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最近のオタクの価値観は変化した!?ギーク/ナードの分類から考察する価値観の変化について

日頃よりTL追っかけてる方のXポストにて、興味深いテーマがあってインスピレーションが湧いたので、独自の分析と考察を備忘録がてら、記事として作成します。

イシュー:今のオタクはギークではなくナードばかりではないか?

個人的には

  • 現代の「オタク」と呼ばれる人種や消費行動は多様化しすぎており、ギーク/ナードの典型的な分類では説明できない価値観/行動も多い

  • ギーク/ナード自体がスクールカーストという学校内の階層社会を示す図なので社会人に通用していいものか?

という2点の疑問があったので「ギーク/ナード」で区分するよりは、さらに深堀りして行動/価値観セグメントに着目したほうがいいと思いました。

アイデンティティとしての消費

BtoC(対消費者)マーケティングでは「消費すること=その人のアイデンティティを示すための行動」というニーズがしばしば語られます。

わかりやすい例が「スタバでMacbook開いてノマドワーク」でしょう。

これはマーケティングではよく語られる典型例なので、ChatGPTにさくっと解説させておきましょう。

BtoCマーケティングにおける「消費すること=その人のアイデンティティを示す行動」という考え方は、ブランドが単なる商品の提供にとどまらず、消費者にライフスタイルや価値観を表現する手段を提供することを意味します。これを具体例で説明します。

1. Appleデバイスの利用者層
Appleの製品(iPhone、MacBook、AirPodsなど)は、単にハードウェアとしての機能性やデザインの良さを提供するだけでなく、ブランドの持つイメージをユーザーに与えます。Appleユーザーはしばしば「革新性」「ミニマリズム」「クリエイティブ志向」などの価値観と結びつけられます。これにより、Apple製品を持つこと自体が「自分はテクノロジーの最前線にいる」「洗練されたライフスタイルを送っている」というアイデンティティの象徴となり、個人の価値観やスタイルをアピールする手段となります。

たとえば、iPhoneを使っている姿や、MacBookをおしゃれなカフェで開いている姿は「自分はトレンドに敏感でクリエイティブな人間である」というメッセージを周囲に伝え、Appleの洗練されたイメージと自分を同一視させる行動でもあります。

2. スターバックスの利用者層
スターバックスは単なるコーヒーの提供を超えて、利用者に「特別な体験」を提供します。スタバでコーヒーを購入することは、単にカフェインを摂取するための行動ではなく、「スタイリッシュな生活」「都会的で洗練されたライフスタイル」を体現する行動です。スタバのロゴ入りカップを持って街を歩くことや、店内でノマドワークをすることは「自分は余裕があり、充実したライフスタイルを楽しんでいる」というメッセージを発信することになります。

スタバ利用者は、そのブランドが象徴する文化や価値観を共有し、「エシカル消費」「持続可能性への配慮」なども、自身のアイデンティティとして誇示することが可能です。特にカスタムドリンクを注文したり、オリジナルメニューを選んだりすることで「自分らしさ」を表現する人も少なくありません。

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ここでは「アイデンティティのために消費を行う人がいる」ということだけ知っておけばOKです。

現代のオタク消費で満たせるアイデンティティとは?

で、今の「オタク」と呼ばれるセグメントが「コンテンツを消費することでどういったアイデンティティを満たそうとしているか?」を次のイシューにしてみます。

これはインターネットの中では割と普遍的な消費者心理で、たとえば、先日連載終了した「推しの子」でも「他者と批判することで消費を楽しむ」という現象が散見されます。

単に「周りが批判しているから自分も批判している」というだけの「流されやすい層」もいるでしょうが、深層心理としては「人気作を批判しているオレかっけぇ」「誰も気づかない批判の仕方してるオレかっけぇ」という層もいるのではないかと思います。

なお、私自身も「誰も気づかない点を指摘して批判してるオレかっけぇ」みたいなポジショニングをしているため、他者から見れば「批判してるだけ」と、同じセグメントとして見られる可能性はおおいにあるでしょう。

厄介オタク層はギーク/ナードという分類より「ギーク/ナードの下」と定義

で、本来の「今のオタクはギークではなくナード」というイシューに立ち返ってみましょう。

これも定着してコモディティ化しているキーワードなので、さくっとChatGPTに解説させておきます。

ギーク(Geek)
行動セグメント
消費行動: ギークは、自分の情熱に基づいた消費行動をとることが多いです。たとえば、テクノロジーやガジェットに関する新製品が出ると、すぐに試してみたくなる傾向があります。また、限定グッズや新作ゲーム、ポップカルチャー関連のイベントに積極的に参加します。
コミュニティ活動: ギークは趣味や関心のある分野に関連するコミュニティに参加し、同じ興味を持つ人々と積極的に交流します。コミコン(Comic-Con)やファンダムの集まりは、ギークにとっての「社交の場」となることが多いです。
自己表現: ギークは、趣味を通じて自分を表現するのが得意です。たとえば、映画やアニメのキャラクターに関するコスプレをしたり、特定のテーマに関するブログやYouTubeチャンネルを運営したりします。
価値観
情熱とこだわり: ギークは、自分の興味がある分野に強い情熱を持ち、その分野の知識を深く掘り下げることに価値を感じます。特定の話題について長時間語ることができるほどの熱意があります。
自己表現の自由: ギークは、自分の好みを隠さずに表現することを大切にします。「マニアックな知識」や「特定の文化への愛」を誇りに思い、他人の評価をあまり気にしません。
コミュニティ重視: 共通の興味を持つ仲間とつながることを重要視します。同じ趣味を持つ人たちと一緒にいることで、安心感や喜びを感じます。

ナード(Nerd)
▼行動セグメント
学習・研究: ナードは、学術的な分野に没頭することが多いです。科学、数学、コンピューターサイエンスなど、知識や論理が求められるテーマに強い関心を抱きます。独学や深夜までの勉強など、探求心に基づいた行動が見られます。
個人活動: ナードは一人で集中して取り組むことが多く、研究やプログラミング、読書といった活動に時間を費やします。社交的な場面よりも、自分の専門分野に関わる作業に没頭することを好みます。
論理的思考: ナードは問題解決や論理的な考え方を得意とし、現実世界の事象を知識で解釈することを好みます。科学実験やデータ解析など、知的好奇心を満たす行動を取ります。
▼価値観
知識重視: ナードは、知識を蓄え、論理的な議論ができることに誇りを持っています。特に学術的な正確さや、理論に裏付けられた考えを大切にし、知識の深さを競うこともあります。
論理と正確性: 物事を感覚ではなく、論理に基づいて捉えることに価値を置いています。感情に左右されるよりも、データや事実を重視する姿勢があります。
自己成長: ナードは、絶えず自分を向上させることに価値を見出します。新しい分野を学ぶことや、知的な挑戦を続けることで自己成長を実感します。

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この解説の中から、ギーク/ナードの根幹的な違いを抽出するなら「オタク趣味を社交ツールとして使うか?それとも自己探求や向上のために使うか?」が、もっとも両者を区別するにあたってわかりやすいイシューとなると考えられます。

現代の代表的なオタク消費の文脈で言えば「ギークは"好き"で推し活してコミュニティ参加もし"好き"を通して交流を深める」「ナードは”好き”を自分の中で完結しコミュニティ参加も独自の知見や考察を淡々と垂れ流す」といった違いで説明すれば、感覚的にも腑に落ちやすいのではないかと思います。

「社交性」すなわち「オタク趣味を通して他者と交流するか?」の論点で言えば、ギークの方が相対的には交流を通して、社会性が高くなり、TPO弁えて「オタク趣味をアイデンティティとしてアピールしていい場面と、そうでない場面の切り分けができる」可能性が高いでしょう。

一方で、ナードに関しては「そもそも自分がオタクかどうかなんて分類も他者の目も気にしない」と思います。

じゃあ、今の「オタク」と呼ばれる消費者層が何なのかというと「単にギークやナードでも下の方の層」とすれば、おおよそ説明がつくかと思います。

※誤解のないよう補足しておきますが「下の方の層」としてるのは「自己実現欲求が満たされていれば、自分がギーク/ナードであろうが知ったことではない→自分の好きなもの追求すればいいだけでそうならないで過剰反応するのは欲求が満たされていないだけでしょ」という意味で、正確に言うなら「欲求が満たされていない=不満の多い層」とも置き換えできます。

ギークであれば「好きを通しての交流」をするので、コミケでの二次創作であったり、今であれば「推し活」「布教」に励むのではないかと思います。それができない人が「何が嫌いか?」「何を批判するか?」という議論めいた「嫌いなもので群れを作る」ための材料として、オタクコンテンツを消費するわけです。

ナードであれば「好きを探求」するため、その結果として「似たような探求テーマや考察をしている人同士で惹かれ合う」という面から交流が生じることはあっても、ギークと違って第一目的に「交流」があるわけではありません。

そう考えると、私もどちらかというとナード寄りで「自分の興味関心を探求」することには強い動機がありますが、その結果生じた交流関係自体は「自分の興味関心と重なる範囲に強い興味関心を持つ人がいる」ぐらいの認識でしかありません。

いわば「考えや興味関心でつながる」のであって、たとえば「同じアニメを見てるから親近感が湧いて友だちになる」というギーク的な感覚ではなく「同じアニメに対して、似たような解釈や洞察を持っているので、初めて仲間だと認識する」というナード的な感覚です。

で、主題の「今のオタクはギークではなくナードか?」に戻りますと、

  • ギークとしては「嫌い」でつながる、またはつながること自体を目的としておりオタク趣味はそのための手段でしかない

  • ナードとしては「批判ですらない非難」「考え方」でつながる、自分の考えや賢さを誇示するためにオタク趣味を嗜む

と考えれば「ギーク/ナードと分類されるセグメントでも、ギークとしては交流関係を広げたりコミュニティ運営するようなコミュニケーション能力を持たないナードとしては独自の知見や考察を語るに値する専門性を持たない、能力的に精神的にも未熟な方々の消費行動」と理解すれば、おおよそ実態に近い分析になるのではないかな―と思った次第です。

このセグメントをどう扱うか?

で、なぜ私がこうした考察をXポスト見るだけで瞬時に展開できてるかと言うと、5年前のVTuber界隈に対するnote記事執筆時のイライラやフラストレーションを俯瞰して考えられるようになっているからです。

マーケティングに携わってる方だけでなく、あるいはCtoCとして不特定多数のユーザーと関わるクリエイターやライバーも、この問題はなかなか無視できないと思います。

結論、この層は「ノイジーマイノリティ」「モンスタークレーマー」「厄介オタク」として、無視していいと考えてます。

専門用語がまた出てきたので、ChatGPTにさくっと解説させておきます。

ノイジーマイノリティ(Noisy Minority)
簡易解説: 「ノイジーマイノリティ」とは、全体の中で少数派でありながら、意見や不満を非常に声高に主張する人々を指します。彼らの声はしばしば大きく、影響力を持つことがありますが、実際には少数派であり、全体の意見を代表しているわけではありません。

最適な対応方法
冷静に事実を把握: 感情的な訴えに流されず、データを用いて全体の意見と比較し、実際に問題が広範な影響を持つかを確認する。
一部の対応をオープンにする: 本質的な問題がある場合には改善策を公表し、透明性を保つ。大きな影響がない場合は、粘り強く説明しつつ、過剰に反応しない。

▼顧客としての価値
ノイジーマイノリティは、企業のサービスや製品に対して熱心な意見を持つため、サービス向上のための気づきを与えてくれることもあります。ただし、すべての要求を鵜呑みにするのではなく、バランスの取れた対応が重要です。

モンスタークレーマー(Monster Complainer)
「モンスタークレーマー」とは、企業やサービスに対して理不尽な要求や過度な苦情を執拗に繰り返す顧客を指します。彼らは自己中心的であり、時には非現実的な期待を押し付けることもあります。

▼最適な対応方法
冷静な対応: 感情的な応酬を避け、対応マニュアルに沿った冷静で一貫した対応を心がける。必要に応じて、上席者や専門部署にエスカレーションする。
明確なガイドライン: クレームの内容が理不尽である場合、会社のポリシーを明確に伝え、譲歩できる点とできない点をはっきり示す。

▼顧客としての価値
モンスタークレーマーが提供する価値は限定的です。彼らの要求をすべて満たすことは難しく、他の顧客対応に悪影響を与えることもありますが、場合によっては企業のルールやポリシーを再考する契機になることもあります。

厄介オタク(Troublesome Otaku)
「厄介オタク」とは、特定の趣味やジャンルに異常にこだわりを持ち、自分の意見や解釈を他人に押し付けるような行動をとるオタクを指します。彼らは、好きな作品やジャンルに対する批判や違う解釈に対して非常に攻撃的になることがあります。

▼最適な対応方法
共感を示すが深入りしない: 共感を示しつつ、冷静に対応する。無駄な議論に巻き込まれないように注意することが大切です。
ガイドラインの設定: SNSやイベント会場などでトラブルを防ぐために、行動ガイドラインを設けることで、厄介な行動を未然に防ぐことができます。

▼顧客としての価値
厄介オタクは製品やコンテンツに強い愛着を持っているため、彼らの意見には鋭い洞察が含まれることがあります。製品の質向上やファンの満足度向上に役立つフィードバックを得られる可能性がありますが、過剰な要求や攻撃的な行動には毅然とした対応が必要です。

以上のような感じで、カスタマーサクセスの考え方を取り入れながら、各々自分の商売や活動の性質に合わせて、対応すればええんちゃうんじゃないでしょうか。

セグメンテーションを扱う時の注意点

また、一点、今回のテーマで気づいた注意点があります。

それは「スクールカースト」や「セグメンテーション」といった枠組みを、自分自身に当てはめるような使い方はしなくてもいいということです。

マーケティングにおいては「こうしたセグメントにはこうした傾向がある」という語り口をしたり、定義をします。しかし、それはあくまで「対n」という不特定多数向けの取り組みが要されるマーケティングの考え方に過ぎず、「対1」という個人同士の関わり、あるいは自分自身を自己分析する際に用いるには、慎重に取り扱う必要があります。

もちろん、何らかの事象(たとえば自分が行動や価値観を理解できない他者を間接的に理解するためのツール)としては、議論を誘発させる起点となったり、他者との違いを知るための手段としては有効活用できる場合もあります。

ぜひ、今回紹介したような「セグメント/セグメンテーション」の考えを理解して、上手く皆さまの活動に有効活用していただければと思います。


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