自作ナイフのススメ(大嘘) #3

肉を落とした豚骨の両のげんこつを切り落とし、大変だった。いやぁ苦労した。と感慨深く断面を撫で回してるうちに、骨の中心部が柔らかい事に気がついた。

ははぁなるほど。これが骨の髄というやつか。これは洗い流さねばならんのだったなと指で強めに押した途端、中から異臭を放つドロドロとした液体が飛び出してきた。その匂いはなんと言ったらいいのだろうか。とんこつ専門のラーメン屋の厨房裏の換気扇にこびり付いた匂いのような、悪臭ともとれる濃厚すぎる豚骨臭である。

どうやらこれが骨の中にみっちり詰まっているらしい。こんなものが詰まっていたのでは話にならないと、割り箸を突っ込んでかき回してみたら出るわ出るわ。後から後から豚骨髄液が溢れてくる。写真にでも撮ろうかと思ったが、あまりのグロ画像。とてもじゃないがひどい絵面で、私自身気持ちが悪くなる程なのでやめておいた。この判断は正しかったと思っている。

よく考えれば、ラーメン屋が豚骨スープを作るのに骨を叩き折っていた理由が、鹿角の加工をしているブログがツノの根元を切ってから煮ていた理由が今はっきりわかったのである。どちらもこの髄液を出す為だったのだ。

なんとか手を脂まみれにしつつ、割り箸で髄液をあらかたかき出した後には大きな穴の空いた豚骨が残っていた。

しかも貫通である。

穴を埋めるにせよ利用するにせよ、未だひどい悪臭を放ち続ける豚骨をとてもじゃないがこのまま利用する気にはなれない。考えた挙句、考えるのが面倒になり、とりあえず真っ二つにしてみることにした。そうすればよく洗えるし、真っ二つにしてもさほど問題ないだろうという思考停止の結果である。

ざっと鉛筆で切断ラインを引き切っていくのだが、前回の記事で書いた通り豚骨は固く、また金のこの使い方も間違っていた為ひどく時間がかかってしまった。4、50分は格闘していただろうか。当初の予定ではさっさと豚骨を切って切断面を一晩水につけるとして、後はのんびり相棒でも見ようかと思っていたのにすでにもう終わりかけである。とんだ重労働だ。そうこうしているうちにようやく切断する事が出来た。

軽く水洗いした後の写真だが、いかに豚骨の中に髄液が詰まっていて骨自体は細いのか。何故誰も豚骨でナイフの柄を作ろうとしないのか、とてもよくわかる写真となった。

そんなことを言ってもすでに後の祭りなので髄液を完全に除去する為、この状態からさらに煮ていく事にする。

写真では非常にわかりにくいが、かなりの脂である。外側は数時間煮て、外中共に食器用洗剤を使い金ダワシで洗ってなおこれほどの脂が浮くとは。さすがは豚骨恐れ入った。

今日の作業としてはここまでだが、この後数時間煮込みその後漂白、加工といった流れになる。漂白まではいいとして、加工など出来るのか。スッカスカのこの骨がまともな柄になるのか。実に見ものである。(他人事)

いいなと思ったら応援しよう!