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COROS新製品:APEX 2について

私がCOROSの製品を使い始めたのは、2021年3月よりその軽さが特徴的なPACE 2という製品だったが、今回は従来のAPEXという製品をアップデートした新製品のAPEX 2についての簡単なレビュー。

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COROSについて

COROS(カロス)は、おもにGPSウォッチを製造・開発するメーカーで、これまでにロード/トラックランナー用のPACEシリーズ、APEXシリーズ、トレイル用のAPEX Proシリーズ、アドベンチャーウォッチのVERTIXシリーズを発売している。

そして、何よりも特筆すべき点は、ロード/トラックやトレイルのCOROS契約選手が超トップアスリートばかりである点。

ロード/トラックアスリートはエリウド・キプチョゲを筆頭に、COROSはNN Running Teamと契約しているのでレテセンベット・ギデイ、ジョシュア・チェプテゲイといったキプチョゲ以外の世界記録保持者もCOROS製品を愛用している。また、トレイルもキリアン・ジョルネなどの世界トップクラスのアスリートが契約しており、このように多くのトップアスリートから信頼を得ている。

COROSの特徴は、製品のクオリティだけでなくアプリやシステム開発のアップデート/リリースが早く、アスリートからのフィードバックをもとにシステムへの開発投資を重視している点。つい最近にもCOROSの”出力ペース”という概念がリリースされたばかりであるが、こうやって実用的な数値がリリースされるのは、ランナーやサイクリストといったトレーニングを日常的に行うエンジニアたちが開発に携わっているのもスポーツブランドならではといったところ。


新製品のAPEX 2とAPEX 2 Proについて

COROSが2022年11月に新発売したのがAPEX 2とAPEX 2 Pro。スクリーンやバンドのサイズ、重量がともにAPEX 2 Proのほうがやや大きいとはいえ、その見た目やデザインはほぼ同じと言ってよい。

バッテリー稼働時間がAPEX 2 Proのほうが標準GPSモードで75時間持つことを考えると、APEX 2 Proはロングトレイルや100マイルなどのウルトラマラソンに向いており、標準GPSモードで45時間寿命のAPEX 2は、その軽量性からどちらかというとロングトレイルというよりかはロード/トラックランニングや短めのトレイルに向いているだろう。

2022年12月に「EKIDENウォッチフェイス」がリリース。どのCOROS製品もDL可

今回の記事ではおもにロード/トラックランナー向けにAPEX 2の簡単なレビューを行う。


PACE 2 vs. APEX 2

COROSのロード/トラックランニング用モデルといえば、APEXやPACEという旧モデルもあるが、やはり軽量性バツグンのPACE 2が最初に挙がる。

このPACE 2は先述したキプチョゲ、ギデイ、チェプテゲイと言った世界記録保持者が愛用しているモデルであり、ナイロンバンドであればウォッチを含めて29gという軽量性を誇る。

モードはランニング以外も揃えているとはいえ、必要最低限の機能を備えたお手頃価格のGPSウォッチというところ。コンパクトなモデルであるにも関わらず、バッテリー稼働時間が標準GPSモードで30時間と、従来の同価格帯の他社製品よりも充電回数を減らせるのがよい。

充電回数を減らせる、ということはそのウォッチが長い間使えるということにも関係してくる。例えば、ガーミンの旧モデルはそのバッテリー稼働時間の短さから充電回数の頻度が多くなるので、使用頻度が高いと買い替えの頻度が高くなりがちであり、長い目でみたときにコストがかかってしまう。

COROSのウォッチは全体的にロングバッテリーであり、これはCOROSブランドの強みを表す1つのポイントである。また、PACE 2はGPSウォッチの中では比較的安価の部類に入るが「トラックモード」というランニングに特化した機能を搭載しており、より精度の高いGPSログを残すことに長けている。

一般的にトラックなどの周回コースで周回を重ねると、GPSの距離がズレることが広く知られているが、トラックモードなどを駆使して精度が高く正確なデータログを蓄積するということは、COROS独自のTraining Hub(データ分析ツール)やEvoLab(ユーザーのパラメーター評価システム)のデータにも関係する。これは、データ分析を重視しているランナー / コーチにとっては無視できないことではないだろうか。

2022年11月発売のCOROS APEX 2(左)

では、ここでPACE 2とAPEX 2のそれぞれが優れている点を以下に挙げる。

APEX 2のほうが優れている点
・バッテリー稼働時間(PACE 2:30時間 vs. APEX 2:45時間)
・光学式心拍センサーのアップデート
・動作がよりスムーズ:特にダイヤルを回す時
・音楽や地図ファイルに対応。トレランやウィンタースポーツなど多機能

PACE 2のほうが優れている点
・軽い(PACE 2:29g vs. APEX 2:42g)どちらもナイロンバンド装着時
・販売価格が安い(PACE 2:29,480円 vs. APEX 2:57,860円)
・陸上中長距離のトップ選手が愛用

「1秒でも速く走りたい」というアスリートから「ワークアウトやレースにはより軽いウォッチを付けたい」という人はPACE 2、「音楽や地図機能が欲しい」という人や「トレイルランニングやウィンタースポーツなど他のスポーツにも使いたい」という人であれば、APEX 2がオススメであるといえる。

お財布に余裕がある人は、PACE 2をワークアウトやレースで使用。APEX 2をトレラン時に使う(地図機能)、ジョグやロングランでリラックスしながら音楽を聴いて走る(音楽機能)といったシューズならぬウォッチの「使い分け」も可能(もちろん、他社製品との併用も可)。

音楽好きの私にとっては音楽機能はGPSにウォッチに付けて欲しい機能の1つであるが、2020年あたりまで使っていたガーミンの音楽機能付きのGPSウォッチはバッテリー寿命が短く、充電の頻度が多いことがネックだった。その点では、APEX 2またはAPEX 2 Proは音楽機能に対応しながらもロングバッテリーである点は評価できる(音楽機能を備えるCOROS VERTIX 2はさらにバッテリーお化けレベルであるが…)。

やはり、COROSのGPSウォッチの特徴を1つ挙げるとしたら、そのバッテリー稼働時間の長さにあるといっても過言ではない。


ロード/トラックランナーが地図機能を使いこなすべき理由

音楽機能の他にもロード / トラックランナーにとって実用性があるとしたら地図機能である。いわゆる「ガジェット音痴」「機械音痴」と言われる人もいるが、例えばトレイルランといったロード/トラックランナーにとっても良いトレーニング方法があるので、地図機能というウォッチの機能を実用的に使用して欲しい。

ロード/トラックランナーが地図機能を使いこなすべき理由

  1. 旅行ラン / 遠征や合宿
    総じて、自分がまだあまり知らない土地に行く時に地図機能が便利だということであり、例えば現地でアテンドする人がいなくて1人で走るといったシチュエーションで地図機能 / ナビ機能は大いに役立つ。

  2. トレイルランの薦め
    ロード / トラックランナーが「見知らぬ場所で1人でトレイルランを行う」ということは「道を知らないという点」においてハードルが高いことかもしれない。しかし、地図機能が活躍するトレイルランはほとんどのランナーに森林浴などといったリラックス効果をもたらし気分転換に良い。

トレイルランは全てのランナーにとって有益なトレーニングである

また、トレイルランでは様々な筋群を稼働するので「走トレーニング」の中でも一般性の高い持久運動(言い換えれば様々な箇所にトレーニング刺激を与えられるアクティビティ)であり、フィットネス維持の意味ではオフ期に(登山でも良い)、有酸素能力構築のロングランとしては基礎筋力の向上も含めて1.5-3時間程度のトレイルランをロード / トラックランナーにはオススメしたい。トレランをやるとしたらメインの試合から離れた時期、または試合期が終わった時期に行うと良い。また、トレーニング内容がマンネリしている方にも気分転換のLSDとしてオススメ。

3…本当に方向音痴な人
これはランニングに限ったことではないが、本当に方向音痴の人は常に地図を持ち歩いたほうがいいのだが、スマホで見るよりもウォッチで見たほうが見やすい、ということでもある(または併用するといい)。


APEX 2の地図機能 / ナビ機能の使い方

トレイルランであれ、登山であれ、旅行ランであれ地図機能、ナビ機能を使いたいということであれば、スマートフォンでも十分に対応可であるが、スマートフォンを止まって確認するのが普通とはいえ、スマホを見ながら走行するのは「走りスマホ」となるので基本的にはオススメできない。

ウォッチであればラップの確認と同じように走行中でも気軽に迅速に確認することができるため、安全性や即時確認性がスマホよりかは高いと思うが、そういった意味ではウォッチの地図機能やナビ機能はランナーたちにとってもっと重宝されるべき機能だと思う。

では、COROSのAPEX 2を例にとって地図機能とナビ機能の使い方を以下に紹介する。

まず、ルートのGPXファイルをウォッチにインポートしなければいけないが、GPXファイルとはGPSデータを基にしたルートのファイル形式である。GPXファイルは① 自分で作成するパターンと ②既にあるGPXファイルを使用するパターンの2種類に大きく分けられる。

  1. 自分で作成するパターン
    ガーミンやスント、Strava(有料機能)といったアプリにはルート作成機能があるが、それらを使ってまずルートを作成する。例えば、沖縄に旅ランに行くが、うるま市あたりの海中道路といった海沿いのルートを走りたいが、土地勘が無い。といった時に、まずアプリでルートを作成する。

沖縄の史跡・勝連城跡が発着点の21kmシーサイドランコース(Strava有料機能より作成)

そして、ルート作成後にGPXファイルをダウンロードし(↑GPXをエクスポート)、そのファイルをスマホに転送する(AirDropやメールなどで)。転送時にスマホ側のどのアプリでそのGPXファイルを開くか、を問われるので、COROSを選択 → 右上よりGPXファイルを保存 → 「ウォッチに送ります」からウォッチに転送。

コースプロフィールはCOROSのスマホアプリやウォッチでも確認できる

ガーミンもスントもアプリでルート作成ができることを考えると、将来的にはCOROSもアプリでルート作成ができるようになるのではないかと思う(あくまで予想)。

ウォッチにルートファイルを転送するのは簡単

APEX 2ではトレイルランモードでもランモードでも設定のところからナビ設定を選択すると、ウォッチに取り込んだルートの一覧が表示されるので、そこからルートを選択してナビ機能をスタートさせることができる。

2.. 既に作成されてあるGPXファイルをピックアップする
すでに自分が走り終えたことのあるコースを、例えば友人知人にシェアする時は、そのGPXファイルを転送してあげれば良い(その逆も然り)。

COROSアプリからラン履歴を辿って右上をクリック → GPXデータをエクスポート

今年の7月にアメリカ・オレゴン州のユージンに行ったのだが、そこで走ったPre's Trailがすごく良かったので、そのコースを友人知人にシェアするとしたら、そのGPXファイルを転送してあげる(地図機能があるウォッチを持っている人であれば)といったやり方である。ちなみに、こういったGPXデータのルートはマイルートに追加することもでき、お気に入りのマイコースや行きたいルートなどをピックアップしていく、という感じで使用するといい。

ここまで地図機能について紹介してきたが、APEX 2の音楽再生機能については、音楽機能対応のCOROSウォッチ(APEX 2など)とPCを充電ケーブルで繋ぎ、ウォッチ内のMusicというファイルにmp3ファイルを転送。その後、ウォッチで音楽機能を選択して、Bluetoothイヤホン・ヘッドホンとペアリングして音楽再生を楽しむ、という感じでもちろんランニング中にも音楽は聴ける。ちなみに、アーティストごとの各フォルダの音楽ファイルを転送したのに、ウォッチ側にはフォルダごとで表示されない…(音楽ファイルのそれぞれの一覧表示となっている)これは改善して欲しい点でもある。


ロード / トラックランナーがAPEX 2を買うとしたら

以下のようなパターンに当てはまるのではないだろうか。

  1. COROSユーザーの2台目として購入
    もう既にPACE 2といったCOROSのロード / トラックランニング用のGPSウォッチを持っている人が、COROS製品の良さを評価したうえでPACE 2にない機能などを求めてAPEX 2を2台目のCOROSウォッチとして購入するパターン。ジョグ、ロングランなどはAPEX 2で音楽を聴きながら走りたい、地図機能を使いたい。ワークアウトやレースはPACE 2を使用。

  2. 他社の1台を持っているが、2台目を購入
    COROS以外のブランドのGPSウォッチ、またはスポーツウォッチを持っているが、COROSの製品が気になるので2台目として購入。各ブランドの製品比較などに最適。

  3. 買い替えでメイン機として購入
    COROS以外のブランドのGPSウォッチやスポーツウォッチを使っていたが、メイン機としての購入。APEX 2はPACE 2よりも少し重いとはいえ、ナイロンバンドで42gと、他のブランドの製品と比較すると軽い部類に入る。PACE 2を持っていないのであれば、ワークアウトやレース、ジョグやロングランなど全てのランニングに使用するためにメイン機として購入する。もちろん、音楽機能や地図機能も使いたいので、PACE 2もいいけど、APEX 2にしてみた、というパターン。

以上のようなパターンが考えられる。COROSのGPSウォッチはバッテリー稼働時間もさることながら、デザイン性も悪くないし、アプリの操作性、視認性も高水準であると感じている。

今回は、COROSの新製品であるAPEX 2やおもに地図機能についてフォーカスしてみたが、今後はCOROSが誇る無料のトレーニング分析ツールのTraining Hubや、ユーザーのパラメーター評価システムのEvoLabといったツールの活用法について書いてみたいと思う。

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