瞬いた星の詩
シリウスが綺麗だね
ちらちらと輝いて工業地帯のよう
日本から観測できる地球は夜だけど
それなら今見上げているあの星は
なんの光を映しているのだろう
探していた輻射点はどこにも見当たらない
もう少しすれば東の空に昇ってくる
という話を何度か聞いたけれど
いっこうに昇ってくる気配がない
目を凝らしていても
街明かりに照らされて薄められた夜空に
流星はそっと消え入るように落ちて
曇り空はそれを隠してしまう
それでも空高く輝くシリウスは綺麗だね
昨日に置き去りにしてしまったきみはきっと
オリオンの足元できらめく宝石になった
ぼくはきみを昨日に置いたまま
変更線を越えて明日を生きようと思う
くしゃみを誘う晩秋の冷気のなか
すう、と深呼吸をして
名残惜しさとひとつまみの愛情をベランダに添える
どうか想像のつかない遠くまで流れていってほしい
くらい影は踏まないように歩くつもりでいる
カズラが足に絡みついてふと立ち止まる
今日と同じ流星群の夜に
ちらちらと輝くシリウスを見てきみのことを思い出すよ
photo by CharlVera
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