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127 医師が覗き見る「日本社会のイマ」 

6月の米国消費者物価指数は前年同月比9,1%と40年半ぶりの伸びとなった。この高インフレはガソリン価格や住居費や食料の高騰が反映されているようだ。
これを受けてFRBは政策金利0,75%引き上げるのだろうが、巷には1%という声もある。この様な異例とも言える急速な金利の引き上げは、当然ながら景気を冷やす。昨今のイールドカーブの連続した逆転はリセション入りを示唆している。
この経済事象から平成バブルを思い起こすのだが、似て非なるものでは無いだろうか?その辺を覗いてみる。

元、大蔵省、財務官僚の高橋羊一氏は平成バブルを*『日本のバブルは資産バブルであり、それを生んだのは、税制の抜け穴を利用した営業特金や土地転がしで、資産売買の回転率が異様に高まったからである。日銀はこのとき、あきらかに原因分析を誤ったのだ。
一般に、中央銀行は「物価の番人」「通貨の番人」などと呼ばれるが、その「物価」には「株」や「土地」などの資産価格は含まれていないはずだ。存在目的である物価の安定を気にするのであれば、本来は消費者物価指数のような一般物価を監視しながら対処すればよかったのだ。
それをなぜか、株や土地など資産の高騰を自分たちの金融緩和の失敗のせいだと勘違いしてしまったわけだ。』と振り返っている。バブル期とされる1987年~1990年の一般物価の物価上昇率は、実は0.1~3.1%だったということであり、彼の主張には合理性がある。

現在、世界中で騒ぎとなっているインフレは先ほども取り上げた、消費者物価指数に裏付けされた、本物のインフレなのである。これに挑むべく、世界各国が政策金利を急ピッチで上げているのだが、日本のように失われた20年に象徴される、デフレスパイラルに陥ると反射的に考えるのは短絡的であろう。

このインフレはコロナ対策で、世界中が金融緩和をした後遺症である。それを治めるためにはリセションに陥ることを織り込んでも、インフレを沈静化させたいという事だ。コントロールできないインフレは貨幣の信用を失墜させる。紙屑同然となる危険性を回避して、経済の血液であるお金の流通を確保することが最重要であるというわけだ。

しかし、同時進行した資産バブルで儲け、蓄えがあるから、このリセションにも耐えられると言うFRBの見解はどうかと思う。このバブルで儲けた人々の立場に立つFRBという冷めた意見は無視できない。
それに乗れなかった世界中の人々や、年金生活者は苦しくなる。さらにスリランカのような経済基盤の弱い低開発国は破綻して、路頭に迷う。

postーコロナでは社会の分断が進み、不透明要因に満ち溢れている。

コロナに密着して行きます。



*高橋洋一:著『給料低いのぜーんぶ「日銀」のせい』

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