「ESG投資」は社会OSをアップデートできる?|Xゼミレポート#4
こんにちは。Sustainable Innovation Lab に参画してるパナソニック株式会社の佐藤です。今回、レポーターとしてSustainable Innovation Labが毎月開催している勉強会「Xゼミ」の第4回の模様の一部をレポートします。
今回は、国際NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ国際理事でもある柳沢正和さんが講師として登壇。年々注目が集まっている「ESG投資」についてお話を伺いました。
ESG投資とは、従来の財務情報だけでなく、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮した投資のことを指します。企業の営利活動のみではなく、環境や地域社会との連携等にも着目して投資が行われます。
ESG投資は企業の活動について、ネガティブな要因、ポジティブな要因に着目して投資判断が行われていると柳沢さんは語ります。
「ネガティブ要因とは、環境問題や労働問題に取り組むことができているか?というアプローチです。例えば、火力発電への投資会社や銀行などは、これらを投資対象から外す、というような動きです。個人投資家や株主が、企業活動への懸念に対し積極的に要求する(=物言う株主)という動きも同様です。
一方、ポジティブ要因はこれから増えていくことが期待されています。環境に配慮した事業継続性に着目し、サステイナビリティ投資・インパクト投資という動きとして出てきています」
ESG投資における投資活動の変化を受けて、企業側のアプローチも変化しているといいます。例えば、CO2排出量やエネルギー使用量の推移といった自社の環境活動を、ESGデータブックというIR情報として公開する企業が増加しているとのこと。
「こうした活動は横並びで比較するための基準のようなものは存在せず、各企業が自主的に発信しています。丸井グループの事例では、自社ミッションに対応した複数の重点テーマを設定し、それぞれに取り組み指標を明示しています。具体事例としては、インクルーシブな店づくりという観点で、高齢者やLGBTQに関する研修の推進などを情報開示しています」
こうした企業の変化と同時に、個人の企業に対する関わり方も変化。消費者、労働者、投資家という3つの側面がより絡み合うようになってきたと柳沢さんは語ります。
「NGOが株主として企業へ提案を実施したり、逆に企業側から政治/市民活動へ意思を表明したり、という動きも活発になっています。この消費者、労働者、投資家というそれぞれの立場で社会課題の解決に向けて前進していくことが求められており、この意識の下でESG投資の仕組みが回るという構図になっています。
この潮流は自治体へも拡大しており、グリーンボンドのような枠組みでの予算活用が求められるようになってきました。使途がより厳しく機関投資家から追求されるようになっており、そこへ投資する個人の関わりもより強くなっています」
ESG投資についてお話してくださった柳沢さんの言葉の中に、「ESGはここ1〜2年でクローズアップされてきておりまだ途上段階。元手時点で提言されているものは、自社・自国の利益を優先したものが多く、SILのような多様なメンバーによる議論・提言は有用になりうると思います」というものがありました。
資本主義のなかでの競争においては、自社・自国の利益を優先した利己的な判断のせめぎあいから社会が構築されているのが現実かと思います。SILの活動においても、この概念を否定するのではなく、受け入れた上での従来の概念を拡張していく必要があるのでは、と思いを巡らせる時間となりました。
次回のXゼミは、環境学研究者の青木さんをお招きして、LCA(ライフサイクルアセスメント)に関してのレクチャーをしていただきます。
SIL導入説明会開催中
Suatainable Innovation Labでは、随時参画企業や自治体を募集しています。よろしければぜひ導入説明会にご参加ください。
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