選ばれないと存在できない 196/365
宿をやるようになって、日々、宿泊者さんのお世話をするようになりました。
それまでは、泊まる側だったので、ホテルに泊まる、宿に泊まる、泊まる側の立場しか分かりませんでした。
宿をやるとこれが逆転して、泊まられる立場になります。
そうして初めてわかることがたくさんありました。
ここの場所に迷わずに来られるのか?
お食事はどうされるのか?
こちらでどう過ごされるのか?
求めておられるものをこちらは提供できるのか?
など・・・色々考えます。
泊まる方は行く方。泊まられる方は待つ方。
お部屋を使う側、使われる側。
あくまで、こちらは受動的な立場であるので、色々なことを想定して、準備します。
そうした過程の中で、すさのわとして出来ること、出来ないこともはっきりしてきて、それが「らしさ」を生み出しているのだと思います。
これって、泊まる立場から泊まられる立場になったから、浮き出てきたことだと思うんです。
泊まる時は多数の中から選んでいるだけですが、泊まられる時は選んでいただいているんです。選んでもらわないと、始まらない。
だから伝えていかないといけない。
選ぶ側の時は伝える必要なんてないんです。
これって、よくよく考えるとすごいことで、選ぶことは一人で完結するけど、選ばれることは常に一人では完結できない。自分ではどうしようもないことも含まれているのです。
選んできた側から、選ばれる側へのシフト。
きっと、これが起業したい!とか思っても、すぐに行動に起こせない理由のひとつです。
これまで、さんざん選んできたのに、今度は選ばれる側になる。
立場が逆転する。そのことに頭がついていかないのだと思います。
多数の中から、自分が選んでもらえるのか?
自分の提供するものは選ばれるに値するのか?
選ぶ側だった時には考えなくても良いことを、常に考えなくてはなりません。
この立場の反転に戸惑い、選ぶ側を保ち続けるのではないでしょうか?
選ぶ側は選択肢を増やすためには、お金があればいい。
今も十分にあるのなら、選ぶ側でいよう。
そう考える方が合理的だし、安定します。
あまり、思い切る必要なんてありません。(高いお金を使うときは思い切るかもです)
しかし、選ばれる側になった途端、受動的な立場になるので、安定はすっ飛びます。
選ばれないと存在できない。
そこに大きなハードルが存在します。
でも僕はそこに面白さがあると思うんです。
選ぶ側だった感覚や経験を活かして、今度はそれを反対にひっくり返してみる。
選ばれる側になる。
選ばれる側の世界からはこのように見えているんだ!
それがまた新しい気づきにつながります。
そうして、両方を経験することで初めて全体が見えてきます。
選び、選ばれること。
能動と受動は常にセット。
ふたつでひとつ。
どうせなら、両側から見てみたい!
事業を始めてみて、良かったと思う点はここです。
選ぶ側だけだったら、全然見えなかった反対側。
選ばれる側から見た世界。
その両方を体験して見えることがありました。
それはお金には変えられない、プライスレスな体験でした。
だから、やっぱり自分で事業をやるって、面白いんだと思います!