エネルギーシステムと建築との関係を考える(エネルギー問題とは何なのか?)
さて、いよいよ環境問題での最大の課題とも言える「エネルギーシステム」に関して、建築や建築業界の可能性を考えていこうと思う。
ここは、地球規模での課題の話しであるが、最終的には、建築業界にとってやらなければならない話ではなく、どんな旨味がある話が転がっているのか、その可能性が見つけられたらと考えている。
とは言え、このエネルギーシステムの問題を安易に扱うのは危険である。
単に、省エネの可能性はこんなものがあるとか、自給自足するにはこうしようなどと言うのは簡単だが、それこそジャストアイデアを並べただけになってしまう。
それよりも、まずは現在の状況を整理して、課題を明らかにした上で、大きな方向性を見出すことが重要である。具体的な建築業界での勝ち筋はその次の議論にすべきである。
だからここでは、まず今どんな状況なのかをしっかり本質を理解することから始めたい。長くなりそう・・・・
「エネルギー問題」とは何?
これにズバッと答えられる人って意外と少ないのではないかと思う。
以前であれば「エネルギーの安定供給」だったのだろうが、現在もしくはこれからの目的は「地球温暖化対策」の意味合いの方が強い。
しかし、この地球温暖化対策というのは何をすることなのか?ここが実はよく分かっていないのが素直な状況ではないだろうか!
CO2を削減すること
オゾン層を守ること
化石燃料の使用を減らすこと
エネルギー消費を減らすこと
どれも良く聞くキーワードで大事そうではあるが、これらがどう地球温暖化を防ぐことに繋がるのだろうか?
そして、この中のどれが一番大事なのか?
ニュートラルに考えていきたいと思う。
地球温暖化というのだから、ここは「地球」というスケールで考えてみる。
地球という閉じた世界(系)と外部とのやり取りということで、エネルギーの保存則 的に考えると・・・
入るエネルギー(INPUT) → 太陽からのエネルギー
出るエネルギー(OUTPUT) → 地球から宇宙に出るエネルギー
であるから
まずは単純にINPUT > OUTPUT となることで地球が暖かくなるという理屈のはずである。
そしてこれまでは、INPUT ≒ OUTPUT だったのが、INPUT > OUTPUT になっているのだとしたら、地球から宇宙にエネルギーが出にくくなっていることが問題だと言える。
そして、これを引き起こしているのものこそが二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスと呼ばれるものである。
温室効果ガスは、赤外線を吸収しやすい(通しにくい)という特徴がある。即ち、太陽からエネルギー(紫外線等)は通すが、地球内部から出ようとするエネルギー(熱戦などの赤外線)は通さないということであり、これが増えることで、INPUT > OUTPUTとなり、地球が温まってしまうということになる。
これが地球環境問題の最大の課題なのだろう
では何故この温室効果ガスが増えてしまったのだろうか?
これまでも地球では植物が酸素を作り、動物が呼吸して二酸化炭素を排出する、もしくは植物を燃やしてエネルギー源として使うといったシステムで環境は成立していた。これが繰り返される限りは、急激に温室効果ガスが増えるなどということはないはずである。
それは地球が閉じた系であり、地球で使用されるエネルギーは、全て太陽からのエネルギーから生み出されるという前提だから成立する。
時間軸を考えなければ、これは現在も確かに機能している。※地熱など地球マグマからのエネルギーを使う等を無視すれば。
地球のエネルギー(全ての生物の存在・行動や様々な気候現象など)は、全て太陽からのエネルギーでできている。
例えば・・・
植物→太陽光を吸収して生育する
動物→太陽光を吸収して育った植物を食べて生きている
風→地面や海が太陽で温められることによって発生
石油や石炭→大昔に太陽光を吸収した植物が化石となり鉱物となったもの
が、この地球温暖化の問題を考えるときは、これに時間という要素を考える必要が出てくる。
植物、動物、風、太陽光などのエネルギーを取って使うというのは、太陽からのエネルギーをある程度短い期間の中で全て消費することになるので、地球上という閉じた系の中での出来事だと考えられるだろう。
けれども、石油や石炭は違う!
地中にずっと閉じ込められていた何千万年も前の太陽エネルギーを掘り出して、今使うということになるのである。
つまり、この何十年という単位で考えると、地球上という閉じた系に、地下に眠っていた新たなエネルギーをINPUTしてしまうことになるのである。更には、その使用により新たな温室効果ガスをも発生させる。
これにより、地球上で発生するエネルギーの量そのものが大きくなってしまったのである。
人類は人口爆発に伴い、エネルギー使用量が増え、それを賄うために化石燃料をどんどん使うようになっていったのである。太陽からのエネルギーだけでは足りずに、新たなインプットを地球に与え続けている。
更に、エネルギーの利用方法も変わって来ている。
これまでは太陽光は地表に生息している植物の生育にも多くが使われていた。植物がCO2を吸収して、酸素を発生させるといういわゆる光合成である。これがCO2(温室効果ガス)を減らしてきた。植物は短期的にエネルギーとして使われることにもなるが、多くは常に光合成を繰り返している。
これがなくなって来ている。太陽光を植物生育に使わなくなっているのである。温室効果ガスを減らす手段が失われているということである。
この様に
地球規模で考えると分かりやすい。
太陽からのインプットに対して、①それだけでは足りずに新たなインプット(化石燃料)を行っている。そして②温室効果を減らす能力(植物生育)が弱まっている。これが地球温暖化の大きな要因である。
ここ意外と重要である!
人口爆発により、必要なエネルギー量が増大する中で仕方がないことではあったのだが、課題が明らかになったからには対応が必要である。
例えば再生エネルギーを使うのは化石燃料を減らすことが目的である。
再生可能エネルギーのシステムを作るのに化石燃料を使って、トータルでは化石燃料減らないというのはナンセンスである。
ランニング時の省エネにとらわれて、生産廃棄時に負荷が大きくなり、トータルではエネルギー消費減らないというのはナンセンスである。
こういったことが沢山ありそうである。。。。
今回の、この何のためという部分を理解した上で、エネルギー問題に対して、建築領域でのチャンスを見つけて行けたらと思う。
続き(次の記事)へ
最後まで読んでいただきありがとうございます。最後にこれまでの記事へのリンクです。こちらも読んでいただけたら嬉しいです。