見出し画像

# 34 悩める人間

これは心身のリラックスに活用されている。
筋肉を緩めてリラックスしようとしてもうまく行かない。反対に、意図的に筋肉を緊張させると力が抜きやすくなる。漸進的筋弛緩法は、そんな筋肉の特性を利用したリラクゼーション法で、アメリカのエドモンド・ジェイコブソンによって開発された。このようにして、筋肉が緩む感覚を身体にしみこませていくと、心身をリラックスさせる自信がついてくる。個人的にもゴルフスイングでリラックスに利用している。
これは医療の世界でも漸進的医療として一昔前には普通に行われていた。
現在でも筋トレや医療分野で広く応用されている。カウンセリングではこの手法が使われることも多い。
真髄はやりたいことの反対を行えば、やりたい事に容易に到達できるという特性を利用した手法でもある。
更に論理構成の上でも漸進的論理構成はすでに確立したものである。

裏金作りに使われたと言われるパーティー券収入というワイドショウーを賑わせている話題を取り上げ、ザックリであるが、これを試してみる。

1、パーティー券を利用した自民党派閥の集金は裏金にも繋がり、けしからん。
2、これに正反対。政治には金が必要である。これの収入は税金からではなく、民間から吸収した資金だ。民間が政治団体に資金を供給することはそもそも、いけないことではない。米国など自由主義国家では普通に行われていることなのだ。
3、これの反対意見。今回のキックバックは裏金工作であり、コソコソと金の流れを隠蔽したのであり、疑惑満載だ。
4、更に反対意見。確かにテクニカルに落ち度はあったのだが、それを派閥解消に広げてゆくのは筋違いだ。
5、更に反対意見。そもそも。派閥がなければこの様なパーティー券も必要なくなる。派閥が金と議員のポスト獲得の温床となっている。パーティー券の売上が次のポストを保証するし、予定額を超えるとキックバックされるとしたらますます金権派閥政治に傾倒してゆく。
6、更に反対意見。派閥を悪の巣窟のように言われるが、その中で政策が議論され、実際の国政に反映されてきたのであり、適材適所の内閣人事に貢献してきた。派閥を解散するというのは木を見て森を見ないと同じでは。
7、更に反対意見。政党助成法があるのに、それまでして資金集めをする必要はない。政策集団としてだけ存続させれば良い。
8、更に反対。政党交付金から分配される金だけでは選挙が戦えないのだ。金のかからない選挙は負けにつながる公算が高い。政策だけでは選挙に勝てないことは野党もよく分かっているはずだ。
9、更に反対。それなら政治資金規正法を改正する際にも政治に多額のお金がかかる事は容認する。
しかし、今回は資金の流れの不透明性がボトムネックであり、透明性を担保することが必要十分条件だ。政策活動費など一部政党幹部が受け取る開示義務のない機密費は廃止すべきだ。更に、議員個人が使う文書通信交通滞在費(文通費)も開示義務がないのはおかしい。派閥解消の議論とは離れても、政治の金の流れの説明責任を織り込んだ透明性が究極的に求められる。
10。 更に反対。与野党議員が政治資金規制法改正を議論しても、抜け穴探しに終始しそうだ。
11。 更に反対。抜け穴を防ぎ罰則を強化する議論をするより、より抜本的に選挙制度を変えれば良いのだ。金の絡まない選挙制度を目指せるはずだ。ネット選挙を思い切り拡大して、パソコンや携帯で選挙投票ができる仕組みづくりをすべきでは。
12。更に反対。ネット選挙は若者には受け入れやすいのだが、人口の多くをしめる高齢者が利用できるのか、疑問だ。これは公平な選挙に繋がらない。
13、政治と金、派閥は時代の転換期で民主主義を実行するための必要悪であろう。将来は自然消滅するはずだが、とりあえず出来ることを模索するしかない。
という何となく情けない合意に近づく。
もちろんこの結論にあまりに無気力で懐疑的ではないかなどの反対の意見はあるはずであり、まだまだ続けられるのが漸進的論理の展開であろうが、次第に本丸に近づいてくる感じもする。奇数の意見、偶数の意見はほぼほぼ同じ方向性を保ちつつ、結論が次第に見えてくる論理手段である。
肩のこる社会問題などに目をつぶるのではなくて、不透明な霧の中から脱出して、より良い結論に到達したいと誰もが考えている。その際に、この論理構成技術もフルに活用すべきであろう。

薬のない時代に多くの病を治してきた漸進的治療は個人的な問題から拡大応用され、社会的無秩序の恐れをも癒してくれるのではないだろうか、などと考えている。(何かしら分かりにくい話でした)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?