下町風情を味わう #七五三
浅草散策の最終目的地に設定したお店。下町の味と言えばもんじゃとお好み焼き、こういう町は奇を衒わずに王道を楽しむのがいい。信頼できる浅草の住人がおすすめしてくれた「七五三」を事前に予約しておいた。
浅草は毎月祭りをやっているらしい。この日(6/11)は鳥越祭りだったらしく、男たちが豪華な神輿を率いて練り歩いていた。下町の枯れないエネルギーを感じながら店に到着。町の賑わいを吸収して増幅させる場所。
お腹が空いたのでまずはがっつりお好み焼きを食べたい気分。定番の豚玉は有無を言わさず決定し、もう1つは牛すじに覆われたねぎこん玉を注文。焼くと全て同じ見た目になってしまうので今の内に写真撮影。粉物は旨いが"映えない"のが問題。
目の前で焼いてもらえるので自分はただ待っているだけでいい。この日は3人体制で途切れない客を捌く。お好み焼きを担当してくれたお兄さんは2卓分を交互に焼き上げる手練れ。忙しく動きながらもふっくら焼き上げるプロの技に感心するが、焼いている本人は何でもない顔をして働き続ける。
正直お好み焼きはソースとマヨネーズの食べ物だと思っていたが、できる人が作れば生地の食べ物になる。軽く余裕を持たせて焼き上げている分、口の中で解けて具材を感じられる。固すぎると漠然とした粉の塊に、緩すぎると鉄板の上でバラバラになってしまうので焼き方が本当に大事だと思う。
まずはキャベツを食べやすいようにコテで小さく刻むのだが、隣の卓のおばちゃんは祭りの太鼓を叩くかのようなリズムで鉄板を奏でる。それは単調ではなく利き手と逆手のパワーバランスから生まれる独特のリズム。もしくは祭りの町に受け継がれる遺伝子的な何かなのか。昼間の祭りが夜になってこのお店に引き継がれているようだった。
もんじゃと言えば個人の小さな鉄のヘラで直接食べるのが楽しい。友人と話をしながらちまちまと食べ進め、気付けばほとんどなくなっていた、なんてこともあると思う。そうやって町をサポートしてきた脇役的な存在なのだろうか、町の活力を生み出すための大事な場面をサポートする。
食べ足りないと追加したカルビチャーハン。ラストオーダーは終わり、もうすぐお店が閉まる時間。大胆な炭水化物でパッと締めて店を出る。帰りに暖簾をくぐって外に出た瞬間の幸福感。浅草はいい町だった。
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