東洋大学とマラソン
東京マラソンを見ていて、青山学院大卒の選手だけでなく、東洋大出身の選手の活躍も目立った。
青山学院大出身の選手は4人がサブ2:09(そのうち3人がサブ2:08)だったが、東洋大出身の選手も4人がサブテンで、そのうちサブ2:08が3人だった。
なかでも、サブテンをこれまで1度も出したことのない高久龍と定方俊樹が、これまでにサブテンを4回出していた設楽悠太に勝ったことが印象的だった。
高久は自己記録を3分17秒更新する2:06:45(日本歴代4位)、定方は自己記録を8分48秒も更新する2:07:05(日本歴代9位)という好記録だった。
【東京マラソン2020】
8位 髙久 龍(ヤクルト)2:06:45(日本歴代4位)
10位 定方 俊樹(MHPS)2:07:05(日本歴代9位)
16位 設楽 悠太(Honda)2:07:45
27位 山本 憲二(マツダ)2:09:41
31位 竹下 和輝(自衛隊体育学校)2:11:36
40位 設楽 啓太(日立物流)2:12:13
59位 日下 佳祐(日立物流)2:15:42
DNF 齋藤 真也(天童東村山陸協)
DNF 上村 和生(大塚製薬)※ペーサー
(以下の写真は上位選手から順に)
東洋大学出身選手のマラソン10傑
2020年3月4日現在(カッコ内は記録を出した時の所属)
1. 設楽 悠太(Honda)2:06:11(日本歴代2位), 2014年卒
※ ハーフマラソン・マラソン元日本記録保持者。サブテン計5回(4年連続)
2018年東京マラソン2位、2019年ゴールドコーストマラソン優勝(大会新)
2. 髙久 龍(ヤクルト)2:06:45(日本歴代4位), 2015年卒
3. 定方 俊樹(MHPS)2:07:05(日本歴代9位), 2014年卒
4. 服部 勇馬(トヨタ自動車) 2:07:27, 2016年卒
※ 東京オリンピックマラソン日本代表、サブテン計2回
2018年福岡国際マラソン優勝、MGC2位、30km日本学生記録保持者(1:28:52)
5. 山本 憲二(マツダ)2:08:42, 2012年卒
※ サブテン計3回(3年連続)
6. 黒崎 拓克(コニカミノルタ)2:09:07, 2008年卒
7. 石川 末廣(Honda)2:09:10, 2002年卒
※ リオオリンピックマラソン日本代表(36位)、サブテン計3回
8. 山本 浩之(コニカミノルタ)2:09:12, 2009年卒
9. 北島 寿典(安川電機) 2:09:16, 2007年卒
※ リオオリンピックマラソン日本代表(94位)
10. 大津 顕杜(トヨタ自動車九州)2:10:01, 2014年卒
(間違いがあったら教えてください)
サブテンが9人。
1、2、4、5、8位の5人がMGCに出場し、服部が2位に入って東京オリンピック代表の座を獲得した。
1位の設楽は今回を含め5回サブテンを出している(ちなみに川内優輝は13回サブテンを出している)。4位の服部は大学時代から高いロード適性を見せていたが、福岡国際の走りからすれば、彼もサブ2:06のポテンシャルを感じさせる。
8位の山本は私と同期である(1986年世代。彼と面識はない...)。私の同期は、佐藤秀和(5000m高校記録保持者)、佐藤悠基(10000m高校記録保持者)、竹澤健介(5000m大学記録保持者)というスター世代。
そんな中で、高校時代にサッカー部だった山本が、いきなり大学1年の全日本大学駅伝で起用された時はびっくりした(私は1年の時の全日本大学駅伝は立命館大の補欠だった)。
(※)サッカーダイジェストが特集した山本の記事
2020年3月5日現在で日本人のサブテンランナーは112人いるが、その中でも高校時代に陸上部でなかった選手はおそらく彼だけだろう(他にいたら教えてください)。
山本は2016年のニューヨークシティマラソンで4位に入っているが、サブテンを出すことやWMMのレースで4位に入るためには、どうやら高校時代に陸上部に所属することは必須条件ではないようだ。
東洋大(川嶋元監督、酒井監督)は、設楽や服部など「勝負に勝てる選手」を多く輩出している(今回は大迫傑が日本新記録と、突出していたがそれ以下の日本人選手の勝負を制したのが高久だった)。
そして、7位の石川さんと9位の北島さんは記録こそ後輩に抜かれたものの、2人ともにリオオリンピックでは日本代表として日の丸を背負った(東洋大長距離出身は設楽悠太も10000mでリオオリンピックに出場した)。
上の10傑には名前が入っていないが、2004年卒の久保田満さん(旭化成)は大阪世界選手権マラソン日本代表(56位)であり、2005年卒の北岡幸浩さんは2011年大邱世界選手権マラソン日本代表である(37位)。彼らもまた、勝負強さを持っていなければ日本代表にはなれなかっただろう。
ちなみにマラソンとは関係ないが、2009年卒の大西智也(旭化成コーチ・山本と同期)と、2010年卒の釜石慶太(仙台育英高で都大路の女子2制覇)は指導者として活躍している。大西は2010年の世界ハーフで9位に入るなどロード適切は高かった(しかし、マラソンでは結果を残すことができなかった)。
どの世代が卒業後に輝くか?
2014年卒:設楽悠、設楽啓、定方、大津
設楽悠:次はどこを目指すのか...?
設楽啓:一歩ずつ前進中
定方:4回目のマラソンで覚醒
大津:サブテンまであと一歩
大津は別大でサブテンまであと一歩の走りだったので、来期には期待が持てそうだ。また、設楽啓太もマラソンを重ねるごとに経験値を積み重ねているので、双子でのサブテンを目指したいところ。
この世代の1つ下の2015年卒の世代の副将が高久で、主将は田口雅也(Honda)。田口は2020年の青梅マラソンで優勝したことで、当然マラソンでも期待が集まる(Hondaは設楽悠だけでなく東京マラソンで好走した木村慎もいる)。
2016年卒は東京オリンピック代表が内定している服部勇、2017年卒には2018年日本選手権5000m優勝者の服部弾馬(トーエネック)の服部兄弟がいる。
また、2019年卒には山本修二(旭化成)、2020年卒には2019年のユニバーシアードのハーフマラソンで金メダルを獲得した相澤晃(旭化成)がいる。
東洋大出身の選手にはマラソンでの成功が期待できる選手がまだまだたくさんいる。2020年からの10年間では一体どれだけ多くの東洋大出身の選手が活躍するだろうか。
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