飴細工、アメトーク、あめい神宮
縁日に行くと、飴細工を売ってたりする。職人技だな。職人なんだけどさ。昔、神社の参道に出てた屋台で、アニキとその舎弟が、飴細工を売ってたんだ。アニキの技は、そりゃ大したもんだった。くるくる回す棒の先で、猫やら龍やらが、実に見事に出来上がる。見惚れちゃって、思わず買っちまった。食べるのがもったいないくらいだったね(といいいながら、帰り道でうっかり落としちゃって、割れちゃうんだけど)。それから、だいぶ経ってのち、またその神社の縁日で、飴細工の屋台を見かけたんだ。おお、またアニキの技が見られる…と思って覗いてみると、おやおや、ちょいと違う。ずいぶん前に、教会の壁画のキリストを地元の自称画家が補修したら、絵心ない芸人みたいになっちゃったってのがあったけど、まさにそんな感じ。作り手はと見れば、いつぞやの舎弟。なんだ、アニキじゃないじゃん。アニキどうしたんだ、別のシノギかい。けっきょくそれっきり、アニキには出会えずじまい。アニキの技をまた拝みたいもんだと、ずっと思ってるんだけどね。そういや、あの舎弟にもお目にかかってないな。ちったあ上手くなったかな。まあ、このご時世、屋台もあんまり見かけなくなっちゃったけど。