自作ナイフのススメ #1.5

現在豚骨の煮込み中である。

こう書いてしまうとまるでラーメン屋か料理人のブログのように思えてしまうが、何の事はない。昨日の続きで脂と髄液を除去しているだけである。

タイトルからしてもわかるように今回は閑話休題的な話であり、作業は全く進んでいない。脂をとり漂白を済ませた段階で#4を書こうと思っているのでそちらをご覧いただきたい。今回は文書も書き慣れていない私が何故ブログの新規開設までしてこんな駄文を連ねているのかという動機のはなしである。

さて、自作ナイフというものに興味を持ち、あるいは古くなったナイフの柄の交換をしてみたいと思った時にまず立ち塞がる障害が存在する。それは己の技術力の乏しさなどではなく、そのはるか前の段階、参考資料の少なさである。

すでに検索してみた方はお気付きかもしれないが、自作ナイフというものはそこそこの人気が存在する。昨今のアウトドア、キャンプブームの影響なのか、単に刃物という魅力が男子心をくすぐるのかはわからないがともかく一定のニーズが存在する。にもかかわらず資料が少ないとはどういう事なのか。それは自作ナイフのブログ、特に刃ではなく柄に関するブログの4割がその材質の特徴の解説に終始するものだからである。そして残りの5.5割は専用キットを使ったお手軽ナイフ製作ブログである。そしてわずかに残った自作記事の殆ど全てが鹿角を使用した製作記事になっている。

自作ナイフについて調べていて、運悪く私のブログを一番はじめに見てしまった方に簡単に説明するとナイフの柄に使われるものには大きく分けて4つの素材がある。木材と、金属と、人口素材と、骨である。もしかしたら他にもあるかもしれないし、各種素材についてのブログはもっと詳しいものが腐るほどあるので、そちらを参照されたい。その4種のうちの骨だけにに関してでも、鹿角、牛骨、サメの歯、鯨の歯、象牙、水牛の角など多岐にわたるものがあるらしい。豚骨は推奨されていない。その中で最もメジャーであり比較的安価で手に入るものは鹿角だけらしい。鮫の歯が簡単に拾える訳もなく、捕鯨はきな臭い。象牙や水牛の角は国内での入手は絶望的だし、条約なども絡んでくると値段が跳ね上がる。牛骨なら簡単に手に入りそうだがあまり人気はないのか、牛骨に関してはギターのパーツに利用する記事しか出てこない。

鹿角が手に入りやすいとは言ったが、街中に鹿がうようよ出歩いているわけもなく。角を拾えるのは奈良県民か田舎の民の特権となる。ではどうするのか。それはもちろん購入するのである。鹿角を購入すれば、すでに一定の加工がされておりすぐさまナイフが作れる優秀な素材が届く。余計な手間をかける必要などなく、ナイフと固定するビスを通す穴を開けて、形を整えて完成である。その様子をブログにすれば見栄えのいいお手軽記事の完成だ。自作ナイフの記事において実際に作っているブログはほとんどがこれである。そうでなくても鹿角は余計な肉も付いておらず、髄液も少なく加工がしやすいらしい。先端を使うのであれば雑菌を落とせば下処理完成なんてこともあるらしい。

一方で牛骨に関して言うと、ナイフの柄素材としての人気はあまりなくギター用のパーツの記事がメインとなる。後半の加工の仕方が違うだけで下処理は変わらないだろうと記事を見てみると、やはりこちらも専用キットが人気なようであった。それはそうだろう。スーパーで牛骨を買ってきて下処理するのであれば、すでに下処理済みで程よい大きさに揃えてある牛骨を買った方がいいことは誰でもわかる。

中には下処理からやっているブログもあったが専門の業者の記事がほとんどで、そうなると今度は企業秘密が邪魔をする。肉の落とし方、漂白の仕方、ツヤ出しの方法といった工程が企業秘密にあたり知りたい部分はしっかりベールに覆われたどり着けない。おまけに業者ともなれば使う道具も専門のもので大掛かりな機械や業務用の薬液などが多々登場してくる。これではなんの参考にもならない。

ここまで読んでくれた酔狂な方はもうお分かりであろう。ナイフのハンドル(柄)を作りたいならば素直に鹿角を使い、専門業者から専用キットを買うべきなのだ。間違っても豚骨なんぞというものを使用してはならない。材料費をケチってはならない。特に初心者のうちはなおのことである。


そんな経緯を経て資料が少ないのならば私自身が人身御供となり、失敗しようと成功しようと後に続くかもしれない輩たちへの礎となろうと思ったわけである。

それともう一つ。どちらかといえばこちらの理由の方が大きいのだが、ブログを書く事で途中で投げ出さずに済むのではという思惑もある。独りで黙々と作業しているとあまりの大変さに豚骨がゴミ箱へと放り込まれかねない。よしんば棄てられなかったとしても、謎の骨のオブジェとして部屋の隅で埃をかぶることになりかねない。それを避けるためにも制作ブログを残し途中放棄を阻止しようと考えたのである。

今のところはモチベーションを維持できているので、こちらの目論見に関しては達成出来ていると言えるだろう。

今のところは・・・。

いいなと思ったら応援しよう!