『蛍火艶夜』のはなし④ - 2024/12/10 日記#244
・大見出し以降”単行本”のネタバレを含みます。
・前回のnote
・私のnote、蛍火の話は今でもそこそこ閲覧多いのに、すっかりカラオケ行この方が伸びちゃった。
・ついに蛍火感想シリーズも4記事目。描き下ろしを読みながら、「ああ、この漫画は本当に今日で終わりなんだ」と寂しく思ったけど、巻末のお知らせ見て、驚いた。まだ、蛍火はまだ終わらない!⑤も書きます。
・1万3000円だって。今4000円ちょっとのポケモンSV買うのにうだうだ悩んでるけど、蛍火に1万3000円は1秒も悩まずに払えるな。漫画の愛蔵版の値段ってどこもこんなもんなのかな。本編は人に勧めまくって買わせたけど、さすがにこれは勧められない。小話で色々と決着が付いて欲しいな。
・この時代に、しかもニッチなBLジャンルの中でも更にニッチな特攻隊、悲恋系。それでもこんな高価な愛蔵版を作って売れると決断してくれたことが本当に嬉しい。中身は薄消し加工でR-18。紙の本で、こだわり抜いた作画を最小限の修正で見られるのは本当にありがたいこと。
・私はね、漫画の気合の入ってないエロシーンが嫌いなんですよ。お綺麗なだけののっぺりした絵のエロシーンなんてない方がマシ。もう絶対にエロく描いてやるって方と、構図やアングルもあらゆる書き込みも、あんまり気合を感じない方って結構な差がある。それは作風や意向によって変わるので別にいいんですけど、個人的な好みとしてはエロを入れるんだったらめちゃくちゃエロく描いてやる!って伝わってくる方が良い。amaseさんの絵は別にエロシーンじゃなくても普通に身体つきからしてエロいけど、それは置いといて、とにかくこだわり抜いて、どうせ白抜きされるのにドアップのカット入れたりとか、トーンの色とか、無限に見どころある。大好き。
・まだ1話しか出てなかった時はamaseさんの既存ファンと偶然たどり着いたようなファンしかおらず、SNSでもごく数人がFAあげてた程度だったと記憶している。だから本当に失礼だけど、ここまで大きなことになるとは全然思っていなかった。amaseさんも、どこか世界の隅っこでこっそりひっそり暮らしている同じ趣味の人たちが読んでくれたらいいな、という思いで描いておられたと思うので、そうではない人たちにまでこんなに波及するとは思っていなかったんじゃないかな。
・私は第二次世界大戦下の特攻隊が舞台であることにものすごく意味を見出しているというのは何度でも書きたい。そういう人にちゃんと届いてるよって伝えたい。amaseさんの苦しみを理解することは出来ないけど、読者側も似たような葛藤を抱えながら読んでいることを共有したい。
・来年初夏予定の個展も絶対絶対行く。大原野くん(ALL OUT!!)も一緒にね。
・あとはドラマCD化でもしてくれたら完璧なんだけどな。
この先ネタバレ
・下巻分の内容も毎回ちゃんと単話で買って読んでたんですけど、特にはnoteに書いてなかったので全部書く(よしなま)
・amaseさんはあまり考察する、させるような時代の流れは好きではないと書いていたし私もそれに賛同するので、彼らを詮索するような深堀りはあまりしないようにフラットに読んではいるんですが、まあ別に遠慮せず書きたいことは書きます。
坂ノ上庚二少佐編
・この作品の中で特別に好きなキャラクターは志津摩くんだけど、一番好みなのは伴くん、そしてこのお話かもしれない。
・素行も態度も言葉も見た目も、何もかもが野蛮極まりない伴くん。一見、というか事実喧嘩も強いであろう伴くんが周りとは馴染めず、いじめどころか強姦被害にまであったのは、伴くんが強いからこそ卑劣なやり方で屈服させて憂さを晴らしたのかなと思う。
・一方、別の意味で軍部には馴染めていない坂ノ上。今まで卒なく生きてきたからこそ少佐という地位まで上り詰めたのだろうが、仲間内での酒の席や女には興味がなく、どこか魂の抜けたような状態で生きているように見えた。
・生きるのが下手な伴くんと、上手に生きてきたけどそれは敷かれたレールの上をただ無心で走っていただけの坂ノ上、まさにボーイミーツボーイ(ボーイって年齢でもないが)のお話だった。
・強姦に逆らわない伴くんは、もちろん権力がすべての軍内でいくら伴くんほどの気丈さを持っていようとも上司に逆らえるはずもないが、それでもどこか、自暴自棄な諦めや一種の自傷行為としての側面があったように見える。
・坂ノ上は、男に犯された男の姿を見た瞬間、リミッターが外れてしまったんだろう。今まで変態だったことはないけど、伴くんに出会って変態を解放してしまった。嫁もいて、子どももいて、しかしそこに熱い情はない。坂ノ上は本当は男が好きな人だったのかな。
・伴くんは多分そうじゃない。何一つ望んでない性交ばかり。しかし潤滑油1本で行為自体に快楽が伴ってしまったから、きっと今まで伴くんの周りは敵ばかりだったのに、好意を寄せてくれる人に出会ってしまったから、流されちゃったんだろう。だけど人生の最後に本気で伴くんと向き合ってくれる人に出会えたことは、彼の辛いばかりの人生にとって少しの幸福のように思える。強姦はダメだけど。
・伴くんが最後の最後で快楽を覚えてしまった様子は、エロ漫画としてマジで最高の場面。私はいつでもこの瞬間のためにエロ漫画を読んでいる。エロ小説も。声を上げない伴くんは世界一エッチ。離れがたく思いながらキスするシーンも大好き。坂おじの台詞がおぢ過ぎるのもキモくて良い。
・坂ノ上編のクライマックスシーンは本当に言葉に出来ないくらい大好き。漫画でしかなし得ない崩れた表現が美しくて、何度も読み返してしまう。普段BL以外の漫画を読まないので、漫画ってこういう表現も出来るんだ、と驚いた。
・表に出てくる部分はどこまでも気性が荒くとっつきにくい伴くんだけど、決して心は折れないところが彼の高貴で美しい一面。しかし、最後の最後で漏らす「人間向いてなかった」「もう生まれたくない」というあまりにも弱々しい本音。坂ノ上から貰った刀を抱いていた姿。これが本当に伴くん自身が発した台詞なのかはわからないが、少なくとも「言いたいことだけ話してもらう」というamaseさんの坂ノ上編のスタンスを汲むのなら、伴くんが伝えたかったことなんだろうと思う。本当の伴くんはみんなが思うほど強くも逞しくもなくて、自分を守る為にそう生きざるを得なかったんだろうな。
・逆に坂ノ上はきっと育ちもよく控えめであまり派手なタイプではなく、周りもそういう印象を持っていたと思う。でも実はものすごく衝動的な気質で自分の意見を通してしまう強引さもある、見た目やこれまでの生き方よりよっぽど激しい人に見える。成功するか牢獄か、実は両極端だったのは坂ノ上の方かもしれない。
・どのカップルよりも運命めいた出会いと結末で、どうか二人が生まれ変わらず広い海で安らかに眠っていることを願う。
・私はこの作品の二次創作を読まないけど、こんな形で本人から現パロを拒絶されるのはちょっと面白かった。
鳴子部隊編
・鳴子部隊編は、まさにシリーズ最終話に相応しいお話だなという印象だった。
・1話の更新の日が4月25日。他の地域はすっかり葉桜の頃だと思うが、私は北海道に住んでいるので本当にぴったり桜の季節だったのをよく覚えている。
・第一印象は、ついに桜花がきたか、と思った。これまではレイ戦(本編に則った表記で)や99式などが登場したが、ついに死にゆくためだけに作られた兵器の登場に心が重くなった。
・私調べだと商業BL史上おそらく最も太眉で、きっと色白の綺麗な肌にそばかす、大きな目に小さな手。もう本当に、ヒソーチョのキャラデザがあまりにも可愛い。個人的にはタレ目でまつ毛ぱちぱちのマエも可愛くて好き。
・部隊で一番背の高いソノと、軍へ入ることが出来る最低身長ギリギリのヒソーチョ。大きなソノが小さなヒソーチョをぎゅっと抱きかかえる姿は、まさに大きなイッシキの下に携えられた桜花。この二人がわかりやすかっただけで、実は他の子たちにも象徴となるものがあったのかな。
・ヒソーチョへの恋心を自覚していたソノは、いつもどこか息苦しそう。罪悪感と止められない欲望に挟まれている。一方のヒソーチョは部隊のまとめ役として気丈に振る舞っているが、心も身体も日に日に限界へ近づいていっている。自分の手で桜花の発射ボタンを押し、部隊のみんなの命を握っているストレスは、私には到底計り知れない。
・しかし部隊内の雰囲気はかなりよく、にぎやかな個性派メンバーがそれぞれ元気に過ごしていたからこそ、ソノもヒソーチョもなんとか立っていられたんだろう。
・私が一番好きなのはクレ。きーやの死に寄り添い、マエの秘めた思いに寄り添い、ヒソーチョの気持ちに寄り添い、背中を押し、常に誰かの心の支えとなっていた。そんなクレがフユの行動に誰よりも心を乱し、些細な言葉にも激昂し、感情を露わにしていたのが本当に良いシーンだった。クレの台詞が好き。「この世に意味のある死も生も・・・意味の無い死も生も無い!!」
・この漫画はエロ漫画なのでちゃんとエロにも言及しますけど、このカップルの良さはやっぱり体格差。ソノはぐっと頭を下げて、逆にヒソーチョは真上を見るくらい頭を上げて、どこ切り取ってもエッチ。個人的な一番のお気に入りシーンは、ソノがヒソーチョのカポックの紐を解くシーン。
・これまで章タイトルになっていた人は残らず死んでいったので、鳴子部隊も最悪全滅が想像出来る中、メイン二人が生き残ったエンドだったのは本当に最終話に相応しいエンディングシーンに思えた。最後のドラマティックな別れのシーンは、まさにシリーズ最終章らしい感動のエンディング。もう描き下ろし読まずにここで終わっておけば良かった。
・そういえばこの話で志津摩の乗った戦闘機が練習機だったことが言及されている。やっぱり志津摩が乗っていったのは白菊だったんだね。
淀野と正雄
・大好き大好き大好き!ありがとう。
・私の大好きなジジイと若者の話がこんなところで回収されるとは思わなかった。正直、この話をめちゃくちゃ読みたかったけど、それと同時にやぎしずを見守ってきた立場として、八木の息子の存在はちょっと心が苦しくなる。でも、それが誰かの希望に変わったのもこのお話だったと思う。
・やんちゃでクソガキな正雄が可愛くて仕方ない。八木さんと似てるのは顔だけで、きっと八木さんが正雄と同じ年だった頃はこんなクソガキではなかっただろう。
・この時代でもまだまだ同性愛への偏見が強いであろう中、淀野の好きを否定せず、受け止める正雄は凄い。周りにもそういう人がいたのかな。パパのことは流石に気づいてはいないかな。
・志津摩以上に心奪われる人には出会えず、その志津摩にも最愛の人がいて、ちゃんと双方向だったこともわかってしまって、それでも生きるしかない淀野はこれからどこに魂を置けばいいのだろう。自分の感情に蓋をして気づかない振りをしてなんとか生きてる淀野を楽にしてあげる方法はもうこの世にはないんだろうな。志津摩って罪な男。
・ガキと真剣にやり合い、本音をぶつけられる淀野は凄い。その形は恋愛ではないけど、正雄くらいのお節介焼きがいたほうが淀野には丁度良さそうだよね。顔を見るのも辛いかもしれないが。
・この話で初登場、志津摩の姉の子どもこと柚子ちゃん。まさか出てくるとは思わなかった。もう見るからに田舎に暮らすお転婆娘で可愛いったらありゃしない。志津摩が生きていたら、きっと二人は叔父と姪でいい関係を築けたんじゃないかな。気が合いそう。でも、志津摩は家族とは疎遠になってそうな気もするな。
・こちらと後述する戦後を読んで、おそらく河原版の小話で柚子と正雄が回収されるのではないかと予想している。じゃないと終われないよ。
・前回感想を書いた時に、八木さんは志津摩の実家の住所を知ってどうするんだろうと書いたけど、答えは実家に行こうとする、でした。正雄をしつこく誘っているのはどうしてでしょうか。一人では行きたくないから?柚子に会わせたいから?でも、誘うからには少し軍人時代の話を息子にする覚悟は出来たのかもしれない。あと、妻とは離婚してるみたいだね。人生だ。
・淀野も正雄に「・・・静岡に行けば・・・出来るかもしれないよ」とまた敵に塩を送るような台詞。淀野は本当に自分で自分を追い込むような発言が多い。でも言わずにはいられないんだろうな。それが彼の優しさなのかなんなのかはわからないけれど。もし正雄が柚子ちゃん連れて戻ってきたら、写真なんか見せられたら、また淀野の心は引き裂かれてしまうのに。
・巡り巡って正雄のもとへと拉致されてしまった志津摩の写真。なんか、結局いずれは八木さんのもとへ行くんじゃないかと、そんな気がする。
戦後
・酷いよ。あんなに感動的なラストを見せておいて、20年経ってこれかよ。あの感動返せよまじで。
・ヒソーチョの気持ちも痛いほどわかるんだ。ヒソーチョもずっとずっとソノのことが好きなんだよ。きっと片時も忘れたことはない。だから会えなかったんだ。だけど、自分と一緒にいることはソノにとっての幸せではないって思ってる。実際、二人が共に歩んで行くのはまだ難しい時代だと思う。だけど振るなんて真似も出来ない。思い合ったまま、今にも切れそうなボロボロの糸一本でも繋いでいたいんだ。ずるいよ。
・あの、最後の別れの瞬間だから、きっとヒソーチョは素直になれたんだな。そこで全てが終わるから。あの空間だけは、誰にも何も言わせない。
・もう少し時代が違えばヒソーチョは素直になれたんだろうか。でも、あの時あの状況でなきゃヒソーチョはソノには惹かれていなかったかもしれないね。
・この二人も河原版で回収がありそうな気配がしている。こんな終わり方あんまりだ。
・ヒソーチョがスイッチを押せなかった桜花に乗っていた神力中尉。あの時はなぜ落とさなかったと激昂していたが、20年経って泣きながら感謝をするという、なんとも苦しいシーンだった。あの時は正しいと心から信じていた選択も、時が経ってみれば全然正しくなかった。じゃあヒソーチョの誰よりも小さな手で、命の最後の手綱を切ってしまったきーややマエのことは?ソノのことだけでなく、この場に顔を出すのは相当つらいことだろう。みんなの元気な顔を見れば見るほどに。
・ここでもソノに寄り添い続けるクレ。クレのことはしろくろで言及するが、あのドラマティックな別れも、ソノと別れた後に大泣きしていたヒソーチョのこともずっと見守ってたクレは、それでも余計なことは言わずにただ寄り添うだけ。フユの御位牌とは少し距離をあけて、きーやとマエの御位牌が並んでる。どこまで優しいんだこの男は。容姿もやってることもほとんど変わらず、クレだけずっと時が止まっているみたい。クレのこと、わたし本当に好きだ。
・戦争のない世の中、命の危険がない毎日、家があって家族がいてご飯も仕事もある、豊かで平和な暮らし。こうやって書けば理想的な生き方かもしれないけど、みんなで少しのご飯を囲んで笑いあって、好きな人に触れられる時間と比べたら、ソノにとっては何の価値もないんだな。戦争のある世の中なんて最悪だけど、絶対にない方がいいけど、この世に戦争というものがあってしまった以上、そこだけが居場所の人も出来てしまうんだよな。そして、今どきならわざわざ戦争に行くような人たちの多くはきっと居場所のない人たち。戦争は悪だと思うけど、そこを拠り所にするしかなかった人たちのことは責められない。正しい選択が何なのか、私にはわからない。
・悲しいな・・・悲しいな・・・って読み進めてたら急に殉国の五烈士が映画化してて笑顔になっちゃった。なんでだよ。伴くんいないし。坂ノ上家の息子、娘は坂ノ上にお顔立ちが似てるね。あんなどうしようもない変態だったけど、その事実は彼らには知られるべきではないし、父に誇りを持って生きていって欲しい。短絡的では、あったかも、ほんのちょっとだけ。ところで、メンバーも違うし、と伴くんのことを知ってる口ぶりだった淀野は、坂ノ上と伴くんの関係性も知ってたりするんでしょうか。
・「ママから悪い男は捨てろってきつーく教えられてるのー!」と走り去る素敵な女の子。これは他の人の感想をチラ見してそうだったのか~と思ったけど、おそらく伴くんと血が繋がっている子。言われてみればお顔が似てるし、伴くんが過去女を孕ませて捨てたという台詞とも合致する。
・塚本は元々整備兵だったが、戦後も車の整備を生業にしている様子。和さんの為に丁寧に丁寧に整備したあの一夜が、塚本にとって何より一番和さんを思い過ごした時間だったんだな。他の子たちと比べて恋い焦がれる恋愛感情という面では塚本が一番薄いように見えるけど、いつまでも塚本の心の一番奥深くに和さんがいるんだろう。人生に突如現れ一瞬でいなくなってしまった嵐のような和さん、罪な男。和さんのご家族とは連絡取ったのかな。
・黒い襟巻きを巻いて、キラキラ輝く瞳で空を見上げる、こんなに可愛い青年が焦がれているのは星になることであり、それは死でしか叶わないのは残酷だ。志津摩のかわいい顔見たら泣いちゃった。他の子たちももちろんみんな好きだけど、やっぱり志津摩の顔を見ると、この子からすべてが始まったんだなと思う。志津摩はあの環境でそうするしか希望がなかったけど、それでも生きてさえいれば、また今世で八木さんに会えたかもしれないのに。その前に淀野に捕まってたかな。でも、淀野はきっと八木さんの居場所を突き止めて、どれだけ志津摩が逃げ回っても、結局は八木さんと引き合わせて返してしまうんだろう。そうせずにはいられない、淀野はたぶんそういう人だと思う。
・ところで今回描き下ろしの志津摩、写真も新カットもおくちがますますωになってませんか。
・「また戦争でも起きない限り あの夜は2度と訪れない」こんな最悪な締めありますか。それでも、彼らの戦争は一生終わらない。
酒井千代松大佐編
・一方から見れば極悪人である酒井大佐にも、人生があった。本気で日本の力を信じ、日本の未来を守るために戦っていた一人。そのことが酒井大佐の吐く台詞からも強く伝わってくる。
・酒井大佐の奥さん、めちゃくちゃ可愛いな、大福みたいで。あんなお祝いの席で寝こけて、きっとお顔立ちやスタイルではモテるタイプではなかっただろうけど、天然で愛嬌がある可愛いタイプだ。そんな奥さんのこともきっと憎からず思っていて、結婚生活も上手くやっていたんだろう。
・酒井大佐がどれだけ恨まれていようとも、それは酒井大佐のせいではない。彼だって狂わされた一人に過ぎない。あの時代に生まれ、軍の指揮をとる立場に着いて、ああならない方がおかしいのだ。端から見るとそう思えるけど、実際に対峙した人たちはそりゃ恨むだろうと思う。自分が悪役になることよりも日本の勝利や自分の信念が大事だったんだろう、酒井大佐にとっては。
・少なくとも奥さんや辻少将は酒井大佐のことを思い、これからを生きてくれるだろうことだけが、救いなのかもしれない。
・amaseさんはどの作品もネーミングセンスが良い。千代松、とっても麗しいお名前。好き。
・私達だって彼らと同じだ。今みんなが正しいと信じていることが、あと20年経ったらまったく間違った価値観だと証明される日が必ずくる。2005年に当たり前だったことは、2025年では何も当たり前ではなくて、今思い返せば褒められたことじゃない価値観もたくさんあるだろう。2045年になった時、今アップデートされた最新の価値観は、古臭い最低なものになってるかもしれない。それもこれも全部、生きてみなければわからない。私も生きとし生けるもの、みな意味がないと思っているが、だからこそ自分で意味を見出すのもまた生きていなければ出来ないこと。本当はこの世に正しいものなんて一つもないんだろうか。
しろくろ
・クレ、フユのことが好きだったんだね。
・元々amaseさんは鳴子部隊内でコンビみたいなのはある、とTumblrに書いていたが、それは必ずしも恋愛という形ではないよな、と思っていた。本編を読んだ時は、クレとフユは単純に仲が良かったり、よく世話を焼いていたり、画面では見えないところでの深い交流があったんだ、とは感じていたけど、クレがそれを恋愛感情として自覚していたのは驚きだった。
・抱き合ってキスをして、それが叶ったソノとヒソーチョのことは、どう思って見ていたんだろう。少しは羨ましかったかな。クレはそんな次元では生きてないか。クレはフユが生きていようが死んでいようが、きっと思いを打ち明けることはしなかったと思う。どんな結末であれ、クレが本当の意味で救われるのは仏教の道しかないんだろうな。
・フユの行動に誰よりも取り乱したクレはきっと、当時から自分のその思いに気がついていたし、他の隊員たちの心の動きにも人一倍聡かっただろう。みんなの心の痛みにそっと寄り添うクレの中で、フユはどんな存在だったんだろう。
・あの時はきーやが一人寂しく食べていたすき焼きを、みんな笑顔で囲んでいる、そんな未来があって欲しかったね。
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