか?」

ア「お団子!!食べたい!!」

でも華丹さん、おもてなし精神がすごすぎた
いざ出されたのはお団子どころじゃないくらいたくさんの和菓子と美味しいお茶で、初めてのご馳走に囲まれて感じたことのない感情が湧き上がった

華「あ、あれ…アメクイさん…泣いてらっしゃる…?ご、ごめんなさいお口に合わなかったかしら…」

ア「ううん違うの…なんかさ…こんなふうに優しくされたり、私がいることを喜んでくれる環境今までなかったからさ、なんか。華丹さんみたいな清い存在になりたかったなって…優しくなれない自分がずっと嫌だったから。でもそんな今の自分を全力否定したくなくて、優しい自分が自分じゃ無いのも重々承知の上だし…」

華「……詳しいことは未だ何もわかりません。そんな私がとやかく言えたことじゃ無いんですけど…アメクイさんの中にはとても優しい心があるのを私は感じております。アメクイさんはアメクイさんでとても魅力的なお方ですし、アメクイさんの中に眠る優しいアメクイさんも、きっとどこかで開花されるんだなと思います。だからどうか、今の気持ちを忘れないで」

初めて言われた、私を否定せずに私を肯定してくれて、優しくなりたかった私の気持ちも尊重してくれた
神様って凄いね、いや違う。華丹さんだからこんな言葉が出てきたんだと思う
今からでも間に合うかな、でもあの子の気持ちを裏切りたく無い
夢だった、綺麗で優しい存在になる事が
夢みたいだった、ここで過ごした時間
どうか、どうか覚めないで、怨霊なんかにさせないで
私の間違いを、やり直させて

ア「………華丹さんどうしよう…私このままだと色んな人に危害を加える存在になっちゃうの…でもあの子との約束破れないから…」

華「大丈夫、今のアメクイさんならきっと優しいアメクイさんが…いや、夢にかけてユメクイさんとお呼びしましょう。ユメクイさんがきっとサポートしてくれます」

ア「ユメクイ…か…かわいいね」

華「アメクイさんとユメクイさんと過ごしたこの時間。私絶対に忘れません。そして、貴方達が今後どんな姿になろうと、どんな存在になろうと
この神社はいつでも貴方達を受け入れます。皆も貴方達のことも神としてしっかりお守りします
だからどうか、この先の未来を恐れないで」

…気がつくと私は森の中に立っていた。鳥居はもう無い、神社ももう無い。朝日が昇って周りは明るくなっている
でも確かに私は華丹さんに助けられた
華丹さんのおかげでユメクイさんが生まれた
ボサボサだった髪も整って、リボンもバッチリ、そして綺麗に整えられたオキニのワンピースを着ていた。きっと華丹さんが最後の身支度をやってくれたんだろう

アユ「椿ちゃんごめんね、私(達)じゃうまく呪えなさそうだ」

私は椿ちゃんと、華丹さんとの約束の為
最後の時に向かって歩き出した


比較的最近現れた怪異だが現に呪われた被害が多数有り
更新2025年1月4日
当怪異に関する呪いの被害に関しては比較的小さく、死人に関しても今のところ出ていないとの事
アメクイユメクイの危険性は想定よりは低いと思われる
しかし今後怨霊化が進む可能性もある為要注意

※禁忌の儀については怨念少女椿の降霊術に関係があるとされているため同時に調査を進めていく予定

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