7歳の息子がアメリカでギフテッド認定を受けるまで
日本でもギフテッド児童支援が!?
文部科学省が来年からのギフテッド児童支援に向けて動き始めたそうですが、SNS界隈では賛否両論。
小学生低学年の年子を育てている私としては大賛成ですが、確かにギフテッドの定義や誰がどうやって認定するかが気になります。
息子がギフテッド認定された経緯
今年に入って、私の長男(7歳)がアメリカの現地校でギフテッド認定されたのですが、これを機会にその経緯を振り返り、ここにまとめてみようと思います。
①学校からお声がかかる
ある日、学校から帰宅した息子が「先生から」と言いながらクシャクシャの封筒を差し出してきたので、何だろうと思いながら手紙の内容を確認すると、
「お宅の息子さんはギフテッドかもしれないので、スクリーニング検査を受けさせて良いか?同意する場合は署名をして返送を」
とのこと。
②評価得点形式の膨大なアンケート
同意書にサインをして返送すると、SIGS-2と呼ばれる評価得点形式の膨大なアンケートが送られてきたので、それにせっせと答える。英語ということもあって、2時間くらい掛かった記憶があります。
質問(評価)内容は、言語、数学、科学、創造力といった一般的な知能能力に関するものから、社会性、リーダーシップ、適応能力、学習能力など、行動と情緒に関する内容に至るまで、かなり幅広い内容でした。
「親がアンケートに答えるのであれば、どうしたって贔屓目に評価しまうのでは、、、?」と思われる方も多いでしょうし、実際私たちもそうでした(なので、あえてできる限りフラットな目線で答えるよう努めました)。
しかし、ここがポイントで、実はこの評価形式のアンケートは親だけでなく、息子の担任からも回答されるのです。つまり、親と教師、2つの異なる視点から、同じアンケート項目に対してそれぞれの見解が得点化されるのです。私がそのことを知ったのは結果報告書を受け取った時でした。
ちなみに、親の評価と担任の評価では圧倒的に担任からの評価の方が高く、私は少し厳しく評価し過ぎたのかもしれません。
その他にも、妊娠何周目で産まれたか、正常分娩だったか否か、生まれた時の様子、病気や怪我の履歴、アレルギーの有無、発達履歴(歩き始めや発語の時期など)についてかなり細かく答える項目もありました。
③自由形式のアピールポイント
SIGSの他にも趣味や特技など特筆すべき点を自由形式で記入する項目もあり、息子がちょうどこの頃ピアノコンクールで入賞したばかりということもあって、それをメインに書きました。また、息子はアメリカ生まれのアメリカ育ちではありますが、第一言語はあくまで日本語で、英語はノンネイティブスピーカーであることも記しておきました。
④授業観察、インタビュー、知能検査&学力検査
アンケート返送から数ヶ月間、教員や専門家による教室での授業観察やインタビュー(息子のみ)、そして知能検査と学力検査が実施された、、、そうです、、、というのは、当時の私はギフテッドのスクリーニングがこんなにも大掛かりなものだということをつゆも知らず、また期間も長かった為、日々の中で殊更息子にスクリーニングのことについて尋ねたりしていなかったからです。
最終的に検査結果を受け取った際に、はじめて息子がWISC-VとWIAT-4を受けていたことを知りました。
⑤スクリーニング結果
息子が学校から最初の手紙を持ち帰ってから約4ヶ月程経った頃、スクリーニングの結果(報告書)が送られてきました。報告書は全部で15ページ強。WISCとWIATの検査結果はもちろん、担任によるSIGSの評価得点もこの時点で初めて知りました。
そして、長い報告書の最後に「1:ギフテッドとは認められない」「2:ギフテッドと認定するが、ギフテッドプログラムは不要」「3:ギフテッドと認定し、かつギフテッドプログラムを必要とする」とあり、息子の場合は3にチェックが入っていました。
最後に
以上が、息子がアメリカでギフテッド認定されるまでの流れですが、州や学区によって基準が変わるそうです。息子が住む州は「IQ130 以上」という分かりやすい基準があるのですが、130以下でも認定された事例もあります(公式サイトに明記されていました)。IQ130と書くと「選ばれた天才のみ」というイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、割合にすると約2%に相当し、少なくとも2クラスに一人、多ければ同じクラスに複数名仲間がいるというくらいの感覚です。
ちなみに、アメリカらしく、「権利は皆に等しく」ということで、学校から声が掛からずとも、親が自ら我が子のスクリーニング検査を学校に要望することも出来ます(少なくとも息子の学区は一年に一回申し込み可能)。
アメリカがギフテッド教育の先進国であることは知っていましたが、プログラムそのもの(この辺りの内容は今後発信していこうと考えています)は当然のことながら、ギフテッド児を見つけ出すシステムと体制がしっかりと確立していることに驚きました。そして、やはり国としてそこに掛ける予算も莫大なのだとも。
日本のギフテッド児童支援が今後どのような進展を見せていくのか分かりませんが、どうか一人でも多くの生きづらさや困りごとを抱える子どもとその家族が救われますように。