2024ボストンマラソン男子8位の森井勇磨選手
2024ボストンマラソンが始まった頃、私は夜の22時30分からランニングを行なっていた。普段はこの時間は走らないのだが、今月は私にとって慌ただしく、4日連続で22時30分からのランニングを行なっていた。
普段しない時間帯のトレーニング後、24時過ぎにシャワーを浴びたらすぐに眠くなって寝てしまうのだが、この日はシャワーを浴びて、その後にボストンマラソンをライブ配信で途中から観ていたいたのだが、この日だけはハッと目が覚めたのだ。
男子はシサイ・レマ選手が前半から独走大勢を築きそのまま逃げ切り優勝。3連覇がかかっていたエヴァンス・チェベト選手は3位に終わった。この日は起伏だけでなく暑さもあり、ほぼ全ての男子エリート選手が後半にペースを落とすポジティブスプリットだった。
しかし、終盤に順位を押し上げて2時間09分59秒と自己記録を4分も上回る快走で見事に8位に入ったのが、アマチュア選手の森井勇磨選手だった。
森井選手はレースのスタートの下り坂から先頭に立って飛ばした。3kmほどで集団に追いつかれてしまったが、そのままズルズルと順位を落とすわけではなく、パリ五輪男子マラソン日本代表に内定している大迫傑選手を32kmからの心臓破りの坂で引き離す。ラストの2.195kmは出場選手中で2番目に速いラップでカバーし、2桁順位から8位までに順位を上げて、ボストンでは瀬古俊彦さん以来の日本人2人目のサブテンでフィニッシュした。
ボストンのコースは片道コース(非公認コース)であるが、起伏が多いのでフラットコースでは2分ぐらいは速くなるのではないかと思う。
京都市を拠点にする森井選手は「日本人2人目のボストンでのサブテン」という快挙で8位に入り、これをうけて京都市はスポーツ栄誉賞を授与することを決めた。私も彼と同じく京都市出身なので、この栄誉賞がいかに素晴らしいものであるかを理解している。
森井勇磨って誰?
スポーツ紙の記事等などですでに触れらていると思うが、森井勇磨選手は現在33歳のアマチュア選手で、山梨学院大在籍時に箱根駅伝を走り、その後2つの実業団チームに在籍していた。ここでは、市民ランナーという表現を用いなかったが、アマチュア選手を定義するとしたら、試合に出る際に費用補助が無い選手(つまり自腹)。これはフルタイムで働いているかどうか、などは関係なく選手の「レベルがアマチュアであるかどうか」の話である。
日本の場合では世界でも珍しく実業団という制度があるので、実業団選手が自腹で試合に出るということは通常珍しい。今回、森井選手は2月の京都マラソン優勝者としての派遣選手としてボストンに出場しており、費用補助があったが、基本的にはアマチュア選手である。
では、逆にこのスポーツにおけるプロ選手を定義するとしたらどうか?
それは、実業団チームも含めて、スポンサーや招待選手として試合に出ることが当たり前になっている状態の選手といえる。つまり、自腹で試合に出ることがほとんどない選手とも言い換えられる。そういう意味では、学生でもプロ選手といえる「レベル」の選手は多くいるし、学生で企業の広告に起用されているケースも多々ある。
今回活躍した森井選手は、今回のボストンの記録や順位をもとに今後たくさんの大会に招待されたり、スポンサーがつくかもしれない。これは、今後彼がプロ選手化していくことを予想するものであるが、そこでは誰をマネージャーに指名して一緒に仕事をするかが最も重要となる(基本的には交渉のプロに任せたほうが良い)。
私は京都市出身なので、森井選手のことは彼が高校の時から少し知っていたぐらいである。1kmで100mの起伏がある原谷(京都市北区)は森井選手がボストン対策で走りこんだ場所だそうだが、私は行ったことがないので、今度帰省した時に走ってみたいと思っている。
マラソンの中でもWMMは特別
マラソンという競技は陸上競技の中でも最もバリエーションのある種目だと私は思っている。コース形態、起伏の有無、開催時期、一般ランナー向けのサービス内容など。マラソンのバリエーションの多さが価値を高め、WMMという格式高い大会をカテゴライズ化し、ブランディングを高めている。
私は昨年、8年ぶりにマラソンのサブスリーを達成し、今年のシカゴマラソンにエントリーしている。アメリカもイギリスもドイツも行ったことがあるが、WMMには出場していないので、今後数年間でシカゴ → ボストン → ベルリン → NYC → 東京 → ロンドンの順番で6つのメジャーマラソンを走りたいと計画している(シドニーがWMMに加入したらシドニーも走る予定)。
そのために、今回のボストンマラソンの森井選手の活躍は非常に刺激的でモチベーションの上がるものだった。ボストンの前には原谷でトレーニングするのもアリですね。
WMMの中でも、起伏と歴史があるボストンとNYCが含まれているのは、このスポーツが記録以外の価値を見出すことができるということだと理解している。日本ではどうしても起伏のあるコースとなると敬遠されてしまう傾向があると思うが、私が今後マラソン文化をもっと深く学ぶためにもWMMは全て走ってみることが重要だと思っている。
PS:本記事内の写真はニューヨークのフォトグラファーのJoe Haleさんがフィニッシュエリアで撮影したものです。彼は、私がアメリカに行った際に出会ったフォトグラファーであり、本人の了承を得て本記事で使用しています。YouTubeなどで平然と出典先を明記しない写真素材の無断転載を行っている人が散見されますが、無断転載はお控えください。ランナーだけでなくフォトグラファーにもリスペクト、敬意を払っていただけますと幸いです。
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