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ハワイの植物④ココヤシはポリネシア人が持ち込んだ

ハワイと言えば、ココヤシの木の向こうに海が広がるイメージがある。しかし、ココヤシは、ハワイ諸島に自生していたのではなく、ポリネシア人がカヌーに乗せて持ち込んだ植物という。ハワイに自生していたヤシは扇形の葉をしたロウル。ワイキキを歩いて、他にも様々な種類のヤシがあることに気づいた。

「Pritchardia/Loulu」
熱帯太平洋諸島に自生するヤシ。25種のうち19種はハワイ各島の固有種。ポリネシア人がココヤシを持ち込む前のハワイでは、海岸から山奥の森まで多くのロウルが自生していた。ロウルはハワイ語で傘。扇形の葉を雨傘や日傘に用いた。葉の下の灰色の藁は、落葉せずに残った枯葉。

ロウル

「Cocos nucifera/Niu/Coconut/ココヤシ」
メラネシア原産。ハワイには6世紀頃からポリネシア人が持ち込み、幹は建材、カヌー、楽器、食器に、葉は屋根、籠、箒、灯火に、果実は食用、食器、ロープに利用。ロイヤルハワイアンが建つ場所には王族が邸宅や別荘を持ち、1万本のココヤシの木が植えられていた。

ココヤシ

「Roystonea regia/Royal palm/ダイオウヤシ(大王椰子)」
カメハメハ大王像にレイを掛ける行事を見ている時、像の周囲のヤシがココヤシでないことに気づいた。幹の上部が緑色なのだ。緑色部分の一番下から花が咲き、実が赤く熟す。中央アメリカ原産。幹がまっすぐ伸びるので、並木道などで見かける。

ダイオウヤシ

「Phoenix dactylifera/Date palm/ナツメヤシ(棗椰子)」
カピオラニ公園のアイアンウッドの並木道を歩いていくと5本のナツメヤシのむこうにダイヤモンドヘッドが見える。このヤシは北アフリカ~中東原産。メソポタミアやエジプトでは紀元前6千年紀から栽培され、果実デーツは主要な食品のひとつ。

ナツメヤシ

「Dypsis decaryi/Triangle palm/ミツヤヤシ(三矢椰子)」
ハレクラニのエントランスで葉を拡げるこのヤシは、幹の断面が三角形で、三方へ葉が生える。マダガスカル原産。種子からの栽培が容易で、世界で最も広く栽培されているそうだが、雨の多いハワイでの生育は難しく、あまり見かけない。

ミツヤヤシ

「Bismarckia nobilis/Bismarck palm」
フォート・デルッシー沿いのカラカウア通りと郵便局へ向かうサラトガロードとの交差点に面した場所に、青味を帯びた銀色の扇状の葉を拡げるヤシがある。マダガスカル原産で、学名はドイツ帝国の最初の首相であるオットー・フォン・ビスマルク王子にちなんで名付けられた。

ビスマルクヤシ

「Adonidia merrillii/Manila palm」
2021年1月、ナフア通りをアラワイ運河にむかっていると、ザ・パームス・コンドス前のロイヤル・パームに似た小振りなヤシが朱紅色の果実の房をつけていた。冬に赤く熟すのでクリスマス・パームとも呼ばれる。12月はクリスマス・ツリーの撮影に集中していて気づかなかったのだ。

マニラヤシ
マニラヤシの果実

「Phoenix roebelenii/Pygmy date palm/シンノウヤシ(親王椰子)」
ワイキキでは、建物のまわりに小振りなナツメヤシを植えるのが人気のようで、よく見かける。中国南部~ラオス~ベトナム原産。建物と接するのを避けるかのように幹を優雅に曲げて、その先のパイナップルのようにふくらんだ部分から葉を拡げる姿が印象的だ。

シンノウヤシ

「Dypsis lutescens/Areca Palm/コガネタケヤシ(黄金竹椰子)」
ワイキキでよく見かけるが、幹に環状の葉痕が残っているので、竹だと思っていた。光沢のある細長い小葉がV字状に連なり、先端が湾曲して垂れ下がる姿は美しく、バタフライ・パームとも呼ばれる。この葉をデザインしたアロハシャツは私のお気に入り。

アレカヤシ
アレカヤシの葉

「Rhapis humilis/Slender lady palm/シュロチク(棕櫚竹)」
中国南部原産のヤシ。江戸時代に日本へ移入され、カンノンチク(観音竹)と共に鉢植えで鑑賞する古典園芸植物に。ワイキキでも見かける。葉は掌状に裂ける。シュロチクのほうが葉の裂片が多く、個々の裂片が細長く、繊細な雰囲気を醸し出す。

シュロチク
シュロチクの葉

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