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「ICGN 日本のガバナンスの優先課題」に見るサステナビリティ報告への期待
昨日のnoteには、今年・2023年4月に公表された「コーポレートガバナンス改革の実質化に向けたアクション・プログラム」(以下「アクション・プログラム」)の話を書きました。
そこでは、このアクション・プログラムにコメントをした人として、International Corporate Governance Network (ICGN) のChief Executive Officerであるケリー・ワリングメンバー氏をご紹介しましたが、そもそもICGNとは何なのかというご説明がまだできていませんでした。
ICGNは、運用会社や公的年金、上場企業などの機関投資家を中心に構成するネットワークです。そしてCEOであるケリー・ワリング氏は、日本のコーポレートガバナンス・コードやスチュワードシップ・コードの改訂にも携わっている人物です。
さて、このICGNですが、実は「アクション・プログラム」公表の約半年前=2022年10月に「ICGN Japan Governance Priorities Published 04 October 2022 (ICGN 日本のガバナンスの優先課題) 」を公表しています。これは(2019年に公表された初版を改訂したもの)
ここでは、以下の5つを日本のコーポレートガバナンスのさらなる向上に向けた課題領域として、さまざまな提言がなされています。
Corporate reporting
Board independence
Board effectiveness
Capital allocation
CEO and executive pay
そして、5つの領域の中で最も「2022年に新たに加えられた項目」が多かったのは「1.Corporate reporting」でした。
以下に、「1.Corporate reporting」で提言された内容をまとめますと、
株主総会関連
コーポレートガバナンス関連情報は(ガバナンス報告書などに分散させるのではなく)有価証券報告書に統合すべき
招集通知は、プライム市場に上場しているすべての企業が英語で発行すべきです。
招集通知の発送は総会の30 日前にすべき(現在は総会前約 20 日)
プライム市場上場企業の有価証券報告書 (有報) は総会の30日前に英語で発行するべき
最後のは特に、実務を考えるとスケジュールが…(無理…)
ただ、これとあわせて
企業は、6月以降に開催し総会の分散を促進するために、定款規定を変更し総会基準日を少なくとも1か月変更するよう奨励されます。これにより、海外株主の参加が促進され、企業は 総会資料を準備するための追加の時間を得ることができます。
とも書いてありました。
取締役会に関する開示
リスクを適切に管理するための効果的な内部統制システムの確立と維持を監督する取締役会の役割に関する開示を強化すべき
企業は、財務および持続可能性に関連する企業報告に対する取締役会の役割、ガバナンス体制と財務及び持続可能性に関する情報を含む有価証券報告書への説明責任を明確にする取締役会規則を公に開示すべき
その他取締役会について
取締役会は、完全に独立した取締役で構成される監査委員会を設置すべきで、全ての委員は財務的な知識を有すべき
サステナビリティ開示について
各国の持続可能性に関連する会計および報告の枠組みは、法令と施行に裏打ちされた、厳格で一貫性があり、比較可能で検証可能な企業の持続可能性報告を促進するために、世界基準と調和させる必要がある
企業報告(財務報告とサステナビリティ報告)は「担当部門」の役割ではなく、取締役会の役割となり、取締役会が説明責任を持つことになる。そしてサステナビリティ開示の枠組みは世界基準に沿ったものへ…
ここまで書かれていたのですね。
来週のどこかでまた、日本の「アクション・プログラム」が「ICGN 日本のガバナンスの優先課題」に対する返答となっているのかを見て行きたいと思います。
以上、サステナビリティ分野のnote更新1000日連続への挑戦・61日目(Day61) でした。それではまた明日。