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77 悩める人間

トランプ氏の大統領辺りザキとなった。「バイデン政権で生活は良くなったか?」と言う単純なキャンペーンは実に有効打だった。彼の経済政策に多くの米国人が期待しているのである。
その政策について考えてみる。

漸進法で進める。

1。彼は全てマネーで考え、判断する。政策もそうであったし、これからもそうであろう。しかし、それは大統領の取るべき態度ではない。コロナはマネーでは解決出来ずに、無策だという批判の嵐の中、前回の大統領選では散って行った。
オバマ元大統領の「トランプ大統領のコロナ対策の失敗で、40万人以上の死者が出た。世界最悪だ」。これはトランプ氏にとり、致命傷となった。
2。その通りだと思う。しかし、アメリカ人も忘れやすい。
3。マネーは交換されて幾らなんだ。コロナ対策は商品化するには時間が必要で、ワクチンや治療薬の普及が間に合わず、トランプ政権が倒されてしまった。これをもって、マネーを中心に考えるトランプ氏が間違っていたと考えるのはどうかと思う。アメリカ人が忘れやすいと結論付けるのも反対だ。
4。タマラハリス氏の移民政策を含めた経済政策は長期的視点で見ると米国に欠かせない政策だったはずだ。しかし、その主張は米国民には理解されなかったと言うことだ。
5。正当だとは言えなくても、トランプの主張は米国民に分かりやすかったはずだ。一方で、彼女はヤメ検(元検事)ということで、社会倫理の見識は豊かであり、高学歴の民主党には受け入れやすかったのであろう。一方で、彼女の示す経済政策は国民には分かりにくかった。
6。彼女の取り巻きには経済政策に長けた人も多かったはずだが。
7。彼らの掲げるマクロ経済は、インフレ目標などの幾多の経済指標に囲まれた、知識の塊だったし、それを裏付ける数学的な根拠もあった。そんな民主党へ、多くの富裕層は投票したと言われている。しかし、一般国民は、クレジットカードの延滞や、家賃や、自動車ローン、学生ローン、減税、諸々、マネーに直結したトランプの主張の方が理解しやすかったのだろう。ましてや、貧困層にはマネーの方が心に響いたはずだ。
8。だが、トランプ氏のマネーに関する見解は矛盾だらけではないか。キャンペーン通りにインフレ退治をするのなら自画自賛しているタリフマンを返上して、関税をかけない様にしないと、逆に財政は悪化して、インフレが加速してしまう。
9。彼はマネーを商品と考えている節がある。フロリダの大邸宅、名門ゴルフ場の所有、トランプタワー、などをみているとそう感じる。物へのこだわりはハンパないはずだ。要するに、古い。
10。マネーは商品を受け入れるための、交換するためのツールである。彼の考えで良いのでは。素晴らしい不動産を所有する喜びは、無味乾燥なお金では味わえない物なのだ。
11。いや違う、お金は物々交換の煩わしさから生じたのではない。それは譲渡できる信頼であり信認であり、古代ギリシャに遡る、稀に見る発明なのだ。自由と安定を保証する社会技術であり、最強の手段なのだ。商品のように考えるのは寂しすぎるし、古い考えだ。
12。トランプ氏はお金に対して昔ながらの考えの持ち主と言うことか。
13。その可能性は有りだ。お金は多分に人間的であり、国を統治する有力な手段である。しかし、それを商品と考えると一番危惧すべきは、流動性を見失う事だ。
14。分かりにくい、もう少し説明が必要だ。
15。最近、日本でも貯蓄より投資という新機運が生まれている。そんな金融市場に国民が向かうのは、岸田政権の掲げた、新しい資本主義の方向だと思う。私からすれば、これは日本国民をより流動性のある資産へ誘導している事に置き換えられる。それには個人がリスクを受け入れなくてはならないが、大きな実りも得ることとなる。お金を物と考えると、流動性が失われる。一度買った商品を換金するのは手間のかかることであり、流動性は極めて低下するのだ。貯蓄も流動性の低さに繋がる。皆が定期預金に走ると、市中に流通するお金が減って、回らないということになる。
お金が回らないと、経済は停滞する。
トランプ氏の政策は国境の壁を作ったり、輸入関税を引き上げたり、人、金、物、情報の流れを制限する政策が好きなのだ。それは、近代貨幣論の長所と逆行し、持ち運びの面倒な金塊の中で窒息する様なものだ。
彼がお金は商品を得るための仲介と考えているとしたら、経済にブレーキをかけ、世界の流れについて行けない矛盾を生む。
その辺りが問題点なので、彼に「貨幣をどう考えているのか?」と質問してもらいたかった。そんなこともしない米国民主党は情けない。悔しいはずだが、我慢するしかない。

書きたくなる雰囲気です。



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