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被災地を訪れて
はじめに
こんにちは
法政大学キャリアデザイン学部2年の岩崎泰知です。
今学期から坂本ゼミに入り、さまざまなことを学びました。
ここでは、特に印象的だった福島の被災地を訪れて感じたことを記録していきます。
原発被災地
これまで何度か東日本大震災の被災地に足を運びました。訪れたのはいづれも宮城県や岩手県の太平洋沿岸部で、津波の被害が非常に大きかったエリアでした。街が一瞬で破壊され、多くの人が亡くなり、それでも諦めなかった人たちが作り上げた、新しく綺麗な街並みを何度か見てきました。
しかし、今回訪れた被災地はそうではありませんでした。13年前の当時の街がそのままそこにありました。雑草が生い茂り、小さな木も育った、映画やドラマでしか見たことのないゴーストタウンそのものでした。
震災遺構の浪江町立請戸小学校を訪れました。田舎の小学校にも関わらず、奇抜なデザインの建物をもったおしゃれな学校でした。一階の天井の高さまで達した津波によって、教室や体育館が破壊されていましたが、小学生たちの勇気ある行動もあって全員が無事に避難できたといいます。2階にあがって窓から外を見ると福島第1原発が見えました。また、海も目の前で、地震、津波、放射線の3種類の被害を受けた数少ない小学校です。
また、街の中には放射性物質を含む瓦礫の仮置き場や簡易の焼却場がありました。焼却場はひとつしか見ることができませんでしたが、以前は街の至る所にあったそうです。それだけ捨てるのが難しいゴミということが分かります。
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復興の様子
街は荒廃したエリアもありながら、除染が早く終わったエリアでは新しい建物を見ることもできました。さまざまな作業に携わる方のための大きなビジネスホテルや、労働者を町に戻そうと、最先端の素材を使ったタオル工場もありました。また、FH2Rという水素エネルギーの研究施設もありました。ここでは原子力発電での失敗を反省し、クリーンなエネルギーである水素の技術確立を目指して研究されています。街中でも水素で走る車を見ることができたり、新たなエネルギーの街として生まれ変わろうとする様子がみえました。
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また、大熊町には総工費40億円の新たにつくられた街がありました。一軒家が多く立ち並んだ住宅街の隣には美術館のような小学校や、飲食店、コンビニ、温泉施設などが建てられ、街の中で生活が完結するようになっています。
これからの福島
今回被災地を訪れたことで、これまでどこか遠くの他人事だと考えていた問題が意外と近くにあると感じました。原発を悪者と捉えるのは簡単ですがこれまでも、これからも原発なしでは生活できないのが日本の現状で、世界の現状です。実際に福島第1原発は東京電力の発電所であり、関東に住む自分たちのせいで一つの街が壊れたともいえます。また、放射性物質の問題はこれからもなくならない、若い世代が解決しなければならない問題だとも実感しました。
一方で、被災者の方がこの問題をどう乗り越えていくのかも、重要であると感じました。今回被災地を訪れた際には福島出身のガイドさんがいらっしゃったのですが、東京電力や国に対して強い憎しみをもっているように感じました。地震や津波で街が完全に壊れたわけではないものの、原発事故によって街をでなければならないという、福島特有の問題が被災者の怒りのやり場をなくし、前を向けなくさせているように感じました。除染も進み、街が生まれ変わるには地元の方の協力が必要不可欠であるので、事故の責任の所在を明らかにしたり、真相究明を急ぐことも重要であると感じました。
おわりに
初めて原発の被災地を訪れて、新たな見方や考え方が生まれただけでなく、疑問も生まれました。例えば、原発事故の前は国からの交付金で街が潤っていたが、このようなことになってしまったことついて当事者たちはどのように感じているのかなど、より詳しく知りたいと感じました。実際に請戸小学校の建物には、電源立地促進対策交付金施設という文字が刻まれており、交付金によって奇抜なデザインの小学校が建てられたことが分かりました。これからも被災地について学んでいきたいと思います。