未解決事件とのすれちがい
もう20年以上経ちますが、世田谷一家殺人事件というのを覚えている方も少なくないと思います。
今でも年末になると事件発生から〇〇年目というニュースが流れて、それを見るたびに当時のことを思い出します。
実は私は事件があったお宅のお隣に住んでいました。
事件発生時はすでに引っ越していましたが、事件を伝えるニュースでかつて住んでいたアパートが映ってびっくりした記憶があります。
ただお隣といっても、間にちょっとした緑が生い茂っているので家があるのは覚えていても住んでいた人たちは全く知りませんでした。
それは年末の事件発生から半年後、2021年の8月の週末のことでした。
当時私は杉並のマンションに住んでいました。その年5月の連休明け以降新しいプロジェクトに関わりとてつもなく忙しく、平日はほぼ会社とホテルの往復。週末の短時間だけ帰宅して洗濯や次の週の衣類を調達するみたいな生活をしていました。
そのときも1-2時間の滞在のときのことでした。
その日も洗濯をしていたときにドアのチャイムが鳴りました。
「なんでこんな時に限って。どうせセールスかなんかだろう。。」
こちらも忙しいので居留守を決め込んでいたら、しつこく何回も呼び鈴を鳴らすので仕方なく玄関に行って「どちらさま?」と尋ねると男性の声で「警察です」という返事が返ってきました。
おそるおそるドアを開けると、大柄の男性が二人。一人が警察手帳を見せてお名前を名乗られました。
こちらが思いもよらぬ警察訪問にぽかんとしていると、間髪入れず時「世田谷の時間の件でお話を聞きたい。中に入れてもらえますか?」と言うのです。
別に何も悪いことはしていませんが、何となく抵抗感があって反射的に「今散らかってますので。。」とやんわりとお断りしました。
嘘ではなく、本当に散らかっていたので玄関口ですませたかったのですが、
「お時間はとらせませんので」と半ば強引に押し切られ、仕方なく家の中に通しました。
年配と若者のペア。なんか刑事ドラマみたい、とドキドキしながら居間に通すと、年配の刑事さんが畳の上に座るや否や、パッと目の前に地図を広げて「あなた、昔このあたりに住んでいましたよね?」と鋭い視線を投げかけながら聞いてきました。
そうですと答えると「この家のことは覚えていますか?」と事件のあった家を指さしました。
「家があったのは覚えているけど、詳しくは知らない」と答えました。
その後いくつか質問されましたが覚えていません。せいぜい10分くらいの話だったと思いますが、ちょっと重苦しい雰囲気ですごく長く感じたのを覚えています。
年配の刑事さんが質問をしている間、若い刑事さんはずっと部屋のなかを舐めるように見回していたのを覚えています。きっと何か手掛かりになるものがないか探していたんでしょうね。
帰り際に年配の刑事さんが、それまでとは違った少しだけ柔らかい表情で「あなたは関係ないようですね」と告げて帰っていったのは印象的でした。
しかしなんで今頃家にきたんだろう???
いろいろ考えてみたのですが、当時住んでいたマンションが遺留品の一部が購入された場所と現場を結ぶ線上にあったからかな?とか勝手に思っていました。
それにしてもそのアパートから引っ越してすでに3年くらい経っていて、その間2回引っ越ししていたので、ちょっとびっくりでした。
3年で2回も引っ越しする方が怪しいといわれてみれば、全くその通りなんですが。それにわずかな滞在時間中に来たのはたまたまだったのか?あるいはずっと張り込んでいたのかしら??いろんな思いを頭を駆け回りました。
こんなに時間軸を深く掘り下げて、わずかな手掛かりを辿って捜査する警察はすごいと思うし、それでも見つからない犯人って何なんでしょうね。真犯人が見つかることを祈るばかりです。