家の味噌汁
友達の話。若いころに知り合った人で、豚汁を食べると必ず話す話があって、彼の家では、味噌汁と言うと、野菜が数種類、肉や魚などがたっぷり入った大鍋で作られるものだったらしい。そして、それはご飯のおかずとして食卓に乗ったらしい。
だから、たまに外で出る味噌汁は、無料でついてくるものだからこんなに寂しいんだろうな、他のおかずもあるからこんなに粗末な具なんだろうな、と思ってたらしい。
話を聞くと、彼の家の味噌汁にはたまに牛肉が入ったり、鶏肉の骨付きぶつ切りが入ったり、ブリやマグロが入ったり、野菜をきんぴら風に炒めたものが入ってたり、鍋の底にごっそりひき肉が沈んでたりしたらしい。想像するとなかなか美味しそうだし、二杯もお替りしたら胃も満足しそうだ。
まあ考えてみれば、うちの家庭も、おでんといえば、昆布で出汁取りすぎてつゆが緑色になった、すべての具材が昆布味に支配された煮物だった。だから、昔から、おでんとはまずいものであるという固定観念があった。
名もなき家事じゃないが、家庭には隠れた、名もなきグルメが隠れているんだろうなぁ。