見出し画像

~ペットボトルを楽しくつぶして、リサイクル・コストを減らそう~

<3行まとめ>

1.自動でペットボトルの中を洗ってつぶしてくれるごみ箱。
2.つぶす音が鳴り、ポイントを付与することで、楽しく回収。
3.ペットボトルをつぶせばより多く運べて運送コストが下がり、リサイクルに資する。

(この記事はSustaina Amalgasと仲間たち5人による会話録として記述しています。)

1.Hiyoriの提案

☆Hiyori:今回は私から、今、話題になっている #プラスチック のごみに関するビジネスの提案です。
 プラスチックと言えば、環境汚染を防ぐために、Refuse、Reduce、Reuse、Recycleと4つの行動を求められていますが、プラスチックって軽くて丈夫で本当に便利だし、プラスチックと肩を並べるぐらい幅広く使われそうな素材ってまだないと思います。だから、人間はプラスチックの使用をいきなりやめたり減らしたりするのは難しいはずで、だったら #リサイクル をちゃんと行うこと、より効率的に行うことが大事かなって思いました。
◎Sustaina:それで、Hiyoriちゃんは #ペットボトル のリサイクルの工程で、改善箇所がないか考えてくれたってわけね。
☆Hiyori:そうです。環境省が2018年8月に出した「プラスチックを取り巻く国内外の状況」という資料の中に「我が国のプラスチックマテリアルフロー(2013年)」というページがあって、そこでは、2013年に日本のプラスチック廃棄物は全部で940万トンあって、そのうちペットボトルは58万トン、約6%を占めると書かれています。たった6%と見ることもできますが、使用済み家電ごみの倍以上ありますし、1本あたりの重さを考えると、ものすごい本数が捨てられていると思って、ペットボトルのリサイクルに着目しました。
◆Red:すいません、おれ、今、ペットボトルのお茶、持ってきてますけど、どうしよう。なんだか捨てにくいな。
☆Hiyori:捨ててもいいけど、捨て方が大事なの。さっき言ったプラスチック廃棄物で回収できたもののうち、実は半分以上は燃料にされていて、再生樹脂にされているのは約25%の233万トンにすぎないんだけど、みんながもっとちゃんとした捨て方をしてくれたら、リサイクルのための回収コストが下がって、再生樹脂にされる割合が増えるんじゃないかと思います。
〇Sansan:まあ今、行き場を失っているプラごみも多いけど、それはさておき、リサイクルの効率化は目指すべきってことね。で、ちゃんとした捨て方って?
▲SA-661:まずキャップを外して、容器に貼りついているラベルフィルムをはがして、中をすすいで、ぺちゃんこにつぶして捨てるってことですよね。
☆Hiyori:そう。おりこうさん。一般的にはそう言われてるね。
■Hakatoko:家にいるときはやってますけど、外出しているときは難しいですよね。例えば、駅でペット飲料を買って飲んだ後なんかは、キャップも外さず、ラベルもはがさず、洗うところもないから容器の中もそのままでコロンとごみ箱に捨てますよね。
☆Hiyori:そう。だからそこなの。そういうことを自動でやってくれるペットボトル回収箱を作って、それを自販機の横とか人がたくさん通ったり集まったりする場所に設置したらどうかなっていうのが私の提案。特にグシャッとつぶすことが大事なの。つぶさないで運ぶのって、容器の中の空気も無意味に運んでるってことなので、そこは無駄なの。ごみ回収のときにちゃんとつぶれていれば、一度に運べる量も増えて運送コストが下がるし、排気ガスの削減にもつながるかなって思ったの。
◎Sustaina:ありがとう。じゃあ、今のHiyoriちゃんの提案を踏まえて、いつものとおり、持続的に収益性のある #ビジネス を考えてみたいの。

2.ラベルはどうはがす?

■Hakatoko:分かりました、Sustainaさん。まずは、そのペットボトル回収箱がどういうものにしたいかですね。
〇Sansan:「ちゃんとした捨て方」の一連の作業を自動でやってくれるってものなの?
▲SA-661:そんな全自動のものってお金かかりますよ。ある程度は人間が作業をして、一部だけ自動化する感じだと思いますけど。
◆Red:まず、キャップを外すってところは人間がやればいいだろう。
☆Hiyori:そうね。キャップと容器本体は同じプラスチックっていっても素材が違うから、別々の口に入れてほしいです。
〇Sansan:なるほど、例えばキャップは左の投入口にそのまま放り込んで、右の投入口に容器を入れればいいっていうふうにするんだね。
■Hakatoko:その右の投入口に入った容器本体から、ラベルをはがさないといけないですよね。それは回収箱の中で機械がベリッとはがしますか?
▲SA-661:そこ自動化するとお金かかりますよ。
◆Red:じゃあ、ラベルはがすのも人間がやって、そのうえで投入口に放り込んでもらうのか?それって、たいていの人は面倒がると思うけど。
〇Sansan:はがしにくいのもあるし、厄介だね。回収箱の中で、投入された容器を一旦固定する仕掛けにして、そのうえでカッターが出てきて容器をなぞって、それでラベルがパラっと切り落とされるようにしたらいいんじゃない?
■Hakatoko:切り込みを入れてもパラっと落ちない可能性があるので、さらに空気圧をかけて吹き飛ばせばいいんじゃないですか。
▲SA-661:おっしゃるとおりと思いますが、そこの工程を入れてしまうと、やはり安上がりにできないと思います。この回収箱って大量に要りますよね。全国津々浦々。だとすると、機構的に簡単なほうがいいと思います。メンテナンスの面でもそのほうがいいですし。
☆Hiyori:ラベルは、リサイクル処理場で処理するときにまとめて分離できるみたいだから、回収時はラベルが付いたままでもいいよ。はがされたラベルをまた別に回収しないといけないし、ごみの分散リスクを考えると、リサイクル処理場まではまとまった形で運ばれるほうが良いという意見もあるみたいだし。
◆Red:じゃあ、ラベルはそのままでいくか。その次の、容器の中の洗浄はやるべきなんだよね。

3.洗う水はどうする?

☆Hiyori:そうね。容器の中からベタベタした飲み残しとか出てくると不衛生だし、捨てた後の工程で作業をする人たちのことを考えると、やっぱり捨てるときにきれいにしておきたい。
■Hakatoko:確かにそう思いますけど、回収箱の中でペットボトルの容器の中に水を噴射して、ある程度きれいにするとしても、水を使うには給水管と排水管がいりませんか。
〇Sansan:水を引っ張ってくるとなるとコストかかるし、SAが言うメンテナンスの手間が増えそうだから、水をタンクに貯めておくほうがいいんじゃない?洗浄に使う水を貯めておくタンクと廃液を貯めておくタンクと。
◆Red:う~ん、タンクの詰め替えとか交換を人間が定期的にやるってことになるけど、それって面倒じゃない?重いし、それに貯水タンクの水がなくなっている状態でうっかり放置していると、捨てに来た人が捨てれないことになってがっかりだろうから定期巡回しないといけないだろうし、あまり人間に作業をさせるのもどうかと思うけど。
■Hakatoko:例えば、ペットボトルを売っている自販機の横とかにこの回収箱を設置しようとすると、たぶんそこには水道管が来ていることはあまりないだろうから、水をどうしようという話になるけど、ペットボトルを買ったところでみんなが捨てるわけでもないわけだし、例えばトイレや飲食店の近くとか、水道が近くに来ているところに設置するのでもいいんじゃないでしょうか。
☆Hiyori:マンションとか集合住宅のごみ捨て場とかにも水道はあったりするので、マンションの住民用にそこに置くのも考えられるかな。
〇Sansan:なるほど。じゃあ、基本的には水回りの工事がしやすいところに置くことにして、そうじゃないところに置きたいときは貯水型もあるよということにしようか。
▲SA-661:いずれにしても、洗うのに使う水は少量でいけると思います。まず、回収箱のペットボトル投入口を斜め上に向けて、そこに容器が差し込まれるようにします。箱内に入った容器は一旦固定されて、そこに斜め下から容器の中に水を容器内部の上側に当たるように1,2回噴射すれば、あとは重力に従ってその水が容器内部の下側にもしたたり落ちて、最後に容器の口から出てくると思います。回収箱の構造の概要はこんな感じです。

<ペットボトルを楽しくつぶす回収箱の構造図(概要)>

◆Red:なるほど。それで、洗浄液みたいなものを使って完璧にきれいにする必要まではないっすね。
☆Hiyori:完璧じゃなくていいよ。余計な薬品とかも使いたくないから、水でさっと洗うだけでいいです。それでも汚れが取れなかったら仕方ないね。
〇Sansan:容器の口から流れ出た廃液をすくい取った上で、その容器は次のプロセスである「つぶす」に移るわけね。

4.つぶす快感を味わう

☆Hiyori:そう。容器は圧縮してつぶすことになるけど、どうつぶす?
■Hakatoko:まず、人間がつぶすのか、引き続きその回収箱の中で機械がつぶすかですけど、洗い立ての容器が箱から出てきても、人間がちゃんとつぶすか分からないし、箱の中で機械がつぶすことでいいんじゃないですか?
◆Red:そこはそうかもしれないんだけど、なんかつぶす感覚を味わいたいな。単にキャップを外してごみ箱に捨てるだけであとは全部機械がやってくれるのだと何のおもしろみもないというか…、うまく言えないけど、足で踏みつぶすのか、手で握りつぶすのか、なんかグシャッとする感覚がほしいなぁ。
〇Sansan:いいねえ。あたしもそういうのほしい。箱の中で機械がつぶすことでいいけど、人間に「つぶす」のボタンを押させるか、ペダルを踏ませるかして、グシャッとつぶすという仕掛けをわざと作ったほうがいいな。
▲SA-661:つぶすという行動を疑似体験することで、自分もちょっとリサイクルの後工程に配慮したことをやったという感覚を持たせれるからいいんじゃないですか。
☆Hiyori:そうね。つぶす音は人工音でも構わないし。5回に1回は違った音を鳴らしてもおもしろいかも。
◆Red:おれはペダルを踏んでつぶしたいけど、ペダルの場合は、子供でも踏めるようにすると軽い力でペダルが下がるようにしないといけないけど、逆にその場合、大人だと踏み足りない感じがするだろうから、加減が難しいな。
▲SA-661:ちなみに、外から圧力をかけてつぶすという方法だけじゃなく、例えば、容器内に熱いお湯を入れて温めたうえで、お湯を抜いて容器にふたをして-このふたはペットボトルに付いていたキャップではないのですが-それで放置していると容器内の圧力が下がって容器がつぶれる、という方法もあります。硬めの容器でもきれいにつぶせます。
〇Sansan:なるほど。でもお湯を使うとなると、どこかで水を温めたり保温したりするわけだしエネルギーを使うわね。
■Hakatoko:あと、実際に回収箱の中で容器がどうつぶされたかは必ずしも見える必要はあるでしょうか?
〇Sansan:自分が投入した容器がまさにつぶれているシーンが見えるまでは要求しないけど、回収箱の中でつぶされた容器が積み重なっている状態は箱の外から見えるほうがいいんじゃないかな。つぶす音だけ聞かされても、本当につぶされるのか分からないと、なんかうそっぽいし。

5.この回収箱を使ってもらう仕掛け

◎Sustaina:つぶされた容器が箱の中の収納ケースに入れられたら、その容器に対してはそれ以上の処理はないと思うけど、この回収箱に来て捨ててくれた人に何か報酬を与える仕掛けがほしくない?
〇Sansan:もしかしてそれって、前の「木漏れ日プロジェクト」でやったようなこと?
◆Red:スマホ登場だな。ペットボトルつぶしのアプリをスマホに入れてもらって、回収箱の投入口のそばにそのスマホを近づけると、なんかポイントがもらえるとか、そういう感じかな。
〇Sansan:Sustainaもスマホ好きだね。まあ、いいけど。ポイントは飲料メーカが付与するってのもいいかもね。例えば、ペットボトルを回収箱の投入口に入れる前に、まずスマホでラベルに印刷されているバーコードとかを読み取って、その上でそのペットボトルを回収箱に入れてつぶした後に、今度は回収箱とスマホで通信すれば、飲料メーカとしてもそのアプリを通してその飲料がいつどこで捨てられたかが分かるよね。メーカーとしても、その商品が買われる時までのデータしか持っていないより、廃棄されるところのデータも持つと、いろいろ有益なんじゃないかと思うけど。
■Hakatoko:確かに「その商品が消費されたっていうのは、本当は買われた時じゃなくて、使って捨てられた時と捉えるべきではないか」と考えるのは、マーケティングの観点のみならず、環境保全の観点からは大事かもしれませんね。
☆Hiyori:飲料メーカだけじゃなく、自治体やリサイクル業者、それにそのポイントを使って買い物をしてほしい会社とかもポイントを付与していいんじゃないかな。
▲SA-661:つまりそのポイントは、1点あたり何円かに換金できたり、特定の商品やサービスと交換できるわけですね。飲料メーカでないスポンサーは、最初にラベルを読み取ってもらわなくても報酬を与えるってことになりますかね。
◆Red:何かのゲームのレアキャラがもらえたりっていうのもありだと思う。
◎Sustaina:スマホ上でどういう報酬があり得るかは「木漏れ日プロジェクト」のときにも話し合ったから改めてここで詳しくは話さないとして、人によってはその報酬目当てで、山のようにペットボトルを持ってきて捨てに来るかもしれないから、それに対してはどう考える?
〇Sansan:あんまりたくさん持ち込まれても、その回収箱の設置場所の管理者からすると迷惑だから、一人一日10本までとか決めておくんだろうね。
■Hakatoko:ほかにも、報酬ほしさに、野外にポイ捨てされたものを拾ってきて、この回収箱に入れようとする人も出てくるかもしれませんが、野外に放置されたものって土や泥で汚れていたり、日光に当たってプラスチック自体が劣化しているようなものもあると思うのですが、そういったものもこの回収箱に入れるのもありにするのかどうか悩みますね。
☆Hiyori:プラスチックごみの最大の問題はあちこちに散在していることなんだと思うから、そういうものありでいいんじゃない?容器の外側が汚れている場合は、投入する前に拭き取ってくださいって言っておかないといけないけど。
■Hakatoko:変なものを容器に入れて投入口に入れるようないたずらをされないようにも、まず投入前にスマホと回収箱との間で通信をしてお互いを認識しておいて、それからスマホでラベルを読み取って、容器をつぶした後に回収箱からスマホに処理完了の報告と報酬を与えるっていう手順ですかね。
◆Red:ん~。ただ、やっぱり、ごみを捨てるのに、事前にいちいちアプリを立ち上げておくって面倒じゃない?「木漏れ日プロジェクト」のアプリとかほかのアプリの中にこのペットボトルつぶしの機能も入っているのなら構わないけど、単にさっさと捨てたいだけの人には、アプリなしでも捨てれるようにしたほうがいいと思う。
◎Sustaina:確かに、つぶす快感とリサイクルの効率化に貢献している意識がちょっと得られたらそれでいいって人も多いかもね。
〇Sansan:そうね。それにいたずら防止はキリがないから、人の善意によるしかないと思う。回収箱には、投入してはいけないものをマークで分かりやすく表示すればいいんじゃないかな。

6.大型のペットボトルはどうする?

▲SA-661:ちなみに今までの議論は、自販機で売っている500mlぐらいまでのペットボトルを想定していたと思うのですが、2リットル級の大きなものもありますよね。それは同じサイズの回収箱では無理だと思いますがどうしますか?
◆Red:そうだな。投入口の大きさも、洗浄に必要な水量も、つぶすための圧力も違うだろうから、大型ペットボトル用の回収箱はまた別に作るしかないだろうな。
☆Hiyori:それこそつぶしておかないと、無駄な空気をたくさん運んでしまうからね。
■Hakatoko:いずれにしても、このビジネスを始めるには、たくさんの回収箱を作って設置しないといけないので、そこはハードルになりますね。
〇Sansan:そうね。ただ、#IoT の時代だから、ごみ箱もどんどん通信ができるものに替わっていくと思うから、その一環で、もうちょっと欲張って容器の洗浄と圧縮ができる機能のものも設置していけばいいんじゃない?
▲SA-661:ごみ箱もロボ化する時代ですね。

7.最後に

◎Sustaina:みんな、いろいろ話し合ってくれてありがとう。このプロジェクトをやってみたいと思ってくれた人にとって、いろんな気づきやヒントを与えるきっかけになったらいいなと思います。
 このペットボトル回収箱が数台設置されたぐらいでは、ペットボトルごみの運送コストを大きく減らせるわけじゃないけど、この問題は #SDGs の目標12(つくる責任 つかう責任)、目標14(海の豊かさを守ろう)、目標15(陸の豊かさも守ろう)にも関係してくるから、そうした意識が高まって全国のあちこちに設置されれば、それなりに効果が出てくるんじゃないかと思います。
 みんなが議論してくれている間にリーン・キャンバスも作ったから、参考までにそれも載せておきますね。

ペットボトルつぶしプロジェクトのリーン・キャンバス

2019年3月31日初稿
改訂:2019年4月1日、6月2日、7月15日

★Sustaina Amalgasと仲間たち・・・会話に出てくるキャラクターの紹介★

◎Sustaina:仲間とともにSDGsで世界を変えたいと願い、尼崎の片隅で謎めいた研究をしている。
◆Red:元ヒーロー戦隊の隊員。正義のためとはいえ過労に堪えられず戦隊を逃げ出したところ、Sustainaと出会い、彼女の仲間になった。
〇Sansan:雷神。尼崎上空で雷を落とした時に自分も地上に堕ち、Sustainaに出会った。 最近の地球はおかしいと感じ、そのまま地上に滞在することとなった。
☆Hiyori:カッパなのか幽霊なのかよく分からない尼崎の川に住む生き物。異形であるため人間社会には受け入れられないと思っていたが、Sustainaが受け入れ仲間になった。
■Hakatoko:某王国の王子。貧困の改善や教育に力を入れようとしていたが、祖国の政変で国に帰れず悶々としていたところ、Sustainaから誘いを受けて仲間になった。
▲SA-661:Sustainaが作ったAI。人間以上に人間味があると思っている。

※注意事項
この記事に書かれている内容は、非営利目的で集まった数人の個人的見解に基づき作成されたものですので、その内容の正確性、商業適合性、実現可能性を保証するものではありません。また、ここに書かれた内容に基づき皆様が何らかの行為を行ったまたは行わなかったことにより何らかの問題や損失が生じたとしましても、当方としましては一切責任を負うことはできませんので、あらかじめご了承ください。

Sustaina Amalgas on Twitter
https://twitter.com/SustainaAmalgas

いいなと思ったら応援しよう!