陸上中長距離種目の歴代記録が今後もどんどん更新されていくだろう。
この2年間で陸上中長距離種目での記録ラッシュがトラックでもロードレースでも連発していることは主要大会の結果をチェックしている人なら感じていることだろう。
今回は各中長距離種目の日本の男女各カテゴリの現在の10傑を見ながら、この2年間で生まれた記録に注目してみる(本記事では太字で記載)
結論からいうと、シューズのテクノロジー向上によって記録水準が軒並み上昇しており、ロードレースは2017年以前とそれ以降、トラックは2020年以前とそれ以降で記録水準が全然違う。
今後数年間で全ての中長距離種目(特に男子)の日本の各カテゴリの歴代記録のほとんどが最近の選手の記録で埋め尽くされてしまうだろう。
800m
この2年間で生まれた新記録(歴代3位以上)
・日本タイ記録(源裕貴:1分45秒75)
・学生タイ記録(同上)
・日本歴代3位(金子魅玖人:1分45秒85)
・学生歴代3位(同上)
・高校歴代3位(兵藤ジュダ:1分48秒26)
など
800mは長距離種目ほど最近の選手の歴代記録更新の独占状況ではないが、それでも男女で若手選手の台頭が目立った。男子は日本人初のサブ1:45、女子は日本人初のサブ2:00が見えてきている。
日本歴代10傑
男子(10人中3人)
1 1分45秒75 川元奨 日大 2014年5月11日
1 1分45秒75 源裕貴 環太平洋大 2021年7月17日
3 1分45秒85 金子魅玖人 中大 2021年7月17日
4 1分46秒16 横田真人 慶大 2009年10月18日
5 1分46秒18 小野友誠 法大 1994年6月26日
6 1分46秒22 近野義人 ダイエー 1994年6月29日
7 1分46秒52 松本啓典 自衛隊体育学校 2010年10月11日
8 1分46秒59 クレイ・アーロン・竜波 相洋高 2019年6月28日
9 1分46秒68 田母神一喜 阿見AC 2021年6月27日
10 1分46秒71 口野武史 富士通 2009年10月18日
この種目は学生から社会人1、2年目で歴代記録を出している選手(主にU23世代の選手)が大半。
女子(10人中1人)
1 2分00秒45 杉森美保 京セラ 2005年6月5日
2 2分00秒92 北村夢 日体大 2017年9月10日
3 2分01秒90 久保瑠里子 デオデオ 2011年8月6日
4 2分02秒10 西村美樹 東学大 2003年6月8日
5 2分02秒36 田中希実 豊田自動織機TC 2021年9月20日
6 2分02秒57 塩見綾乃 京都文教高 2017年8月1日
7 2分02秒64 丹野麻美 ナチュリル 2009年10月4日
8 2分02秒71 川田朱夏 東大阪大 2018年5月3日
9 2分02秒74 卜部蘭 NIKE TOKYO TC 2019年6月30日
10 2分03秒21 松島朋子 東海銀行 2001年6月9日
日本人初のサブ2は田中希実が今後数年間のうちに海外のレースで達成するのではないかと思う。
日本学生歴代10傑
男子(10人中4人)
1 1分45秒75 川元奨 日大 2014年5月11日
1 1分45秒75 源裕貴 環太平洋大 2021年7月17日
3 1分45秒85 金子魅玖人 中大 2021年7月17日
4 1分46秒16 横田真人 慶大 2009年10月18日
5 1分46秒18 小野友誠 法大 1994年6月26日
6 1分47秒02 松本純弥 法大 2020年9月13日
7 1分47秒13 村松寛久 山学大 1996年9月16日
8 1分47秒28 瀬戸口大地 山学大 2020年9月13日
9 1分47秒46 村島匠 順大 2017年5月3日
10 1分47秒49 近野義人 順大 1993年6月12日
高校歴代10傑
男子(10人中4人)
1 1分46秒59 クレイ・アーロン・竜波 相洋高 2019年6月28日
2 1分48秒08 前田恋弥 市立船橋高 2014年10月19日
3 1分48秒26 兵藤ジュダ 静岡翔洋高 2021年7月31日
4 1分48秒46 川元奨 北佐久農業高 2010年10月24日
5 1分48秒50 佐藤清治 佐久長聖高 1999年5月30日
6 1分48秒57 久田朔 桜宮高 2021年7月31日
7 1分48秒62 三武潤 城西大学附属城西高 2012年8月1日
8 1分48秒68 村上昂輝 須磨学園高 2012年9月22日
9 1分48秒87 後田築 創成館高 2021年6月27日
10 1分49秒19 二見優輝 諏訪清陵高 2020年9月5日
この2年間で高校生のサブ1:50達成者がかなり増えた。
1500m
この2年間で生まれた新記録(歴代3位以上)
・日本記録①(荒井七海:3分37秒05)
・日本記録②(河村一輝:3分35秒42)
・日本記録複数回更新(田中希実:3分59秒19)
・日本歴代3位(佐藤圭汰:3分37秒18 / 卜部蘭:4分07秒90)
・学生記録(道下美槻:4分12秒72)※学連登録選手の歴代最高記録
・高校記録(佐藤圭汰:3分37秒18)
・高校歴代3位(兵藤ジュダ:3分41秒86 / 米澤奈々香:4分14秒74)
・中学記録(川口峻太朗:3分49秒02)
など
男女ともに今年は日本記録が複数回更新された種目であり、中距離種目の歴史が今まさに変わろうとしている。男子は中学、高校、U20、日本記録と、学生記録を除いた各カテゴリで最高記録が更新された(とんでもないことになっている)また、高校記録を22年ぶりに更新した佐藤圭汰は、これまでの高校記録保持者だった佐藤清治クラスの怪物の再来をイメージさせた。
日本歴代10傑
男子(10人中4人)
1 3分35秒42 河村一輝 トーエネック 2021年7月17日
2 3分37秒05 荒井七海 Honda 2021年5月29日
3 3分37秒18 佐藤圭汰 洛南高 2021年7月17日
4 3分37秒42 小林史和 NTN 2004年7月31日
5 3分37秒90 戸田雅稀 サンベルクス 2019年7月9日
6 3分37秒99 坂東悠汰 富士通 2021年7月17日
7 3分38秒11 渡邊和也 山陽特殊製鋼 2008年5月31日
7 3分38秒11 渡邊和也 四国電力 2011年6月29日
8 3分38秒12 松枝博輝 富士通 2019年6月1日
9 3分38秒24 石井隆士 日体大 1977年9月3日
10 3分38秒49 佐藤清治 佐久長聖高 1999年5月22日
佐藤清治は当時日本歴代2位の記録を出したが、高校生ながら日本選手権優勝と世界選手権出場のキャリアを持っていた。記録では佐藤圭汰に22年ぶりに高校記録を塗り替えられたが、陸上のどの種目でも男子の高校生がシニアの世界大会に出場するのを考えるとかなりのレベルにあったことがわかる。
女子(10人中3人)
1 3分59秒19 田中希実 豊田自動織機TC 2021年8月4日
2 4分07秒86 小林祐梨子 須磨学園高 2006年9月24日
3 4分07秒90 卜部蘭 積水化学 2021年8月2日
4 4分09秒30 杉森美保 京セラ 2005年4月9日
5 4分10秒00 吉川美香 パナソニック 2007年5月5日
6 4分10秒08 陣内綾子 九電工 2013年8月3日
7 4分10秒39 田村育子 グローバリー 2002年6月23日
8 4分11秒10 弘山晴美 資生堂 1994年4月29日
9 4分11秒34 萩谷楓 エディオン 2021年9月24日
10 4分11秒65 藤原夕規子 グローバリー 2002年12月7日
日本学生歴代10傑
男子(10人中2人)
1 3分35秒69 エノック・オムワンバ 山学大 2015年5月15日
2 3分37秒96 ギタウ・ダニエル 日大 2009年5月30日
3 3分38秒4 石井隆士 日体大 1976年6月30日
4 3分38秒65 舟津彰馬 中大 2018年4月21日
5 3分38秒72 ジョセファト・ムチリ・ダビリ 流経大 2004年7月7日
6 3分38秒94 飯澤千翔 東海大 2019年10月26日
7 3分39秒56 村山紘太 城西大 2014年9月5日
8 3分39秒60 佐藤清治 順大 2000年5月13日
9 3分39秒91 佐久間秀徳 明大 2021年7月17日
10 3分40秒34 高橋佑輔 北海道大 2021年6月25日
石井隆士の記録が半世紀前の記録であることを考えるととてつもない記録である。飯澤千翔が復調してきていることなどを考えると、学生記録もこの数年のうちに誰かが更新するかもしれない。
女子(10人中2人)
1 4分12秒72 道下美槻 立教大 2021年7月17日
2 4分13秒14 岡本久美子 筑波大 1997年9月12日
3 4分14秒5 桑城奈苗 筑波大 2003年10月13日
4 4分15秒25 佐藤由美 京産大 1995年7月7日
5 4分16秒37 飯野摩耶 東農大 2014年7月19日
6 4分16秒48 張三妮 名古屋商科大 1994年6月11日
7 4分16秒52 髙松智美ムセンビ 名城大 2019年6月28日
8 4分16秒76 和田有菜 名城大 2018年5月5日
9 4分16秒96 山崎りさ 日体大 2021年7月17日
10 4分17秒08 上田未奈 城西大 2016年7月11日
高校歴代10傑
男子(10人中6人)
1 3分37秒18 佐藤圭汰 洛南高 2021年7月17日
2 3分38秒49 佐藤清治 佐久長聖高 1999年5月22日
3 3分41秒86 兵藤ジュダ 静岡翔洋高 2021年7月29日
4 3分42秒22 間瀬田純平 鳥栖工業高 2021年7月29日
5 3分44秒57 半澤黎斗 学石川高 2017年7月30日
6 3分44秒62 石塚陽士 早稲田実業高 2020年7月24日
6 3分44秒62 甲木康博 城西大附属城西高 2020年8月23日
8 3分44秒86 クレイ・アーロン・竜波 相洋高 2019年4月20日
9 3分44秒87 長嶋幸宝 西脇工業高 2021年7月29日
10 3分45秒10 高橋佑輔 兵庫高 2017年7月30日
半分以上がこの2年間でランクインしているが、2021年の全国高校総体決勝のレースは圧巻だった。
女子(10人中1人)
1 4分07秒86 小林祐梨子 須磨学園高 2006年9月24日
2 4分14秒69 市川良子 洗足学園高 1993年9月18日
3 4分14秒74 米澤奈々香 仙台育英高 2021年7月29日
4 4分15秒43 田中希実 西脇工業高 2016年6月25日
5 4分15秒82 高橋ひな 西脇工業高 2016年7月30日
6 4分15秒98 由水沙季 筑紫女学園高 2012年7月30日
7 4分16秒20 倉岡奈々 鹿児島女子高 2013年7月31日
8 4分16秒30 木村友香 筑紫女学園高 2011年5月27日
9 4分16秒61 武田志帆 常磐高 2012年7月30日
10 4分16秒69 後藤夢 西脇工業高 2016年7月30日
中学歴代10傑
男子(10人中3人)
1 3分49秒02 川口峻太朗 京山中 2021年12月11日
2 3分49秒72 石田洸介 浅川中 2017年9月23日
3 3分53秒69 佐々木塁 河南中 2016年7月16日
4 3分54秒49 服部凱杏 千種中 2016年8月24日
5 3分54秒56 濵口大和 羽ノ浦中 2021年10月9日
6 3分55秒36 佐々木哲 愛工名電中 2021年6月13日
7 3分55秒44 林田洋翔 桜が原中 2016年8月6日
8 3分55秒90 池田親 山手中学 2012年7月7日
9 3分56秒2 和田仁志 赤穂中 1983年9月18日
10 3分56秒43 福士優太朗 深良中 2005年9月24日
日本人中学生初のサブ3:50を達成した石田洸介の驚異的な中学記録がわずか4年で塗り替えられてしまった。
3000m
この2年間で生まれた新記録(歴代3位以上)
・日本記録(田中希実:8分40秒84)
・日本歴代3位(萩谷楓:8分48秒12)
・学生歴代2位(三浦龍司:7分48秒07)
・学生歴代3位(手嶋杏丞:7分49秒76)
・U20日本記録(三浦龍司:7分48秒07)
・U20歴代2位(佐藤圭汰:7分50秒81)
・高校記録(同上)
・中学歴代2位(鈴木琉胤:8分18秒70)
など
3000mという種目は中学男女、高校女子では全国大会の種目であるが、シニアカテゴリにおいても1500mや3000mの走力を予測するうえで重要な種目である。例えば、5000mの日本記録を持っている大迫傑は3000mの日本記録も持っており、元日本記録保持者の福士加代子も当時、3000mと5000mの日本記録を同時に持っていた。今年は女子5000mで日本記録が更新されたが、男子の場合は3000mの日本記録を塗り替える選手が出てくる時、5000mの日本記録更新も期待できるだろう。
日本歴代10傑
男子(10人中5人)
1 7分40秒09 大迫傑 日清食品 2014年9月7日
2 7分41秒87 高岡寿成 鐘紡 1999年5月28日
3 7分44秒63 佐藤悠基 日清食品 2010年7月3日
4 7分48秒07 三浦龍司 順大 2021年6月12日
5 7分49秒26 竹澤健介 エスビー食品 2009年7月18日
6 7分49秒66 相澤晃 旭化成 2021年6月12日
7 7分49秒76 手嶋杏丞 明大 2021年6月12日
8 7分49秒90 遠藤日向 住友電工 2020年7月4日
9 7分49秒92 米重修一 旭化成 1988年7月5日
10 7分50秒81 佐藤圭汰 洛南高 2021年11月21日
かつてこの種目は日本トップ選手の夏季の海外遠征で歴代上位記録が出る種目であったが、ホクレンだけでなく順大記録会、世田谷記録会、京都陸協記録会で少数人数による独走で好記録が生まれやすくなっている。日本人初のサブ7:40が達成された時、5000m12分台を意識する選手がいることだろう。
女子(10人中4人)
1 8分40秒84 田中希実 豊田自動織機TC 2021年7月10日
2 8分44秒40 福士加代子 ワコール 2002年7月5日
3 8分48秒12 萩谷楓 エディオン 2020年7月8日
4 8分48秒21 鍋島莉奈 日本郵政 2018年7月21日
5 8分49秒61 松﨑璃子 積水化学 2017年7月9日
6 8分50秒40 弘山晴美 資生堂 1994年6月29日
7 8分51秒85 小林祐梨子 豊田自動織機 2008年6月4日
8 8分52秒06 志水見千子 リクルート 1994年6月12日
9 8分52秒43 佐藤早也伽 積水化学 2021年7月10日
10 8分52秒80 廣中璃梨佳 日本郵政 2020年9月18日
日本人初のサブ8:40が目前。サブ8:30まで突き抜けると5000mで14:20台〜30台を意識でき、世界大会入賞レベルまで引き上がる。この種目で田中希実は日本のレースでは終盤に競り合う相手がいないので、今後は海外レースで記録を引き伸ばす可能性が高い。
日本学生歴代10傑
男子(10人中3人)
1 7分46秒79 ジョセファト・ムチリ・ダビリ 流経大 2004年7月16日
2 7分48秒07 三浦龍司 順大 2021年6月12日
3 7分49秒76 手嶋杏丞 明大 2021年6月12日
4 7分53秒2 竹澤健介 早大 2007年8月3日
5 7分54秒0 中村孝生 日体大 1979年7月11日
6 7分54秒1 新宅雅也 日体大 1979年7月11日
7 7分54秒19 鈴木聖人 明大 2021年6月12日
8 7分54秒60 塩尻和也 順大 2018年5月5日
9 7分54秒68 大迫傑 早大 2012年9月9日
10 7分54秒9 瀬古利彦 早大 1979年6月24日
女子(10人中2人)
1 8分58秒34 斎藤雅子 中大 1994年10月23日
2 8分58秒63 髙松智美ムセンビ 名城大 2018年5月20日
3 9分00秒50 和田有菜 名城大 2018年7月11日
4 9分02秒54 小林成美 名城大 2021年7月4日
5 9分03秒05 木村泰子 京産大 1994年11月1日
6 9分03秒56 王冬梅 名古屋商科大 1994年9月11日
7 9分03秒76 加世田梨花 名城大 2017年7月9日
8 9分04秒88 籔下明音 立命館大 2010年10月7日
9 9分04秒90 早狩実紀 同志社大 1994年6月12日
10 9分05秒10 山本有真 名城大 2021年7月4日
女子1500mと同じく高校歴代記録のほうが記録水準がやや高い。
U20日本歴代10傑
男子(10人中5人)
1 7分48秒07 三浦龍司 順大 2021年6月12日
2 7分50秒81 佐藤圭汰 洛南高 2021年11月21日
3 7分54秒79 遠藤日向 住友電工 2017年7月9日
4 7分57秒58 大野龍二 旭化成 2004年6月24日
5 7分58秒26 石原翔太郎 東海大 2021年3月28日
6 7分59秒49 甲木康博 東洋大 2021年7月3日
7 8分04秒99 大森龍之介 佐野日大高 2016年9月17日
8 8分05秒82 佐藤悠基 佐久長聖高 2004年6月5日
9 8分06秒44 吉居大和 仙台育英高 2019年4月28日
10 8分06秒52 浦田優斗 中大 2021年10月24日
U20での7分台は2000年代は驚異的であったが、2021年だけで4人も達成。
女子(10人中1人)
1 8分52秒3 福士加代子 ワコール 2001年10月13日
2 8分52秒33 小林祐梨子 須磨学園高 2005年10月13日
3 8分54秒01 田中希実 ND 28AC 2018年7月11日
4 8分54秒88 小笠原朱里 山梨学院高 2017年10月9日
5 8分56秒29 廣中璃梨佳 長崎商業高 2017年10月9日
6 8分56秒49 阪田直子 立命館宇治高 1999年9月26日
7 8分58秒63 髙松智美ムセンビ 名城大 2018年5月20日
8 8分59秒57 米澤奈々香 仙台育英高 2021年9月25日
9 8分59秒92 長尾育子 筑紫女学園高 1999年6月20日
10 8分59秒96 岡本春美 三井住友海上 2016年7月14日
高校歴代10傑
男子(10人中4人)
1 7分50秒81 佐藤圭汰 洛南高 2021年11月21日
2 7分59秒18 遠藤日向 学法石川高 2016年10月16日
3 8分04秒99 大森龍之介 佐野日大高 2016年9月17日
4 8分05秒82 佐藤悠基 佐久長聖高 2004年6月5日
5 8分06秒44 吉居大和 仙台育英高 2019年4月28日
6 8分06秒61 中谷雄飛 佐久長聖高 2017年9月9日
7 8分07秒04 田澤廉 青森山田高 2018年9月29日
8 8分07秒38 園田勢 鳥栖工業高 2020年9月5日
9 8分07秒82 吉居駿恭 仙台育英高 2021年4月29日
10 8分08秒21 間瀬田純平 鳥栖工業高 2020年9月5日
佐藤圭汰の記録は単独走であっただけに驚異的であったが、2000年代で今もランクインしている佐藤悠基の記録も驚異的であった(どちらも記録の価値がとても高い)
女子(10人中2人)
1 8分52秒33 小林祐梨子 須磨学園高 2005年10月13日
2 8分54秒27 田中希実 西脇工業高 2017年10月9日
3 8分54秒88 小笠原朱里 山梨学院高 2017年10月9日
4 8分56秒29 廣中璃梨佳 長崎商業高 2017年10月9日
5 8分56秒49 阪田直子 立命館宇治高 1999年9月26日
6 8分58秒86 髙松智美ムセンビ 薫英女学院高 2016年8月2日
7 8分59秒57 米澤奈々香 仙台育英高 2021年9月25日
8 8分59秒92 長尾育子 筑紫女学園高 1999年6月20日
9 9分00秒75 杉森心音 仙台育英高 2021年9月25日
10 9分00秒89 鷲見梓沙 豊川高 2014年10月11日
今年の仙台育英女子は駅伝の高校記録を更新する可能性がある。
中学歴代10傑
男子(10人中3人)
1 8分17秒84 石田洸介 浅川中 2017年10月29日
2 8分18秒70 鈴木琉胤 小金北中 2021年11月23日
3 8分19秒14 林田洋翔 桜が原中 2016年10月11日
4 8分20秒42 川原琉人 三井楽中 2021年3月14日
5 8分21秒22 池田親 山手中 2012年5月25日
6 8分22秒92 太田智樹 浜名中 2012年10月28日
7 8分23秒80 大住和 大川中 2005年10月30日
8 8分24秒04 福士優太朗 深良中 2005年10月30日
9 8分24秒24 佐藤悠基 清水南中 2001年10月17日
10 8分24秒83 濵口大和 羽ノ浦中 2021年9月11日
この種目の中学男子の記録水準はこの5年でグッと上がった。中学歴代2位の記録を出した鈴木琉胤はこの8月までサッカー部の主将。8分18秒70のレースでは1周目とラスト1周が60秒、1000m2:42 / 2000m2:55 / 3000m2:40という単独走ながら中だるみの展開。ペーサー付きのイーブンペースで走れていれば中学記録は間違いなかった。
5000m
この2年間で生まれた新記録(歴代3位以上)
・日本記録(廣中璃梨佳:14分52秒84)
・日本歴代3位(新谷仁美:14分55秒83)
・学生記録(イェゴン・ヴィンセント:13分15秒15)
・学生歴代2位(ジョセフ・ラジニ:13分18秒74)
・学生歴代3位(不破聖衣来:15分20秒68)
・日本人学生歴代2位(砂岡拓磨:13分19秒96)
・U20日本記録(吉居大和:13分25秒87)
・U20歴代2位(三浦龍司:13分26秒78)
・U20歴代3位(石原翔太郎:13分30秒98)
・高校記録(佐藤圭汰:13分31秒19 )
・高校歴代2位(石田洸介:13分34秒74)
・高校歴代3位(山口智規:13分35秒16)
など
かつては高校生にとって5000mで13分台を出すことは国体や全国高校総体の5000mで入賞するより難しいことであったが、今では年間に30人もの高校生が13分台をマークしていることもあり国体や全国高校総体の5000mで入賞することのほうが難しくなっているといえる。
日本歴代10傑
男子(10人中3人)
1 13分08秒40 大迫傑 NOP 2015年7月18日
2 13分12秒63 鎧坂哲哉 旭化成 2015年7月18日
3 13分13秒20 松宮隆行 コニカミノルタ 2007年7月28日
4 13分13秒40 高岡寿成 鐘紡 1998年8月1日
5 13分13秒60 佐藤悠基 日清食品 2013年7月13日
6 13分16秒40 遠藤日向 住友電工 2021年12月10日
7 13分16秒53 塩尻和也 富士通 2021年12月10日
8 13分18秒32 三津谷祐 トヨタ自動車九州 2007年5月26日
9 13分18秒49 坂東悠汰 富士通 2020年12月4日
10 13分19秒00 竹澤健介 早大 2007年7月28日
3000mを8分前後で通過した場合、ラスト2000mを5分10秒前後、またはラスト1000mを2分30秒前後で走れると強い。その基準を満たす選手は日本記録を更新できる可能性が高いが、12分台を目指す選手であればラスト2000mやラスト1000mはそれぐらいにペースアップしたいところ。
女子(10人中6人)
1 14分52秒84 廣中璃梨佳 日本郵政 2021年8月2日
2 14分53秒22 福士加代子 ワコール 2005年7月8日
3 14分55秒83 新谷仁美 積水化学 2020年9月20日
4 14分59秒36 萩谷楓 エディオン 2021年9月26日
5 14分59秒93 田中希実 豊田自動織機TC 2021年7月30日
6 15分02秒48 木村友香 資生堂 2021年12月10日
7 15分03秒67 弘山晴美 資生堂 1998年8月5日
8 15分05秒37 小林祐梨子 豊田自動織機 2008年10月18日
9 15分06秒07 赤羽有紀子 ホクレン 2008年7月13日
10 15分06秒66 一山麻緒 ワコール 2020年7月18日
大半がこの2年間で更新されている。マラソン選手の一山麻緒が10位にランクインいているのも印象的であるが、ベストコンディションとはいえない高温多湿の東京五輪で日本記録を更新した廣中璃梨佳の強さが目立っている。もっと涼しい条件下では14分40秒台が狙える(14分30秒台も視野に入れているだろう)この2年間で女子5000mの日本人選手の14分台はそう珍しいことでなくなった。
日本学生歴代10傑
男子
1 13分15秒15 イェゴン・ヴィンセント 東国大 2021年5月9日
2 13分18秒74 ジョセフ・ラジニ 拓大 2021年11月14日
3 13分19秒00 竹澤健介 早大 2007年7月29日
4 13分19秒96 砂岡拓磨 城西大 2021年12月10日
5 13分20秒43 高岡寿成 龍谷大 1992年7月2日
6 13分20秒80 大迫傑 早大 2013年11月17日
7 13分21秒49 上野裕一郎 中大 2007年7月29日
8 13分23秒57 佐藤悠基 東海大 2006年8月30日
9 13分23秒72 ギタウ・ダニエル 日大 2009年4月18日
10 13分24秒19 サイモン・ディラング 日大 2005年9月24日
今までに強い留学生はたくさんいたが、留学生の記録水準も向上。
女子
1 15分13秒09 ワンジョイ・メリー・ワンガリ 立命館APU 2008年4月5日
2 15分17秒53 木村泰子 京産大 1995年6月10日
3 15分20秒68 不破聖衣来 拓大 2021年7月17日
4 15分22秒86 佐藤由美 京産大 1997年10月3日
5 15分23秒70 藤永佳子 筑波大 2000年5月13日
6 15分24秒99 竹中理沙 立命館大 2010年12月5日
7 15分25秒14 和田有菜 名城大 2020年12月4日
8 15分25秒50 西原加純 佛教大 2010年12月5日
9 15分26秒72 吉本ひかり 佛教大 2010年4月18日
10 15分26秒76 髙松智美ムセンビ 名城大 2018年12月2日
不破聖衣来は今後5000mの学生記録を更新する可能性がとても高い。
日本人学生歴代10傑
男子(10人中4人)
1 13分19秒00 竹澤健介 早大 2007年7月29日
2 13分19秒96 砂岡拓磨 城西大 2021年12月10日
3 13分20秒43 高岡寿成 龍谷大 1992年7月2日
4 13分20秒80 大迫傑 早大 2013年11月17日
5 13分21秒49 上野裕一郎 中大 2007年7月29日
6 13分23秒57 佐藤悠基 東海大 2006年8月30日
7 13分25秒87 吉居大和 中大 2020年12月4日
8 13分26秒53 渡辺康幸 早大 1994年7月15日
9 13分26秒78 三浦龍司 順大 2021年7月14日
10 13分27秒83 鈴木芽吹 駒大 2021年7月10日
砂岡拓磨が日本人学生2人目のサブ13:20達成。この数年間で日本人学生歴代最高が更新されるのも時間の問題。
女子(10人中1人)
1 15分17秒53 木村泰子 京産大 1995年6月10日
2 15分20秒68 不破聖衣来 拓大 2021年7月17日
3 15分22秒86 佐藤由美 京産大 1997年10月3日
4 15分23秒70 藤永佳子 筑波大 2000年5月13日
5 15分24秒99 竹中理沙 立命館大 2010年12月5日
6 15分25秒14 和田有菜 名城大 2020年12月4日
7 15分25秒50 西原加純 佛教大 2010年12月5日
8 15分26秒72 吉本ひかり 佛教大 2010年4月18日
9 15分26秒76 髙松智美ムセンビ 名城大 2018年12月2日
10 15分27秒55 田中華絵 立命館大 2010年12月5日
U20日本歴代10傑
樹立年の12月31日時点で年齢が20歳未満選手のみ対象
男子(10人中8人)
1 13分25秒87 吉居大和 中大 2020年12月4日
2 13分26秒78 三浦龍司 順大 2021年7月14日
3 13分30秒98 石原翔太郎 東海大 2021年5月9日
4 13分31秒19 佐藤圭汰 洛南高 2021年10月3日
5 13分31秒72 佐藤悠基 東海大学 2005年5月21日
6 13分34秒74 石田洸介 東農大二高 2020年9月27日
7 13分35秒16 山口智規 学法石川高 2021年11月14日
8 13分35秒2 高尾憲司 旭化成 1994年5月28日
9 13分36秒39 藤本珠輝 日体大 2020年11月15日
10 13分36秒57 伊藤大志 佐久長聖高 2020年11月15日
男子5000mの高校〜U20の世代の記録水準はこの2年間で一気に上がった。
女子(10人中1人)
1 15分05秒40 廣中璃梨佳 日本郵政 2019年12月7日
2 15分10秒23 福士加代子 ワコール 2001年7月14日
3 15分15秒80 田中希実 ND28AC 2018年10月14日
4 15分17秒53 木村泰子 京産大 1995年6月10日
5 15分17秒62 鷲見梓沙 ユニバーサルエンターテインメント 2015年7月12日
6 15分20秒68 不破聖衣来 拓大 2021年7月17日
7 15分21秒37 小林祐梨子 豊田自動織機 2007年4月7日
8 15分22秒68 藤永佳子 諫早高 1999年5月9日
9 15分23秒56 小笠原朱里 山梨学院高 2017年6月25日
10 15分25秒40 高橋千恵美 日本ケミコン 1995年5月3日
U20女子は他の種目と同様に女子は男子ほど記録水準が顕著に向上しているわけではない。
高校歴代10傑
男子(10人中6人)
1 13分31秒19 佐藤圭汰 洛南高 2021年10月3日
2 13分34秒74 石田洸介 東農大二高 2020年9月27日
3 13分35秒16 山口智規 学法石川高 2021年11月14日
4 13分36秒57 伊藤大志 佐久長聖高 2020年11月15日
5 13分38秒96 吉岡大翔 佐久長聖高 2021年10月3日
6 13分39秒87 佐藤秀和 仙台育英高 2004年10月27日
7 13分44秒91 土橋啓太 大牟田高 2002年10月23日
8 13分45秒23 佐藤悠基 佐久長聖高 2004年8月5日
9 13分45秒28 鶴川正也 九州学院高 2020年11月29日
10 13分45秒86 北村聡 西脇工業高 2002年10月23日
今後数年間でトップ6-10が全て更新される可能性が高く、歴代トップ10が全て平成生まれの選手で埋め尽くされることになるだろう。
女子(10人中1人)
1 15分22秒68 藤永佳子 諫早高 1999年5月9日
2 15分23秒56 小笠原朱里 山梨学院高 2017年6月25日
3 15分25秒87 矢田みくに ルーテル学院高 2016年12月3日
4 15分27秒98 絹川愛 仙台育英高 2007年9月22日
5 15分28秒70 新谷仁美 興譲館高 2005年12月3日
6 15分31秒33 米澤奈々香 仙台育英高 2021年12月4日
7 15分31秒62 森林未来 諫早高 2016年12月3日
8 15分31秒65 大谷くみこ 大分東明高 2012年12月1日
9 15分31秒90 小林祐梨子 須磨学園高 2006年4月8日
10 15分31秒92 向井優香 世羅高 2015年10月17日
10000m
この2年間で生まれた新記録(歴代3位以上)
・日本記録(相澤晃:27分18秒7 / 新谷仁美:30分20秒44)
・日本歴代2位(田澤廉:27分23秒44 / 不破聖衣来:30分45秒21)
・日本歴代3位(伊藤達彦 :27分25秒73)
・学生記録①(ジョセフ・ラジニ:27分25秒65 / 不破聖衣来:30分45秒21)
・学生記録②(ワンジク・チャールズ・カマウ:27分18秒89)
・学生歴代2位(田澤廉:27分23秒44 / 小林成美:31分22秒34)
・学生歴代3位(イエゴン・ヴィンセント:27分24秒42)
・日本人学生記録(田澤廉:27分23秒44)
・日本学生歴代3位(鈴木芽吹:27分41秒68)
・U20日本記録(不破聖衣来:30分45秒21)
・U20歴代2位(吉居大和:28分03秒90)
・U20歴代3位(石原翔太郎:28分05秒91)
・高校歴代3位(吉居駿恭:28分11秒96)
など
5000mと同じく各カテゴリでの記録更新が著しい。日本人選手だけでなく、留学生の記録水準も向上していることを考えると今後、26分台を出す留学生が出てくるかもしれないし、日本人学生の26分台も夢ではないだろう。
日本歴代10傑
男子(10人中6人)
1 27分18秒75 相澤晃 旭化成 大阪 2020年12月4日
2 27分23秒44 田澤廉 駒大 横浜 2021年12月4日
3 27分25秒73 伊藤達彦 HONDA 大阪 2020年12月4日
4 27分28秒92 田村和希 住友電工 大阪 2020年12月4日
5 27分29秒69 村山紘太 旭化成 町田 2015年11月28日
6 27分29秒74 鎧坂哲哉 旭化成 町田 2015年11月28日
7 27分33秒13 太田智樹 トヨタ自動車 八王子 2021年11月27日
8 27分34秒86 河合代二 トーエネック 大阪 2020年12月4日
9 27分35秒09 高岡寿成 カネボウ パロアルト 2001年5月4日
10 27分35秒33 中山竹通 ダイエー ヘルシンキ 1987年7月2日
高岡寿成はシドニー五輪10000m決勝で7位入賞という実績を考えると、10000mのエキスパートだった(世界選手権の男子10000mの日本人入賞者はゼロで、五輪では4人いるが最後に五輪の男子10000mで入賞したのが高岡)
中山竹通の27分35秒33の当時の日本記録はその時点で世界歴代22位(1987年だけでは世界4番目の記録)ちなみに、現在の世界歴代22位の記録はエリウド・キプチョゲの自己記録の26分49秒02である。中山竹通の全盛期は現在の26分台ランナーのインパクトがあったかもしれない。
2010年代までは春や夏の海外遠征で日本人選手が27分台の記録が出すことがメジャーであったが、今では国内のレース(日本選手権、記録会や八王子LD、ホクレン、春のサーキット等)でケニア人選手がペーサー(やそれに近い役割)となって日本人選手も好記録が出るパターンが多い。
女子(10人中4人)
1 30分20秒44 新谷仁美 積水化学 2020年12月4日
2 30分45秒21 不破聖衣来 拓大 2021年12月11日
3 30分48秒89 渋井陽子 三井住友海上火災保険 2002年5月3日
4 30分51秒81 福士加代子 ワコール 2002年10月8日
5 31分00秒71 廣中璃梨佳 日本郵政2021年8月7日
6 31分09秒46 川上優子 沖電気宮崎 2000年7月1日
7 31分10秒02 絹川愛 ミズノ 2011年6月22日
7 31分10秒02 五島莉乃 資生堂 2021年12月10日
9 31分11秒56 一山麻緒 ワコール 2020年12月4日
10 31分15秒34 羽鳥智子 第一生命 2004年4月21日
10 31分15秒34 赤羽有紀子 ホクレン 2008年6月27日
2002年当時の女子10000m世界記録は王軍霞の29分31秒78だったが、彼女のドーピング疑惑が囁かれていて王以外の29分台ランナーがそれまでに世界で誰もいなかった時代。2002年の渋井陽子の30分48秒89は当時の世界歴代16位、福士加代子の30分51秒81は世界歴代19位だった。
対して、現在は2000年以降に29分台を10名が達成し、世界記録が29分01秒で28分台目前という状況。新谷仁美の30分20秒44が現在の世界歴代24位 、不破聖衣来の30分45秒21が世界歴代63位となっている。
渋井陽子は当時、初マラソン世界最高記録(2時間23分11秒)や2004年に2時間19分41秒のマラソン日本最高記録を出した選手であった。また、福士加代子は当時、3000mと5000mの日本記録保持者であった。
現在は渋井や福士の時代とは違って世界トップクラスの選手と日本トップクラスの選手は10000mで1分以上の差があり、世界大会でメダル争いをすることが一昔前より難しくなってきている。
とはいえ、新谷と不破の2人はそれぞれ単独走で出した記録であることが印象的であったが、廣中璃梨佳も真夏の東京という高温多湿の中で出した記録、しかも五輪7位入賞という結果もついてきただけに非常に価値が高い。
日本人選手が10000mで男子26分台か、女子29分台かどちらが先に達成されるかは今後注目したい。
日本学生歴代10傑
男子(10人中6人)
1 27分18秒89 ワンジク・チャールズ・カマウ 武学大 2021年11月13日
2 27分23秒44 田澤廉 駒大 2021年12月4日
3 27分24秒42 イエゴン・ヴィンセント 東国大 2021年12月4日
4 27分25秒65 ジョセフ・ラジニ 拓大 2021年9月20日
5 27分27秒64 メクボ・ジョブ・モグス 山学大 2008年5月18日
6 27分31秒29 ディラング・サイモン 日大 2005年5月13日
7 27分35秒29 フィリップ・ムルワ 創価大 2021年11月27日
8 27分38秒05 ムソニ・ムイル 創価大 2017年11月25日
9 27分38秒31 大迫傑 早大 2013年4月29日
10 27分39秒80 ライモイ・ヴィンセント 国士大 2020年7月18日
モグス(全日本8区区間記録保持者+元箱根2区区間記録保持者)やダビリ(3000m学生記録保持者+実業団時代に日本で10000m26分台を出した2人のうちの1人)など今まで強い留学生はたくさんいたが、留学生の中でも今は記録水準が上がっている(=より速いペースでレースが進むことが増えた)
女子(10人中4人)
1 30分45秒21 不破聖衣来 拓大 2021年12月11日
2 31分22秒34 小林成美 名城大 2021年7月10日
3 31分30秒92 吉本ひかり 佛教大 2010年4月25日
4 31分37秒88 鈴木優花 大東大 2019年12月7日
5 31分39秒86 加世田梨花 名城大 2020年12月4日
6 31分47秒76 木村泰子 京産大 1995年6月11日
7 31分47秒82 藤永佳子 筑波大 2001年4月22日
8 31分50秒17 関谷夏希 大東大 2018年12月8日
9 31分58秒46 棟久由貴 東農大 2016年7月11日
10 32分11秒08 荒井優奈 名城大 2021年7月10日
日本の大学陸上には留学生の女子選手があまり多くない。留学生は高卒で実業団に入るか、男子のように大学から留学するパターンの選手は少ない。
日本人学生歴代10傑
男子(10人中2人)
1 27分23秒44 田澤廉 駒大 2021年12月4日
2 27分38秒31 大迫傑 早大 2013年4月29日
3 27分41秒68 鈴木芽吹 駒大 2021年5月3日
4 27分44秒30 鎧坂哲哉 明大 2011年7月29日
5 27分45秒59 竹澤健介 早大 2007年4月29日
6 27分47秒87 塩尻和也 順大 2017年11月25日
7 27分48秒55 渡辺康幸 早大 1995年8月5日
8 27分49秒94 村山謙太 駒大 2014年4月20日
9 27分50秒59 村澤明伸 東海大 2012年4月29日
10 27分51秒54 設楽啓太 東洋大 2013年5月11日
U20日本歴代10傑
男子(10人中4人)
1 27分59秒32 大野龍二 旭化成 2004年6月5日
2 28分03秒90 吉居大和 中大 2021年12月4日
3 28分05秒91 石原翔太郎 東海大 2021年5月21日
4 28分07秒39 佐藤悠基 佐久長聖高 2004年11月27日
5 28分10秒32 佐藤秀和 仙台育英高 2004年11月27日
6 28分11秒96 吉居駿恭 仙台育英高 2021年11月13日
7 28分12秒81 北村聡 日体大 2004年11月27日
8 28分13秒21 田澤廉 駒大 2019年11月23日
9 28分14秒27 村山謙太 駒大 2012年10月13日
10 28分14秒86 白鳥哲汰 駒大 2020年12月5日
今はまだいないが、今後数年間で27分台を出すU20の日本人選手が何人か出てくるだろう。
女子(10人中1人)
1 30分45秒21 不破聖衣来 拓大 2021年12月11日
2 31分23秒21 絹川愛 ミズノ 2008年10月13日
3 31分42秒05 福士加代子 ワコール 2001年9月29日
4 31分43秒7 千葉真子 旭化成 1995年11月11日
5 31分47秒76 木村泰子 京産大 1995年6月11日
6 31分48秒50 原裕美子 京セラ 2001年10月14日
7 31分58秒46 棟久由貴 東農大 2016年7月11日
8 31分58秒93 藤永佳子 筑波大学 2000年4月23日
9 31分58秒95 大越一恵 ダイハツ 2000年7月1日
10 32分07秒98 小島江美子 旭化成 1998年5月3日
高校歴代10傑
男子(10人中5人)
1 28分07秒39 佐藤悠基 佐久長聖高 2004年11月27日
2 28分10秒32 佐藤秀和 仙台育英高 2004年11月27日
3 28分11秒96 吉居駿恭 仙台育英高 2021年11月13日
4 28分23秒18 村山謙太 明成高 2010年12月4日
5 28分27秒39 上野裕一郎 佐久長聖高 2003年11月29日
6 28分35秒65 吉居大和 仙台育英高 2020年3月8日
7 28分35秒8 渡辺康幸 市立船橋高 1991年11月21日
8 28分36秒67 緒方澪那斗 市立船橋高 2021年12月4日
9 28分37秒50 石田洸介 東農大二高 2020年10月31日
10 28分37秒51 荒巻朋煕 大牟田高 2021年12月4日
現在は年間で20-30人の日本人選手が10000m27分台を出しているがW佐藤が活躍した2004年に10000m27分台を出した日本人選手は5人だけだった。
【10000m27分台の日本人選手】
2004年:5人
2005年:3人
2006年:0人
2007年:4人
2008年:4人
2009年:3人
2010年:7人
2011年:5人
2012年:8人
2013年:7人
2014年:6人
2015年:11人
2016年:7人
2017年:6人
2018年:5人
2019年:3人
2020年:23人
2021年:33人(過去最高)
3000mSC
この2年間で生まれた新記録(歴代3位以上)
・日本記録(三浦龍司:8分09秒92)
・日本歴代2位(吉村玲美:9分41秒43)
・日本歴代3位(山中柚乃:9分41秒84)
・学生記録(三浦龍司:8分09秒92 / 吉村玲美:9分41秒43)
・U20日本記録(三浦龍司:8分09秒92)
・U20歴代3位(服部壮馬:8分39秒19)
・高校歴代2位(黒田朝日:8分39秒79)
日本歴代10傑
男子(10人中5人)
1 8分09秒92 三浦龍司 順大 2021年7月30日
2 8分18秒93 岩水嘉孝 トヨタ自動車 2003年8月23日
3 8分19秒52 新宅雅也 ヱスビー食品 1980年7月8日
4 8分19秒96 山口浩勢 愛三工業 2021年6月26日
5 8分20秒70 青木涼真 Honda 2021年6月26日
6 8分21秒60 小山隆治 クラレ 1974年6月22日
7 8分23秒93 阪口竜平 SGホールディングス 2021年5月9日
8 8分25秒49 潰滝大記 富士通 2021年6月26日
9 8分26秒48 内冨恭則 中国電力 1997年10月29日
10 8分27秒15 山田和人 日産自動車 1990年8月17日
東京五輪で7位入賞の成績を残した三浦龍司。元日本記録保持者の岩水嘉孝は日本選手権で5連覇を含む8勝。三浦は2021年の日本選手権覇者であるが、今後どれぐらい日本選手権を連覇していくのか、さらには世界大会で表彰台に立つことができるのだろうか。
女子(10人中4人)
1 9分33秒93 早狩実紀 京都光華AC 2008年7月20日
2 9分41秒43 吉村玲美 大東大 2021年9月19日
3 9分41秒84 山中柚乃 愛媛銀行 2021年6月26日
4 9分44秒22 高見澤安珠 松山大 2016年6月25日
5 9分45秒27 森智香子 積水化学 2016年6月25日
6 9分46秒44 藪田裕衣 大塚製薬 2021年6月26日
7 9分48秒76 石澤ゆかり エディオン 2020年12月4日
8 9分49秒85 三郷実沙希 スズキ浜松AC 2014年6月8日
9 9分53秒87 辰巳悦加 デオデオ 2009年6月6日
9 9分53秒87 中村真悠子 筑波大(大学院) 2014年6月8日
女子も男子と同じく記録水準が著しく上昇。早狩実紀は日本選手権6連覇を達成しているが、今後突き抜ける選手が出てくるかどうか。女子1500m、3000m、5000mの記録水準も向上しているが、早狩が当時それらの種目でも日本トップレベルの走力であったことを考えると、現在の1500m、3000m、5000mで日本トップレベルの選手が3000mSCに転向するようなことがあれば面白い。女子は男子とは違って高校時代に本格的に3000mSCに取り組む環境(レース)があまりないので、3000mSCと1500mもしくは5000mを兼ねて活躍する選手が男子よりも少ない。
日本学生歴代10傑
男子(10人中4人)
1 8分09秒92 三浦龍司 順大 2021年7月30日
2 8分25秒80 新宅雅也 日体大 1979年10月28日
3 8分26秒77 岩水嘉孝 順大 2001年6月9日
4 8分27秒80 小原響 青学大 2021年6月26日
5 8分28秒67 ダニエル・ジェンガ 流経大 1996年5月6日
6 8分29秒14 塩尻和也 順大 2018年6月24日
7 8分29秒71 ビズネ・ヤエ・トゥーラ 亜大 1993年6月13日
8 8分29秒85 阪口竜平 東海大 2019年6月29日
9 8分31秒27 愛敬重之 中京大 1983年8月9日
10 8分32秒08 アジス・ドリウッチ 第一工業大 1999年10月3日
三浦の記録が抜けているが、小原響が新宅雅也や岩水嘉孝の学生時代の記録に肉薄しているということも見逃せない。
女子(10人中4人)
1 9分41秒43 吉村玲美 大東大 2021年9月19日
2 9分44秒22 高見澤安珠 松山大 2016年6月25日
3 9分53秒87 中村真悠子 筑波大(大学院) 2014年6月8日
4 9分55秒01 西出優月 関西外大 2020年12月4日
5 9分58秒81 瀬川帆夏 大東大 2016年5月8日
6 9分58秒98 森智香子 大東大 2014年5月24日
7 9分59秒17 岡田佳子 松山大 2016年9月4日
8 9分59秒35 出水田眞紀 立教大 2016年6月25日
9 10分00秒40 向井智香 名城大 2016年5月1日
10 10分00秒49 西山未奈美 松山大 2018年7月13日
U20日本歴代10傑
男子(10人中4人)
1 8分09秒92 三浦龍司 順大 2021年7月30日
2 8分31秒27 愛敬重之 中京大 1983年8月9日
3 8分39秒19 服部壮馬 順大 2021年6月26日
4 8分39秒79 黒田朝日 玉野光南高 2021年6月26日
5 8分41秒73 山本豪 日大 1992年9月20日
6 8分41秒91 池田義幸 専大 1992年9月18日
7 8分42秒74 中島阿廉 黒崎播磨 2021年6月26日
8 8分42秒80 塩尻和也 順大 2015年9月11日
9 8分44秒77 櫛部静二 宇部鴻城高 1989年9月16日
10 8分44秒94 菊池昌寿 亜大 2005年10月26日
高校歴代10傑
男子(10人中2人)
1 8分39秒37 三浦龍司 洛南高 2019年6月27日
2 8分39秒79 黒田朝日 玉野光南高 2021年6月26日
3 8分44秒77 櫛部静二 宇部鴻城高 1989年9月16日
4 8分45秒66 塩尻和也 伊勢崎清明高 2014年7月27日
5 8分46秒86 井中将貴 米子商業高 1998年10月1日
6 8分47秒81 高橋尚孝 松戸高 1994年11月1日
7 8分48秒4 村松明彦 報徳学園高 1989年6月10日
8 8分48秒44 小島忠幸 西脇工業高 1994年10月1日
9 8分51秒11 山本嵐 佐久長聖高 2017年8月2日
10 8分51秒28 大沼良太郎 鹿島学園高 2021年6月26日
高校生のサブ8:40は驚異的であるが、三浦龍司が記録してからわずか2年で2人目の達成者が出た。
ハーフマラソン
この2年間で生まれた新記録(歴代3位以上)
・日本記録(小椋裕介:1時間00分00秒 / 新谷仁美:1時間06分38秒)
・日本歴代2位(藤本拓:1時間00分06秒)
マラソンと同じく記録水準の向上が顕著である種目。男女で日本記録が更新され、男子の日本人選手初のサブ1:00はもうすぐ出る雰囲気がある。10000mでサブ27:30を達成している選手(相澤、田澤、伊藤)であれば28分台前半で10kmを通過することはひと昔前の選手よりかはまだ難易度が高くないのかもしれない。
日本歴代10傑
男子(10人中5人)
1 1時間00分00秒 小椋裕介 ヤクルト 丸亀 2020年2月2日
2 1時間00分06秒 藤本拓 トヨタ自動車 丸亀 2020年2月2日
3 1時間00分17秒 設楽悠太 ホンダ チェコ 2017年9月16日
4 1時間00分19秒 市田孝 旭化成 山口 2021年2月14日
5 1時間00分25秒 佐藤敦之 中国電力 ウーディネ 2007年10月14日
6 1時間00分30秒 高橋健一 富士通 東京 2000年1月10日
7 1時間00分32秒 菊地賢人 コニカミノルタ 山口 2015年2月15日
8 1時間00分49秒 古賀淳紫 安川電機 山口 2020年2月9日
9 1時間00分50秒 村山謙太 駒大 丸亀 2014年2月2日
9 1時間00分50秒 鈴木大貴 YKK 山口 2020年2月9日
佐藤敦之の当時の日本記録は世界ハーフマラソン選手権(世界ロードランニング大会9位)での記録。ペーサーがいない世界大会で好記録を出すのは簡単なことではなく、しかも海外レースなので非常に価値が高い。
女子(10人中3人)
1 1時間06分38秒 新谷仁美 積水化学 ヒューストン 2020年1月19日
2 1時間07分26秒 福士加代子 ワコール 丸亀 2006年2月5日
3 1時間07分43秒 野口みずき シスメックス 丸亀 2006年2月5日
4 1時間07分55秒 鈴木亜由子 日本郵政 丸亀 2019年2月3日
5 1時間08分11秒 赤羽有紀子 ホクレン 山口 2008年3月16日
6 1時間08分28秒 一山麻緒 ワコール 札幌 2021年5月5日
7 1時間08分32秒 松田瑞生 ダイハツ 札幌 2021年5月5日
8 1時間08分35秒 小鳥田貴子 デオデオ 山口 2003年1月6日
9 1時間08分45秒 大南博美 UFJ銀行 札幌 2004年7月4日
10 1時間08分54秒 山中美和子 ダイハツ 神戸 2001年12月16日
男子ペーサーや男子選手と並走 / 追走して好記録が出るのがこの種目であるが、今後は1時間06分台や1時間07分台をマークする日本人選手がもっと増えるだろう。
マラソン
この2年間で生まれた新記録(歴代3位以上)
・日本記録①(大迫傑:2時間05分29秒)
・日本記録②(鈴木健吾:2時間04分56秒)
鈴木健吾が非アフリカ系初の公認大会でのサブ2:05を達成。日本人選手にとってマラソンという種目はこの2年間で新たなステージに引き上げられた。サブテンはこれまで年間で数人という極めて限られた選手だけの称号であったが、今では1つのレースで10人以上の日本人がサブテンを記録することも珍しくない。
日本歴代10傑
男子(10人中7人)
1 2時間04分56秒 鈴木健吾 富士通 びわ湖 2021年2月28日
2 2時間05分29秒 大迫傑 Nike 東京 2020年3月1日
3 2時間06分11秒 設楽悠太 Honda 東京 2018年2月25日
4 2時間06分16秒 高岡寿成 カネボウ シカゴ 2002年10月13日
5 2時間06分26秒 土方英和 HONDA びわ湖 2021年2月28日
6 2時間06分35秒 細谷恭平 黒崎播磨 びわ湖 2021年2月28日
7 2時間06分45秒 高久龍 ヤクルト 東京 2020年3月1日
8 2時間06分47秒 井上大仁 三菱重工 びわ湖 2021年2月28日
9 2時間06分51秒 藤田敦史 富士通 福岡国際 2000年12月3日
9 2時間06分51秒 小椋裕介 ヤクルト びわ湖 2021年2月28日
高岡寿成のシカゴは当時の世界記録保持者ハリド・ハヌーシらとの競り合いで3位だったことを考えるとレベルの高い大会での好勝負での日本記録でとても価値が高かった(高橋尚子、渋井陽子、野口みずきの当時の日本最高記録もベルリン優勝で達成)このように好記録だけでなくWMM(当時はそうでなかったが)での表彰台が加わるとさらに価値が高い。
【この数年間の日本人男子WMM表彰台など】
大迫傑:2017年ボストン、2018年シカゴ3位、2020年東京4位、2021年東京五輪6位入賞
設楽悠太:2018年東京2位
川内優輝:2018年ボストン優勝
中村匠吾:2018年ボストン4位
鈴木健吾:2021年シカゴ4位
ちなみに次回の東京マラソンで最近のびわ湖や福岡国際のように日本の実業団所属以外の海外招待選手を招聘しないと、日本人選手が表彰台に昇る可能性が高く、それをWMMのレースとしてカウントしていいのかどうかは微妙なところである。
現在では選手招聘の予算が潤沢なロンドンマラソンに豪華メンバーが集まる傾向があるので、ロンドンの表彰台に立つような日本人選手が今後生まれると世界大会でのメダルを期待していいだろう。
女子(10人中2人)
1 2時間19分12秒 野口みずき グローバリー ベルリン 2005年9月25日
2 2時間19分41秒 渋井陽子 三井住友海上 ベルリン 2004年9月26日
3 2時間19分46秒 高橋尚子 積水化学 ベルリン 2001年9月30日
4 2時間20分29秒 一山麻緒 ワコール 名古屋ウィメンズ 2020年3月8日
5 2時間21分36秒 安藤友香 スズキ浜松AC 名古屋ウィメンズ 2017年3月12日
6 2時間21分45秒 千葉真子 豊田自動織機 大阪国際 2003年1月26日
7 2時間21分47秒 松田瑞生 ダイハツ 大阪国際 2020年1月26日
8 2時間21分51秒 坂本直子 天満屋 大阪国際 2003年1月26日
9 2時間22分12秒 山口衛里 天満屋 東京国際 1999年11月21日
10 2時間22分17秒 福士加代子 ワコール 大阪国際 2016年1月31日
男子ほどの記録水準の向上ではないが、1500、3000、5000、10000m、ハーフで女子は日本記録が塗り替えられたので、それらの選手がマラソンを走った時には女子マラソンの記録水準がグッと上がる可能性がある。
今後は好記録よりも安定した順位を取り続ける選手の価値がさらに高まる
以上のように、特に男子はこの2年間での記録水準の向上がめざましい。
今後は歴代上位記録が入れ替わり、一昔前の選手の好記録は歴代10傑から弾き出されていくことが予想されるが、記録水準が向上している一方で、世界大会での日本人選手の中長距離種目(特にマラソン)でのメダル獲得は一昔前より難しくなっている。
そのようなことを考えると、持ち記録や歴代記録との比較はその選手を評価するうえであくまで1つの要素にすぎない。昔も今も日本トップクラスの陸上選手を評価するうえで世界大会でのメダルや入賞は価値が高く、戦績や2位につけた差といった、歴代記録との比較以外の物差しが重要になってくる。
例えば、箱根1区の歴代記録をみてみると第96回大会の米満怜(創価大4年)は1時間01分13秒の区間歴代2位タイの好記録をマークしたが、区間2位の藤木宏太(國學院大2年)につけた差は5秒。
対して、第70回大会の渡辺康幸(早大2年)がマークした1時間01分13秒の当時の区間新は区間2位の井幡政等(山学大3年)に27秒差をつけての圧勝だった(井幡は区間3位の選手とは1分14秒差)。井幡はその翌年の東京シティハーフマラソンでは、33mの下り勾配とはいえ1時間00分55秒の学生最高(非公認)をマークしたことを考えると、かなり強い相手だったことがわかる。
また、箱根1区区間記録保持者の佐藤悠基(東海大2年)は第83回大会で区間2位の大西智也(東洋大2年)に4分01秒の大差をつけて1時間01分06秒の区間新記録を叩き出した。先述した米満とのタイム差は7秒しかないが、2位につけた差は佐藤と米満では3分56秒の大差があり、佐藤の走りは終始大きなインパクトがあった(しかも佐藤は途中で脚に痙攣。脚を手で叩きながら走っていた)
このようなことから、2位以下にどれだけの差をつけて優勝したか / 区間賞をとったか、という物差しも重要であり、歴代記録との比較というのは時にあまり意味を持たないのかもしれない(例えば2020年の都道府県男子駅伝1区は区間新ラッシュだったが上位選手同士の実力の開きはそこまでなかった)
歴代記録は今後もどの中長距離種目でも塗り替えられていくことが予想されるが、どの時代もトップに立つ選手というのは限られており、その選手が持っている記録の優劣にかかわらず、その時代をリードしていたという事実には大きな価値があり、それは何年経っても変わらないものである。
今後は好記録よりも安定した順位を取り続ける選手の価値がさらに高まることが考えられるが、今の学生でいうと、佐藤圭汰や田澤廉、イェゴン・ヴィンセント、不破聖衣来の成績は安定しており、それらの選手が良い記録を持っているのは当然のことである。
陸上競技にもレース/大会ごとのレーティングや上位選手ごとのレーティングをつけて欲しい
この記事を書いたのはこの項目について述べたいからでもあった。
先ほど2位につけた差という見方について触れたが、各大会ごとや世代によってレベルの差があるので全てをそういった見方で評価することは難しい。
ここで述べるのは、レーティングについて。
例えば、陸上競技には世界陸連が定めるスコアリングテーブルという記録ごとの得点表があり、世界陸連の選手プロフィールの結果のところで選手が試合で残したスコアを見ることができる。
最近は記録水準の向上が目覚ましいので、ある一定のスコアに達成する選手が増えてきている。例えば、これまでは日本人選手の10000m27分台が年間5人前後の年が多かったが、その時代の27:55のスコアと、今の27:55のスコアは数字としては同じである。
しかし、今は年間30人以上の日本人選手が10000m27分台を出しているので、相対的な価値が昔よりかは高くない。10000m27:55のスコアが仮に1000点だとすると、今も昔も27:55を出せば1000点がつくが、今は1000点を出せる人が増えたということである。
対して「レーティング」は記録だけでなく気象条件やペース、対戦相手といった様々な要素を複合的に絡めて評価されるので相対的な評価がなされる。
JPNサラブレッドランキングから引用
競馬の世界ではレースのレーティングや優勝馬のレーティングを見ることができるが、こうやってみると速い記録で走破したサラブレッド(例えば2000mの日本レコードを持っているようなトーセンジョーダンのような馬が)が歴代最高クラスの評価を得ていないことがわかる。日本の競馬では走破タイムが昔よりも今の方が速いが、2-3歳馬のクラシック路線以外では、速い走破タイムを持っていることはほとんど重要視されない。そして、戦績やレーティングをみるといった見方が定着している。
陸上競技に話を戻すと、短距離の100mで風が追い風だと向かい風の時より記録が出ることは広く知られている。そう考えると、駅伝でも同じようなことがあり、今年の出雲駅伝の4 / 5区は強い向かい風の影響で平均3:00/kmを切って走れたのは4 / 5区を走った計40人のうち2人だけだった。
さらに箱根3区や都大路の男子4区、女子5区(男子7区)はやや下り勾配になっており、フラットコースであるとはいえない。そうなると少し記録が伸びることは予想できる。このように、コース形態や気象条件によって記録は左右されるし、歴代記録との比較では履いているシューズが違うことなどからも条件が一定では無い。
だからこそ、レーティングが重要となってくる。
10000m27分台が年間5人前後の時代の27:55と、年間30人以上の時代の27:55は世界陸連のスコアアリングテーブルのスコアは同じであるが、私がもしレーティングをつけるとしたら昔の27:55が1000点だとすると、今の27:55はそれよりも低い点数をつける。
とはいえ、その27:55が物凄い暑い試合で単独走で達成された、といったような厳しい条件であれば、レーティングは上がるし、スーパー日体大やハイパー日体大という好条件であればレーティングを下げる。つまりはタイムを達成するための条件やそのレース内容、という部分を評価している。
陸上競技において1番レーティングが高くなるのは、世界大会で好成績を残しつつ、好記録を同時に出すパターン。今年なら400mHのワーホルムの世界新や、昔ならボルトの100mの世界新のレースのレーティングが非常に高い。
とはいえ、五輪4冠を達成したジェシー・オーエンスが1936年に記録した10秒2は(+1.2 / 手動)は当時のシューズや路面を考えると、ボルトの今の世界記録に近いレーティングではないかといえる(デイヴィッド・エプスタインがそういうことをTEDで話している)
また、中長距離種目であればペーサーを使って記録を狙うレースがあるが(今の日本の主要マラソンはほとんどそのレーススタイルであるが)キプチョゲのマラソン世界記録のレース(2018年ベルリン)のように、中間点ぐらいでもうキプチョゲがペーサーを振り切っているようなレースぶりだと、圧倒的すぎて(彼を引っ張り切れる選手がいなくて)もちろんそのレースのキプチョゲの記録のレーティングはかなり高い。
陸上競技では現在、こういったレーティングという数字を扱っているサイトやメディアはあまり無い(そういうことを考えている人はいると思う)とはいえ、時に選手の評価に歴代記録との比較で判断することもあるが、今という時代だからこそレーティングという指数が非常に重要な意味を持つのではないかと思うし、そういったことを指標化するのも重要である、それが今回の記事を書いていて思ったことである。
最後に、自分が男子10000m日本歴代10傑のレーティングをつけるとしたら以下の通りである。
男子10000m日本歴代10傑(太字はこの2年間の記録)
1 / 27分18秒75 相澤晃 / 1160(3)
2 / 27分23秒44 田澤廉 / 1155(5)
3 / 27分25秒73 伊藤達彦 / 1150(7)
4 / 27分28秒92 田村和希 / 1145(8)
5 / 27分29秒69 村山紘太 / 1160(3)
6 / 27分29秒74 鎧坂哲哉 / 1155(5)
7 / 27分33秒13 太田智樹 / 1140(9)
8 / 27分34秒86 河合代二 / 1135(10)
9 / 27分35秒09 高岡寿成 / 1180(2)
10 / 27分35秒33 中山竹通 / 1200(1)
・中山竹通の27分35秒33は当時の世界歴代22位
・現在の世界歴代22位の記録は26分49秒02
・現在、26分49秒02に近い記録を出せば1200に近いレーティングになるが、ペーサーを使用するか否かでレーティングが前後する(ペーサーがどれぐらいまで引っ張るかによっても変わる)
レーティング順(太字はこの2年間の記録)
1 / 1200 / 中山竹通 27分35秒33
2 / 1180 / 高岡寿成 27分35秒09
3 / 1160 / 相澤晃 27分18秒75
3 / 1160 / 村山紘太 27分29秒69
5 / 1155 / 田澤廉 27分23秒44
5 / 1155 / 鎧坂哲哉 27分29秒74
7 / 1150 / 伊藤達彦 27分25秒73
8 / 1145 / 田村和希 27分28秒92
9 / 1140 / 太田智樹 27分33秒13
10 /1135 / 河合代二 27分34秒86
サポートをいただける方の存在はとても大きく、それがモチベーションになるので、もっと良い記事を書こうとポジティブになります。