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誰も言わないエネルギー対策の矛盾
ふと思うことだが、エネルギー対策しようとすると余計にコストがかかるから出来ないという話が良く出る。
これっておかしくない?と私は時々思う。
なぜか?
エネルギーを減らそうとしているのに、余計なコストがかかるというのは、余計なエネルギーを使おうとしているのである。
エネルギーを減らしたい。
無駄を減らしたい。
環境負荷を減らしたい。
であれば、余計なコストをかけない方向に動かなければいけないはずである。
それなのに、現在の社会では、エネルギーを減らすために、まずはエネルギーを使わなければならないのである。。。。
これまでやっていたことに加えて、エネルギー対策なるものをやらなければならない。。。。
こんな理屈が平然とまかり通っていることに違和感を覚えてしまうのである。
普通に考えると。
エネルギーを減らしたいなら、沢山使っているところを見つけて減らす努力をするべきである。
けれども、そうではなく、まずは余計なコストをかけてエネルギー対策をして、その後で使う予定だったエネルギーを減らすのである。
なぜ、こんなことになっているのか?
私は
資本主義社会における建築業界の構造弊害 と
その事実に目をそらしている社会システムの制度設計の怠慢
と断言したい。
資本主義社会なので、これまでの売上を敢えて自分から手放す力学は働か図に、売上を上げる方向にしか社会の力学は働かない。
建設時のエネルギーを減らすことは、事業会社の売上を減らすことになってしまうが、運用時(生活している時)のエネルギーを減らすことは生活者の負担を減らすことになる。つまり、資本主義社会においては、どうしても新築時にエネルギーを増やし、運用時のエネルギーを減らす方向にしか動けないという状況になってしまう。
エネルギー問題というのは、建設時も運用時もエネルギーを減らさなければいけない。建設時のエネルギーもどうしたら減らせるか考えなければいけないのに・・・そこに目を向かせない様にしているとしか私には思えない。
よく、建設時(イニシャル)でのエネルギー消費、運用時のエネルギー消費、廃棄時のエネルギー消費などを合わせて評価するLCCMなどという指標があり、そこでは運用時のエネルギーが大きいので、そこを減らさなければならない!と表現されている。
ここも私はおかしいと実は思っている。
建物が何年使われるかによって、この数値は操作できてしまうからである。例えば、色々な論文があるので、興味ある方はググってもらえたらと思うが、例えば30〜40年くらいで計算すると、建設時のエネルギーが一番大きかったりする。けれども80年、90年、100年と増やしていくと、運用時エネルギーが大きくなる(そりゃそーですよね!)。現在は長期優良住宅などといって100年持つ様に作られた住宅だから100年で計算して良いのかも知れない。
が、この変化が激しい時代に、果たして100年同じ住宅に住み続ける人っているのだろうか?私は、意外と30〜40年で建て替えられてしまう、もしくは空き家になってしまうというのが多いんじゃないかと思うのである。現在は少なくてもまだそういう状況であるし。
けれども、それで結論付けてしまうと、建設時のエネルギー消費が一番の悪者になり、真っ先に減らさなければならなくなる。これはつまり建築業界の売上を下げる話になってしまい、建築業界に取っては嬉しくない話なのである。
しかし!
ここは社会システムの制度設計次第でどうにかなるのではないか?
というか、制度設計を変えて積極的にそちらを減らしていくべきではないか?それこそ、建設時のエネルギーを減らしたところにインセンティブを与えられるような制度設計をしていけば良くて、それをしていないのは制度設計側の怠慢以外の何ものでもないと思ってしまうのである。。。
逆に、それはこれまで私たちがやってこなかったことで、意外といろんなチャンスが転がっている領域であるとプラスに考えていくべきではないだろうか?
建設時に出来るだけエネルギーを使わない建築プロセスってどういったものなのか?エネルギーを使わないで、快適な住宅や建築を作るには、どうすれば良いのか?
シンプルで、めちゃくちゃ合理的な建築物と建築プロセス(サプライチェーン含め)を考えていくことになるのである。
これまで誰もが目をそらしてきたところなので、今は想像出来ないが、ここを作り上げることが出来たら、それは日本だけでなく世界中に需要が生まれるはずである。住宅であれば、少なくても木造住宅が一般的な国々、ビルでそれが実現したらそれこそ世界のビル建築市場で戦えるようになる。
これを日本が先行して、作り上げていくまさにチャンスなんじゃないかなと思ったりするのである。
が、現実はなかなか難しいんでしょうね。。。。。
私自身は制度設計や環境分析のプロでもないので、間違っている部分もあるのかも知れないが、少しでも問題提起になればと思い、時々考えてしまうことを書いてみました。
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