まるっとわかる産休・育休の手続き #2.妊娠報告を受けたら(①出産一時金)
従業員から本人また配偶者の妊娠報告を受けたら、会社はどんな手順で何をしたらいいの??
シリーズ2回目の今回は、【出産育児一時金】について、ご説明していきたいと思います。
1.まずは、出産予定日を確認しよう
妊娠の報告を受けたら、まず母子手帳の写しをもらいましょう。
出してもらうページは、①見開き1ページ目の、両親の氏名が書いてある欄、②予定日が書いてある欄 の2ページ分で大丈夫です。
これがあれば、従業員の子が出生する事実の確認と、いつ生まれるか(産休をいつからとれるか)を確認できます。
従業員が男性の場合も、同様に提出してもらうようにしましょう。
2.産休開始日(男性の場合は育休開始日)を決めよう
法定の産休期間は、出産予定日以前6週(=42日、多胎妊娠の場合は14週=98日)から、出産日後8週(=56日)となります。
出産日は「産前」休暇に含まれます。
産前は、「本人が休業を請求した場合に、就業させてはならない」と規定されています。
つまり、絶対取らないといけないわけではなく、ご本人が働きたい!ということであれば、出産するまで働いてもいいことになっています。
昔の人は出産当日まで畑仕事していたと聞きますもんね・・本当にすごいですね・・
もちろん、本人が休みたいと言っているのに、会社がダメということはできませんので、ご注意ください。
また、産後は、8週間は原則休業です。ただし、産後6週経過した女性が請求した場合で、医師が支障がないと認めた場合は就労してOKとなっています。
つまり、6週間は、本人が働きたいと希望したとしても、なにがなんでも休まないといけないんですね。
男性の場合は、産休という概念はないため、育休(原則は最大1年間)となります。
男性は、①出産予定日から②出産日から③出産日以降、のいずれかからの開始となります。
(男性は、出産予定日から育休がとれるので、出産予定日より後に産まれた場合は、お子さんが産まれる前から育休をとることになりますね!)
前置きが長くなりましたが、上記を踏まえ、いつから産休を取るのか、育休はいつまで取る予定か、従業員と会社でスケジュールを確認しましょう。
予定が決まったら、【産休申出書】を書いてもらい、日付を管理するようにしましょう。
【産休申出書】は、どんなフォームでも構いません。会社に規定のフォームがない場合は、ネットで色々でてくるので参考にしてみてください。氏名と日付が確認できれば大丈夫です。
※参考※
育休申出書類のひな型(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/dl/32_27-2.pdf
産休育休期間の自動計算
産休・育休はいつから?産前・産後休業、育児休業の自動計算|妊娠・出産をサポートする 女性にやさしい職場づくりナビ (mhlw.go.jp)
3.出産育児一時金の申請をしよう
出産育児一時金とは、出産費用の補助として、原則42万円(産科医療保証制度に加入していない病院の場合は40万4千円)がもらえる制度です。
妊娠4ヶ月(85日)以上であれば、死産・早産・流産・人工中絶でも支給されます。
お子様の人数に応じて支給されますので、三つ子なら、120万円以上もらえますね!
※従業員が男性の場合は、配偶者が社保扶養の場合は、家族出産育児一時金という名前に変わりますが、同様の金額が支給されます。
申請方法は2パターンありますが、いずれも従業員本人が病院で手続きをします(会社は関与しません。)
①直接支払制度(小規模の産院の場合は受取代理制度)を利用する方法
健康保険(協会けんぽまたは健康保険組合)から、出産育児一時金を産院に直接支払うため、ご本人は、退院時に不足額だけ支払う方法です。出産費用が42万より少なかった場合は、【差額申請書】を出して差額を請求することができます。
(小規模の産院の場合は、少し手続きの流れがかわりますので、産院にご相談ください。)
(協会けんぽのホームページより抜粋しました。)
②直接支払制度を利用せず、出産後にご自身で健康保険(協会けんぽまたは健康保険組合)に支給申請し、給付を受ける方法
①②のどちらにするかは、ご本人が選択できます。
全体の流れはこんな感じです。
健康保険組合の場合は、多少ルールが違う場合がありますので、入っている健康保険組合へご確認ください。
※退職した場合
女性の従業員で、1年以上被保険者だった方が退職後6ヶ月以内に出産した場合は、退職前の会社の健康保険から出産育児一時金を申請します。
退職後、被扶養者になった場合は、家族出産育児一時金か、本人の出産育児一時金を選択することになります。
男性で妊娠中の妻を扶養にしていた場合は、次に加入する国民健康保険又は、健康保険(協会けんぽまたは健康保険組合)に申請します。
いかがでしたでしょうか?
出産手当金・・育児休業給付金など、名前の似た給付があって混乱してしまうかと思いますが、今回紹介した【出産育児一時金】は、会社に勤めていない方でも、必ずどこかの保険者から給付が受けられます。
本人が病院とやり取りする必要がありますので、会社からも、こんな給付があるよと教えてあげてほしいなと思います。
それでは、次回のテーマは、#3.産休に入ったら(②産休中の保険料免除)についてです。
また次回も読んで頂けると嬉しいです。
それでは失礼します。