【読書メモ】刈谷剛彦『知的複眼思考法』
刈谷剛彦さんが書かれた『知的複眼思考法 誰でも持っている創造力のスイッチ』という本を読みました。手に取ったのは「知的複眼思考法」って何だろうとタイトルに興味を持ったためです。
いきなり書いてしまうと「複眼思考法」とは、ひとつの問いに対して単眼(一方向での見方)をせず、色んな角度からその問いを眺めて考えることを指しています。そして、本書はその知的複眼思考法をどうやったら身につけることができるのかを記したものとなります。
本書の初版は1996年6月に出版され、僕が読んだ文庫版は2002年5月に一刷が発行されていました。20年以上前に世に出た本ということになります。当然、20年前にはスマホもなく、現在の常識とはさまざまな点で異なっていたはずです。
しかしながら、いま読んでも非常に実用的だなと思える部分ばかりでした。本書は全体を通して「問いの立て方」について論じたものです。社会が変わり、問題が変わっていっても、本質的な問いの立て方自体は変化していないように思えるからです。
問いの立て方について、すごく役に立つなあと思った方法をいくつか挙げてみます。
大きな問いを小さな問いに分割する
別の立場からその問題を眺めてみる
問題自体を問うてみる
それぞれについて、考えたことを少し書いておきます。
大きな問いを小さな問いに分割する
大きな問いは複数の小さな問いで構成されているものです。本書で書かれた方法は大きな問いに含まれている主語を、それを構成する下位の主語に分解していくという方法です。例えば、「若者」という主語があった場合、性別、学歴、家庭の収入などによって主語を分けて考えることで、問いを多角的に考えることができるようになります。
主語を分解するという点は、言われてみると重要だなと思うと同時に、仕事において「客」を想定するときに、ペルソナを想定していたことを考えると、自然とやっていたのだなという気付きを得ることができました。
別の立場からその問題を眺めてみる
仕事で「とある商品の売上が下がっているのはなぜだろう」という問いに直面したとき、どうしても自分の立場から売上を上げる方法を考えてしまいます。しかし、視点をズラして「客はなぜこれを買わないのか」「客は何が好きなのか」、そして「この業務を命じた上司は何を求めているのか」、「同業他社は何に気を付けて類似商品を開発しているのだろう」など様々な立場から検討することで、多角的な答えを出すことができるようになります。
当たり前のように思えますが、業務に集中しているときに限って自分の立場や視点のみから問題にあたっていたように思うので、これは自戒も含んだ学びとなりました。
問題自体を問うてみる
「なぜ問題なのか」ということだけでなく、そもそも「なぜそれが問題なのか」「なぜそれが問題になっているのか」を考えることで、問いを多角的に考えることができます。それが問題と認識される事情や社会そのものを浮かび上がらせるためには良さそうです。ただし、ドツボにハマる可能性もありそうなので、仕事の眼の前の課題に取り組むときに多用することは避けた方がいいかもしれませんね。
上記はほんの一例で、本書の中にはもっと色んな方法が載っているので、興味がある方はぜひご自分でお読みください。
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