SASBスタンダードを学ぼう⑤ 実は今こそ重要なサステナビリティ基準?!
これまで4回にわたってSASBについて学んできました。
これらの勉強の結果、気が付いたのは、SASBはむしろ今だからこそ日本企業にとって取り組むべきものとなっているのではないか?ということでした。
なぜ日本企業は今こそSASBに対応すべきなのか、現時点で私が理解している理由を、順を追って説明すると以下のようになります。
①IFRS S1・S2への対応は必須である
IFRSは、サステナビリティ開示の「グローバルベースライン」です。
このため:
今後、TCFD提言やCDPのサーベイにもS2が反映されることになります。(CDPの2024年度の気候関連サーベイはS2ベースになるのだとか)
日本国内でも、IFRSに基づいてSSBJが2025年3月までにいわば日本版のS1とS2を確定させる予定です。ここで確定される日本版S1・S2はその後、有報、開示基準の一部として法定基準化していくことが見込まれます。
②SASBは元々IFRS S1・S2の中核を成している
このように重要なIFRS S1・S2ですが、実は、そのコアの部分にはSASBが入っています。
IFRS S1 では「企業はSASBスタンダードの開示トピックやそれに関連する指標の適用可能性を参照し、検討しなければならない(shall consider)」としています。
③SASBがIFRSでグローバルに活用されるための準備が進んでいる
詳細な数値の開示や、定性的な情報等の開示が求められる「細則主義(rule-based)」のSASBは、その詳細さゆえに、国の状況等によって合わないところ等も指摘されていました。
こうした点を改善するため、SASBは自らを改善しグローバルに使用できる産業別開示基準にしていこうとするプロジェクト「International Applicability of the SASB Standards」を実施しており、今年(2023年)12月にはその改革も完了(確定)する見込みです。
そしてその後は、再びIFRSにおいて「いずれかのタイミングでSASB基準をもともと意図していたようなmandatoryの位置づけに戻すことの検討が始まる」と考えられています。
SASBについては引き続き学んでいきたいと思います。
以上、サステナビリティ分野のnote更新1000日連続への挑戦・57日目(Day57) でした。それではまた明日。
追記:
開催中のCOP28において、IFRS財団と国際標準化機構(ISO)がISSBとISO 将来的な協力についてコミットしたというニュースを知りました。具体的な形はまだわかりませんが、こちらも引き続きニュースを追っていきたいと思います。