ちょっと遅めの怪談でも。
さて、これは俺の実体験です。非常に怖かった思い出です。
が、先に言っておきます。これには非常に納得できる種明かしがあります。
知り合いには何度か話したお話ですので聞いたことがある人もいるかもしれません。
今から三十数年前、俺が大学生だった頃の話。
学校の友達が「唱えてはいけない呪文」的なものの話をしていて、それを三回唱えたら夜中に何かがやってきて家の玄関を叩く。その時に決して返事してはならないし、見に行ってはならない。じっと朝が来るまで待たねばならない。というもの。
そんなこと言われたら、今じゃ用心するけど、学生時代の俺なら唱えるよねw ちなみに友人は口に出したくないからって呪文的なものを紙に書いて渡してくれた。
その晩、一人暮らしのアパートに帰っていつもはしないチェーンまでかけて布団に入ったんだけど、やっぱ気になるよね。うとうとするけど寝たり起きたり・・みたいな。そうこうしてるうちに外がうっすらと明けてきて、ああ結局朝まで何も来ないのか、そうだよな、来るわけないよな。寝よう。
と、思ったとたん
ガンガンガン!ドンドンッ!
部屋のドアが叩かれたんですよ!
もう、布団かぶって九字切ってみたり南無阿弥陀仏唱えてみたり、とにかく完全に朝が来るまで玄関の方を見ることもできずにいたわけですわ。
さて、確かに来ました。何かが来ました。何が来たかお分かりですか?
お分かりの方もいらっしゃると思いますが、
新聞です!
当時の学生は大半が新聞取ってましたし、普段は気にもしない新聞が部屋に投げ込まれる音が、変な呪文唱えて気が昂ってる状態で、必要以上に恐ろしい音に聞こえてもおかしくはないわけで、そのへんよく計算されたお話でした。