榛原椿という人物について1
2020年x月x日
榛原椿/海外ではEmily(エミリー)と呼ばれている
年齢:17歳
性別:女
容姿:青白い肌に光の無い目、黒髪ロングの姫カット。赤黒い唇、目と顎の下のほくろ、セーラー服が特徴
彼女について、本人のものと思われる記録
もう私は戻れません。普通には生きられませんそれではみなさんさようなら
私は死んだ、彼女は死んだ、私は死んだ
生きる事に失敗した夢に失望した人に失望した人生に失敗した私なんかは怨念に成り果てるしかないんだ私は死んだ私は死んだ死んだ死んだ死んだ全部失敗失敗失敗失敗失敗呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪皆
私の元に呪われればいい皆私の元に苦しめばいい。※読むと怪異の影響を受けるとされているので一番隠させていただいております
怨念の渦に取り込まれ生きながらにして自身の身までもを怪異とした彼女、彼女から恨みを買ったもの、深入りしたもの、怪異と化した彼女の姿を見たものは一年から半年以内には必ず不幸になるという噂が流れたが程なくして沈静。現在の彼女は消息不明、未だ生死も分かっていないとの事。今後も調査予定
怪異File:怨念少女椿
「ふーむ…」
2025年現在、ネットサーフィン中
マイナーなオカルト掲示板を漁っていたところ都市伝説に生きながらにして怪異と化した女性の書き込みを見つけた。怨念少女、気になって彼女の噂を色々調べてみると一部地域にてわりかし大きな被害、そして写真なども仲介して多方面にも不幸を撒き散らしていたという。かなり厄介で怖そうな怪異だ
そして何度調べても見た目、名前の特徴からして
椿「どう考えても私だ…」
正直、この書き込みを嘘と言い切れない自分がいる
(実際覚えのないセーラー服が手元にあるし)
実を言うと私には2020年以降の私の記憶はほとんどないに等しい。その前の記憶すら若干危ういまである。
別に記憶喪失というわけではないが何か思い出す事自体に蓋をするような感覚が頭の中にあった
まぁ覚えておきたいほどの幸せな人生を送っていた気もしないし、別に思い出す必要もないから気にしていなかったが…こんな綺麗さっぱり一部の記憶が抜け落ちてるのは冷静におかしい
思い返せば私の記憶がはっきりしはじめたのはちょうど去年の4月中旬頃だろうか、あの時私は確実に死のうとしてた。
動機は何一つ思い出せないのだが、適当なビルの屋上からボーッと地面を見つめていた
だが信じられないことに、その日私は初めてお化けを見た、いやお化けのふりをしたただの不審者かもしれない。シーツを被った上にメガネをかけていた、完全に不審者だった。本来であれば通報案件だろうがあの時の私にそんな冷静さは無く、しろーと名乗るシーツ野郎に私は引き止められた。今思えばかなりシュールだ
し「どうせ死ぬなら、君の歌が聴きたい」
そんなことを言われたっけか。私の夢は歌手、音楽さえできれば案外他はどうでも良かった
何でしろーがそれを知っていたのかはわからないが、それを思い出させてくれたのはしろーだったと思う。今でもたまに連絡を取り合う仲だ、やっぱお化けじゃないなお前。でもありがとう
そしてそれ以降私は音楽をやるために色々頑張るわけだが……まぁ案の定素人かつただただ歌いたいだけの私にできる事も何もなく…
って思うじゃん?
いや、幸運にもあったんだなそれが
ヤケクソで入ったスナックにて、出会った男が現相方の結雨さん通常ゆーさんである
私がスナック付属のカラオケで狂ったように歌っていたところ大笑いしながら声をかけてきた
ゆー「君若いのに随分荒れてるねぇ〜一杯奢るから愚痴聞くよ」
今思えば完全にナンパじゃねえか。しかし金もない私にとってはそれすらも命の水、ありがたくいただく事にしたのが私の人生的な選択の大正解を引いた
本当にそこからはスムーズだった
聞けばゆーさんは音楽を作るのが趣味だが歌ってくれる人がいないとの事、じゃあ貴様の音楽を聞かせてみろと聞いてみればまぁ凄まじい才能の塊
お互いにシンパシーを感じて現在音楽ユニット、オルセカを組んでいる。本当に彼は最高のビジネスパートナーだ
しかし順調に進んでいるかと思われた活動だがここで冒頭に戻ろう
椿「怪異ファイルって何だよ!!!!」
ゆー「っなになに急にびっくりした…てかさっきから何見てんの?めっちゃ頭抱えてるけど」
現在は毎日2人で借りてる事務所的な所で音楽を作ったり企画を練ったり過ごしている
まぁ今はネタもなく依頼もなくダラダラと過ごしているわけだが(だからオカルトサイト見る余裕があるわけで…畜生仕事があれば…)
にしてもこれは頭抱えざるを得ない
まさか自分の名前がオカルト掲示板に怪異として載っている訳だ、やべえニュースに自分の名が載りネットに残る以上の恐怖を感じている
いくらホラー好きな私と言えどこれは非常にまずい…しかもこの肝心な期間を覚えていないため、確認しようがない
失うものがなければこんなの大したダメージはないわけだけども今私にはオルセカがある。オルセカを失う訳にはいかない
何よりこの相方、ゆーさんはホラーが大の苦手だ隣にいる相方がまさかの生きた怨霊だと知ったら確実に解雇が待っている
椿「どうすりゃいいんだよおおおおああ」
ゆー「ちょっ!うるさいうるさい!って言うか怪異とか言ってまた怖いの見てるんでしょ、やめてよー事務所に寄ってきちゃうじゃん〜でもつーちゃんが怖がるレベルののってたのかぁ…なになにどんなやつ…」
椿「あああああ見ないで見ないで」
慌ててパソコンを閉じた
ゆー「えー絶対その反応違う。エロサイト見てるの親に見つかった子供みたいな反応違う。脳バグるからやめて」
苦笑いで返すしかない。全然エロサイトよりまずい
ゆー「で、結局何があったの?」
椿「…何でもありません」
ゆー「本当に、目見て言えるか?」
椿「……はぃぃ…」
ゆー「まぁいいけど、なんかあるならちゃんと相談してよ〜これでも相方なんだから」
不満気な顔のままゆーさんは自分の作業に戻っていった
今私がやるべきことはこの失われた3年間の記憶を取り戻すことなのかもしれない
……しかしどうだ、本当に私が怨念少女なら今人間の状態を保てているのはある意味当時の記憶がないからなのかもしれない
書き込みによれば怨念少女の存在は2020年から始まって2024年の春頃からは特にこれといった目撃談が無い上消息もわかっていない
いくら調べても期間も特徴も全て一致してしまう
調べれば調べるほど惨い内容も出てきて正直吐き気が止まらない
怨念少女椿まとめ
「N市にて不審死多発、怨念少女の呪いか」
「都内某所にて降霊術による集団パニック、軽症3名、重体2名」
「自殺寸前、怨念少女と呼ばれる怪異の降霊術を行った少女の最後の書き込みらしき物が見つかる」
だめだ、これ以上は限界だ見てられない
私は死人まで出してしまったのだろうか
取り返しのつかないところまで行ってしまったのだろうか
そして現に確定は出来ないが、もし怪異怨念少女が私であるかもしれないと疑う人は今後オルセカの活動によって現れないとも言い切れない
そうなったら活動においてゆーさんに多大なる迷惑をかけてしまう
ゆー「ちょっとつーちゃん、本当に顔色悪いよ?もしかして体調悪いとか…もしあれだったら今日仕事無いし、っていうかしばらく依頼来てないし全然家で休んでいいから!ね?ゆっくりしてきたらいいよ」
椿「本当ごめん…ちょっと先に帰るわ」
ゆー「うん、何かあったらいつでも言ってね」
ゆーさんには申し訳ないが今日は事務所でダラダラするのもしんどいレベルだ、1人になるのも辛いので気休めでしか無いが今日はいつものスナックに寄って行こうと思う
にしても歩いていると最近は特に人に見られてる気がしてならない。オルセカにてついた認知の影響だと思っていたが…怪異ファイルにて今後も調査と書いてあった。流石に誰かにつけられてるとまでは感じないが…もしかすると既に私は誰かに見つかっているのだろうか、そして怪異fileは誰によって書き込まれている情報なのか
何はともあれ第三者に知られるのは何よりもまずい
誰よりも先に私自身が怨念少女なのか、そうじゃ無いのかははっきりさせなければならない
そのために不自然に失われた3年間の記憶を取り戻そう
もしそれが、怨念の再来だとしても