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「水族館も、海を守ることができるよ」

おさかな小学校・校長の鈴木です。
先日、おさかな小学校に参加している子から、「水族館の館長さんになるのが夢だったけど、すーさんと出会いおさかな小学校で学んだことに影響を受け、海の生き物が快適に住めるよう海の環境をを守る仕事をしたい夢に変わりました」といううれしい感想をいただきました!

おさかな小学校でお話していることは必ずしも環境のことばかりではないのですが、それでも活動の根底にあるのは「豊かな海を子どもたちの世代まで残したい!」という気持ち。
それが伝わっているんだな~~と、じーんと来ました。

と、同時に、「水族館だって、海を守ることができるよ!」「水族館の館長になる夢と、海の環境を守る夢は、両立できるよ!」と思ったので、
そんな気持ちを伝えたくて、noteを書きます。

世界で一番海を守ることに力を入れている水族館は、アメリカのモントレーベイ水族館だと思います。大阪の海遊館をはじめ、日本の水族館も、モントレーベイ水族館から大きな影響を受けています。

カリフォルニア州のモントレーベイは、もともとイワシの漁業がさかんで、たくさんの缶詰工場があった場所。でも、とりすぎによってイワシがいなくなり、工場も閉鎖されました。
モントレーベイ水族館は、1984年に、もともと缶詰工場だった場所に作られました。

ぼくは、今までに2回、(仕事のついでに)モントレーベイ水族館を訪れ、大きな感銘を受けました。

モントレーベイ水族館で一番有名なのは、ジャイアント・ケルプ(巨大なコンブという意味の海藻)の水槽です。モントレー湾では、海の環境を守るためにジャイアント・ケルプをとることは禁止されており、ケルプの森にたくさんの魚がすみついています。

この水槽では、本物のケルプと、魚たちを一緒に育てながら、訪れるお客さんたちにケルプの森の大切さを伝えています。この日は、ダイバーさんが水槽にもぐって魚たちに餌をやりながら、いろいろな魚の生態を紹介していました。2回までびっしりとお客さんたちが埋まり、屋内のガイドさんと、水槽内のダイバーさんのやり取りを聞いていました。

他の水槽でも、海の生き物たちの実際のくらしを再現しようという工夫がたくさんあります。
マグロの水槽では、マグロとイワシが一緒に入っており、イワシたちがボールのようにかたまっている様子を観察できます。

小さな生き物、ワレカラの展示。海藻に住み着くワレカラは、小さな魚たちの餌になり、たくさんの生き物たちをささえています。

魚の説明も、すごくくわしいです。これは、性転換する魚について。メス(右)が、体調30センチほどになると、オス(左)に変わるそうです。

すごく関心した、さわれるカニの展示。カニのごつごつした体について知ることができます。目が不自由な人も、水族館を楽しむことができます。

フジツボの展示。フジツボが貝ではなく、エビやカニとおなじ甲殻類だということを、遊びながら理解することができます。

そして、漁業が海の生き物たちにあたえる影響や、消費者がサステナブルな水産物を選ぶことの大切さを伝える展示もありました。

Seafood Watch(シーフード・ウォッチ)は、モントレーベイ水族館が運営する、消費者のための魚のガイド。水産資源や環境の観点から、私たちが食べていい魚、食べるべきではない魚、について知る事ができます。アメリカでは水族館初のこの取り組みが広がっていて、スーパーに行くと、魚のコーナーに、緑(おすすめ!)、黄色(食べても大丈夫)、赤(やめたほうがいいよ)のマークがついていたりします。

さらには、いろいろなアーティストたちによる、海のプラスチックゴミについての展示も。
「熱意さえあれば水族館はこんなことまでできるんだー!」と感動しました。

というわけで、水族館にも、海を守るためにできることがたくさんあることが分かってもらえたでしょうか?
日本の水族館も、「きれい」「かわいい」「いやされる」だけではなく、海を守るために伝えること、もっとがんばってほしいなと思います。

モントレーベイ水族館、本当に本当におすすめなので、魚が好きな日本の子どもたちも、機会があったら(大人になってからでも!)ぜひ行ってみてほしいです!!

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