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大動脈弁閉鎖不全症の手術から8年-その4

9月半ばに手術が決まり、とんとん拍子に日程が決まり、それにあわせて会社に休暇届を出した。
手術日だけは決まっていたけど、それ以降いつ社会復帰できるかわからなかったので2カ月間の申請を出した。

手術に関しての説明を聞いた時はちょっと冷や汗ものだったけど、それ以降はまな板の上の鯉状態で、驚くほど落ち着いて手術までの日を過ごしていたことを覚えている。

手術日の前々日、休暇に入る前の最終出勤日に当時バンコクから出張で来ていたアメリカ人のボスが帰るので、桜木町から羽田まで電車で見送りしたことを覚えている。だから体調自体は至って良好だったのだと思う。

入院したのは手術前日の昼頃だったと思う。
最後の晩餐になるかもしれない病院での夕食は全く覚えていないが、なにやらいろいろと書類にサインしたことはうっすらと覚えている。

手術当日の朝はまぶしいくらいの朝日で目が覚めた。
目覚めの良い朝だった。
気持ちもすごく落ち着いて、明鏡止水とはまさにこの心境かしらと思った。
ただ、万が一のために財布に銀行口座の暗証番号を書いた紙を忍ばせた。
大して財産があるわけでもないのに。

手術は午前中から始まった。
予定時間になると看護師さんが車いすを押しながら迎えに来てくれた。
別に歩けないわけではないのに重たい思いをさせて申し訳ないなあと思った。
手術室の前まで来て数分待った。
この時に至ってようやくドキドキした。
ほどなくして扉が開き手術室に迎え入れられた。
手術用寝台に載せられ、口に全身麻酔のカップを被せられた途端、意識を失ったらしい。感覚的には次の瞬間、ICUのベッドで目覚めた感じ。
手術中の時間感覚はまるで記憶を抹消されたように恐ろしいほどなかった。
もちろんいたくもかゆくもなかった。まさに時空を飛び越えワープした感じだった。

もしも手術に対して恐怖を抱いている方がいらっしゃたら、それは杞憂。本当に痛みなんか感じない。手術自体は。。。大変なのはその後。
それでも昔やった腎臓結石の苦しみに比べれば全然ましだった。


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