#162:大江戸線の小学生
彼は麻布十番で大江戸線に乗ってきた。
漢字ドリル
半袖半パンで恐らく服装からサッカー帰り。
時間は平日20時半。
彼はサッカーバックから漢字ドリルを出した。
大江戸線の座席に座り、膝の上にドリルを置き筆箱も引っ張り出す。
不安定な膝の上で漢字の書き取りをする。
「潔」「潔」「潔」「潔」
「潔」を使った例文を最後に書いて終了。
それにしても、電車の中でこの時間に宿題。
一心不乱にやる姿は潔かった。
次は図形
電車は青山一丁目を過ぎる。
漢字ドリルをしまうと、今度は算数プリントと何とコンパスを取り出した。
ここでコンパス?
膝の上で器用にコンパスを使って線を引く。
そのうち、今度は分度器を出した。
何やら図形を描きながら角度を測ってそれを書き込んでいく。電車の中とは思えない集中力。
一部始終、その様子を眺めていた。
新宿到着
真向かいに座る彼は一度も顔を上げることなく、最後まで宿題をやり終えたようだ。
じっと様子を見守っていたので、顔を上げた彼と目が合いそうになった。まあ彼を怖がらせるわけにも行かないので、さっと目を逸らした。
お互い新宿乗り換えのようだ。
向かいに座っていた彼も席を立つ。
「宿題お疲れ様!」
心の中で声をかけて電車を降りた。
…
(土日にお仕事の方もいらっしゃるとは思いますが)ひとまず、4月の仕事お疲れ様でした!
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